タングルウッドの思い出 5


タングルウッド音楽祭(Tanglewood Music Center)で7週間半を研修生として過ごして、
沢山の音楽会に行き、沢山の友達を作って、10回演奏をし、5回くらい公開レッスンで演奏し、
エマニュエル・アックスや、ギャリック・オールソンや、クローデ・フランクや、ジェームス・レヴァインや、
ドーン・アップショーや、アンドレ・プレヴィンなど、今まで雲の上の人達だった人たちに
演奏を聴いて、意見してもらい、いろいろ教わった。
今は、最後の演奏会で聴いたブラームスの交響曲の2番や、
2週目に自分が演奏した自分のメンデルスゾーンの三重奏2番などが頭の中でぐるぐるなっている。
とても疲れている。
色々忘れたくないことがある。
例えば、私のタングルウッドでのあだ名が「molto espressivo」だったこと。
作曲家が「非常に表現豊かに」と指示する時に使うイタリア語の音楽用語だが、
私が音楽や食べ物の話をする時、すぐに興奮して声が大きくなり身振り手振りが入るので、
そういう風に呼ばれるようになった。ちょっと嬉しかった。
それから、打楽器の研修生でまだとても若々しい風貌の男の子がいて、
この子の前髪は鬼太郎くらい長く、ほわほわの金髪で、
彼がシンバルを叩くと、シンバルの風で前髪が「ふわっ」と真上に浮き、
それがゆっくりと元の位置にたどり着くまでに2秒位かかった。
なんだかすごく感心したイメージだった。
この子が「じゃーん、じゃーん、じゃーん」と立て続けにシンバルを叩くところでは
髪の毛も「ほわーり、ほわーり、ほわーり」ととめどなく上がったり、降りてきたりするのだけど、
その動きが、髪の毛がほわほわの為、とても優雅で、面白くて、可笑しかった。
それから「schwung」の事。
schuwungと言うのはドイツ語で、
音楽的には「(感情的に)高まる」とか、「(テンポ的に)押す」と言った感じで使われるらしい。
英語では"Swing"と訳されるようだが、ただ単に「ノル」と言う意味だけでもなく、
ノルだけよりももう少し興奮が加わった状態を表現するらしい。
ストラウスの歌曲のクラスでこの"Schwung"についての詳しい講義が在ったのだが
この講義をした教授自身が「Schwung」をそのまま人間にしたようなキャラクターで
本人もそれを自覚し、誇りに思い、彼のメールアドレスも「シュヴング・マイスター」になっている。
このクラスが面白可笑しくて、大受けで、以来ピアニストの間では
すべての面白可笑しいことは「schwung」になった。
例えば「I need to go schwung」と言えば「トイレ(大の方)に行ってきます」とか。。。
なんで、こんな小学生みたいなことが可笑しかったのか。
今はちょっと書くのもためらわられるが、とにかく可笑しかったのだ。
良い思い出。
楽しかった。
きつい時もあったけど、雄大な自然に囲まれて、友達と支え合って、
沢山、沢山、音楽に触れ、感じ、考え、前進しようと
皆で一生懸命暴れた。
今日は静かに過ごそうと思う。


5 thoughts on “タングルウッドの思い出

  • やぺた

    ゆっくり休んでね!
    タングルウッドでは忙しかったのに
    たくさん日記更新してくれてありがとう!
    おもしろかったよー。
    これからもたまに更新してね。
    楽しみにしてる(*^▽^*)

  • makicha

    >やぺたさん
    読んでくれて、ありがとう。
    何が面白かったかな?
    これからも毎日と言うわけにはいかなくても
    できるだけ更新していきたいと思っているよ。
    コメント、いつも嬉しく読んでいるよ。
    ありがとう。

  • やぺた

    >makichaさん
    何が面白かったかというと、
    タングルウッドの舞台裏とか
    makichaさんの生活の様子がわかったことかな。
    ロスでの生活や
    普段どんなことして遊んでるかも興味あるよ!

  • saito

    ギャリック・オールソンの思い出、20年以上前、東京でホロビッツのリサイタルの時、3席隣に座っていました。終始落ち着いて聞いていたのが印象に残っています。すばらしい音楽祭の様子、ありがとう。

  • ピアニスト、makicha

    >saitoさん
    こちらこそお読み頂き、ありがとうございます。
    私も読んでいただけるから、夜遅くなっても書き続け、
    そのお陰で毎日学んだこと、と楽しかったことを
    復習し、記録することができました。
    これからも書きますので、お読みください。

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