不思議な世の中 4


行きずりの空手の先生と会話をする機会が在った。
私が音楽家だと知ると、「自分も空手をやっており、武芸(英語で"martial ART")を一種の芸術と心得ている」
と、自己紹介してきた。全くアングロ・サクソン系のアメリカ人男性である。
お互いの芸事について、いろいろ会話を進めていくうちに、
一番怖いこと、と言うところに話題が行き私が「暗譜の度忘れ」について話をしたところ
「空手でも似たことがある」と、言う。
(この会話は全部英語なのだが、これから大文字のローマ字で書くところは彼が日本語で言った言葉)
「KATAに沿って格闘を進めていく時、KATAを度忘れして一瞬流れが止まってしまうことがある。
これをSUKI(隙)と言う。しかし空手のKATAを審査されるとき、大切なのはSUKIを見せてしまった後、
どうやってSUKIでできた間を回復し、戦い終えるかと言うことで、
必ずしもそのKATA通りに戦い終えることでは無い」と説明し、そのあとでSUKIを、
「意思の力の間のギャップ」と定義した。
はあ~、暗譜の度忘れは「隙」ね~。そんな風に考えたことは無かった。
面白い世界になったものだ、それにしても。
アメリカ人が日本人の私に空手について講義し、
日本人の私がヨーロッパ系アメリカ人の彼に西洋音楽について説明する。


4 thoughts on “不思議な世の中

  • ピアニスト、makicha

    >enesco-bachさん
    この人は物静かに話す、しかし気の力を感じさせる、ちょっと私のイメージする「サムライ」の様なひとでした。「武士道」とか「五輪書」の英語の解説本も良く本屋で見かけ、私は武士道は友達に薦められて英語の解説書で読みました。今度、現代世の中におけるクラシカル演奏家と武士道の比較検討について書きたいと思っています。

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