柳澤桂子の「意識の進化とDNA」


練習とリハーサルと、これから計画的にやらなければいけないコルバーン卒業後の引っ越しの準備で結構忙しいのだが、チャンと本は読んでいる。息抜きに欠かせない。
私は柳澤桂子と言う人は今まで全く知らなかったし、この本も本当に偶然にタイトルだけ見て図書館から特に意味も期待も無く借りてきた「意識の進化とDNA」と言う本だが、とても面白く読んでいる。まず題からは想像もしなかったが、これは小説の形式を取っている。偶然出会った、生命科学者の男性とコンサート・ピアニストの女性が、生命科学と芸術の対話をする、という簡単な背景で、趣旨は筆者の専門と人生経験を通じて検討した人生感と生きる意味だと思う。この人は非常に有望視された生命科学者でありながら30歳を皮切りにずっと原因不明の難病と闘い続けたようである(現在70代)。それで研究所の仕事も解雇となり、そんなことから執筆を始めたようだ。科学についての知識の乏しい読者の為に、生命科学を分かりやすく、興味が持てるように色々説明してあって、私にもとても分かりやすいし、面白い。例えば記憶の仕組みとか、それからリズム感についてもとても面白い話が在った。
聾唖者で打楽器奏者のエヴァリン・グレニーの話しから始まって、生まれつきの聾唖者でも詩にとても効果的な韻を持たせる人が多いと言う統計の紹介、聴覚障害のあるバレリーナの話しなどが紹介され、その後、リズム感と言うのは先祖代々の記憶と体内リズムで感じられるものであって、必ずしも耳で聞くものでは無いと言う主張がなされる。それを立証すべく、例えば心臓は切り刻まれても、適当な液体につければ一定のリズムで鼓動を続ける、とかアメーバのリズムの話しとかが紹介される。私にとっては本当に目からうろこ!と言う感じ。
この本は「出会い」と言う感じがします。次に帰ったら購入したい本です。