不思議な世の中

行きずりの空手の先生と会話をする機会が在った。 私が音楽家だと知ると、「自分も空手をやっており、武芸(英語で"martial ART")を一種の芸術と心得ている」 と、自己紹介してきた。全くアングロ・サクソン系のアメリカ人男性である。 お互いの芸事について、いろいろ会話を進めていくうちに、 一番怖いこと、と言うところに話題が行き私が「暗譜の度忘れ」について話をしたところ 「空手でも似たことがある」と、言う。 (この会話は全部英語なのだが、これから大文字のローマ字で書くところは彼が日本語で言った言葉) 「KATAに沿って格闘を進めていく時、KATAを度忘れして一瞬流れが止まってしまうことがある。 これをSUKI(隙)と言う。しかし空手のKATAを審査されるとき、大切なのはSUKIを見せてしまった後、 どうやってSUKIでできた間を回復し、戦い終えるかと言うことで、 必ずしもそのKATA通りに戦い終えることでは無い」と説明し、そのあとでSUKIを、 「意思の力の間のギャップ」と定義した。 はあ~、暗譜の度忘れは「隙」ね~。そんな風に考えたことは無かった。 面白い世界になったものだ、それにしても。 アメリカ人が日本人の私に空手について講義し、 日本人の私がヨーロッパ系アメリカ人の彼に西洋音楽について説明する。

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