クリストフ・フォン・ドホナーニ – Christoph von Dohnanyiの指揮

クリストフ・フォン・ドホナーニ – Christoph von Dohnanyiの指揮のもと、「ナクソス島のアリアドネ」のオペラのオケのリハーサルが始まりました。私はハーモニアムと呼ばれる、ペダル・オルガンのパートを受け持ちます。このオペラはオケの編成が小さく、その代わり一人一人のパートが独立していて、責任重大です。私のハーモニアムのパートもかなり重要で、ソロも沢山あり、気が抜けません。 ハーモニアムと言う楽器は余りなじみが在りませんが、ウィーン楽派(ショーンベルグ、ベルグ、ウェーベルンが主に立ちあげた音楽学派で、12音階を起用)がマーラーの交響曲や歌曲、ヨハン・ストラウスのワルツなどを戦時中音楽家不足への対応として室内楽団用に編成しなおしたものに、良く出てきます。特典は、小さな割には(ウィーン楽派が使っていたものはドサ周りがしやすいように折りたためるものだったと思われます)、パイプ・オルガンに似た大きな音が足踏みペダルで空気を送っている間中ずっと絶え間なく延ばせる事、それによって木管や弦楽器をまねることが出来る、と言う事です。反対に汚点は、楽器のメーカー、年代によって品質も、物そのものも本当にバラエティーに富んでいて、そのたびに弾き方を一々習得しなければいけない事。おまけに使われる曲の少ない楽器なのできちんと管理されていない事が多く、それから空気の送り具合によっては音程が微妙に狂ってしまったりします。 私は実はニューヨークの室内楽コンサート・シリーズに出演した際、このウィーン楽派の編曲のハーモニアム・パートを受け持った事が在り、それからサン・サーンスの「動物の謝肉祭」にもハーモニアムのパートが在るのですが、それも弾いた事が在ります。と、言う訳で普通のピアニストよりはかなりハーモニアムの経験は多いようです。 ドホナーニーは、知る人ぞ知るハンガリア人のエルノ・ドホナーニーと言う作曲家(バルトークの作曲の先生)の孫で、今はクリーブランド・オーケストラの常任指揮者です。オペラも沢山手掛けている様で、今回ジェームス・レヴァインがキャンセルになり、ドホナーニーが来る事が決まってから沢山ドホナーニ指揮の色々な違った歌劇団の「ナクソス島のアリアドネ」が研修生の間で交換され、皆で彼の到着を待っている間、研究されました。 今はまだオケと歌手は別々にリハーサルしていますが、ドホナーニーは旧体制のヨーロッパ人らしい、微細にまでこだわりにこだわったリハーサルをします。今日は合計6時間のリハーサルが在りました。私はオペラの製作の段階に関わるのは全く初めてで、全てが新鮮で、なかなか面白いですが、さすがに疲れました。明日も朝10時から3時間のリハーサルが在ります。 今日は6時間のリハーサルを終えて、その足でピアノ・プログラム主任のアラン・スミスのお家で、ピアノの研修生と、教授群が招かれたパーティーが在りました。凄いご馳走がテーブルを埋め尽くし、皆で多いに飲み食いして、とても楽しい款談の一時を過ごしました。外に出て涼んでいたら、半月が雲を照らして、夜空が奇麗でした。ほたるが飛んでいました。

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