指揮、再考

来週火曜日、待ちに待ったヒンデミット「白鳥を焼く男」の指揮本番が在る。 それに当たって、ライスで崇高されているLarry Rachleff に昨日ドレスの時の自分の指揮のヴィデオを見てもらい、批評をもらった。 「う~ん、君の今の指揮は拍が4か所に在るねえ。右手、左手、頭と胴体。まずこれを右手だけに絞ろう。左手は表現の指示を出すために自由にしておきたいし、胴体や頭の動きは右手の拍から奏者の注意を散漫にしている。当初は凄く自分がエネルギー放出量をケチっている様に感じるだろうけれど、信じてやってみて。今まで分散していたエネルギーを全て右手の小さな動きに集中させるつもりで」 「息を忘れずに」 「音楽的な意図を自分の中ではっきりとさせてから指揮台に臨めば、棒は考えなくてもきちんとその意図をコミュニケートをしてくれるよ。君のテンポがたまにぶれてしまうのは振り方の問題では無く、フレーズの方向性や歌い方の意図が頭の中ではっきりしていないからだよ。もっともっと曲を掘り下げてごらん。」 指揮の勉強はまず、オケのリハーサルを際限無く見学することから始まる。私は今までそれでも頑張って週に12時間あるオケのリハーサル中行けるだけ行ったが、座ってはいても頭の中はしょっちゅう空想の世界で遊んでいて、全然見ても聞いてもいない事が多かった。ところが実際自分に指揮の機会が与えられて、実際的な疑問が色々湧いてきて俄然、物凄い集中してオケと言うのはどう言う物なのか、どうやって指揮するのか凝視するようになった。そして色々発見が次々湧いて来たのだが、今日は(昨日のラリーの批判にヒントを得て)凄い発見をしてしまった。 楽器を弾く時、上手く脱力して、一番楽な方法で弾いた方がより豊満な音が出る、と言う事は熟知していたつもりであるが、指揮も同じなのだ! 私は一生懸命に、がむしゃらに「こんなに頑張っているから、皆付いてきて!」と言うアピールばかりしていたような気がする。力いっぱい、息を切らせながら、体中使って指揮していた。でもそうじゃないんだ。 楽に、ある程度達観して、自然に指揮しないと。奏者も息がつまっちゃうし、緊張しちゃうし、テンションばかりあがっちゃう。 う~ン。

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