演奏の前後

演奏と言うのは極限状態になるものです。 ちょっと下ネタになってしまうが、演奏直前に吐く、あるいは下す人はとても多いらしい。 私は演奏まじかに吐いた記憶は一度しか無いし、これは車酔いとも、食べ過ぎとも言える状態であったので実際に「演奏の直前に緊張で吐いた」と言うのとはちょっと違う気もする。しかし下す方はもう当たり前だった時期も在った。全米ツアーで毎日、日中車移動、夜は演奏と言う生活を送っていた時は、もう儀式の様に演奏10分くらい前は自然に下っていた。下らない日は何だか変な気持ちがする位だったのである。今ではそう言う事もほとんど無くなったが、それでもやはり演奏前、中、そして後の身体の状態と言うのは、つくづく普通では無い。 これは前にも少し書いた事があるが、物の本によると、演奏の際の緊張と言うのを身体は「命の危険状態」と勘違いするらしい。心拍数が上がるのも、発汗するのも、「いざという時に逃げる瞬発力を出すため」だそうだし、指先やつま先が冷たくなるのは、「身体の先っぽに傷を負っても最小限の出血で済むように」、そしてつばが出なくなり、口の中が渇くのも、普段消化に使っているエネルギーを瞬発力に回すため、だそうだ。この状態、と言うのは五感が非常に敏感になって、まるで超能力者になったようである。一秒が普段の倍以上の長さに感じられ、気配などを感じ取る力が普段の数十倍、小さな音、動きを見分ける力もグ~ンと高まる。 そうして演奏した後、状態は様々である。非常にお腹がすく時は健康な時である。脳みそが充血したように重く感じられたり、頭痛がしたりする時もある。やたらとハイテンションになって喋りまくったり笑いまくっている時もある。逆に息をするのもおっくうなほど疲れてしまって呆然自失、と言う時もある。 昨日の演奏は私は指揮で、しかも普段は2時間弾きっぱなしだったりするけれど、昨日は30分の曲を振っただけで、こう言う状態になるとは余り予測していなかったけれど、今日の私はほとんど使い物にならず。今夜の8時ですが、すでに睡魔と闘っている状態。過労を感情的なものと誤解してしまう前に今日はもう寝てしまおうと思います。 宿題は明日の朝! 練習も明日! 明日は明日の風が吹く!

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