May 24, 2016

猛練習日、二日目。

昨日の引き続き、今日も缶詰で練習!の日。 10時15分から一時間、生徒さんをお教えして、 11時半から博士論文について教授とのミーティング、 2時から3時までもう一つ事務的なミーティングが入っている他は 今日は全部練習! 休み中に事務などの野暮用!ストレッチ!水分・栄養補給! 夏休みで学校のリサイタルホールとフルコンが朝練に使えるのが贅沢。 今朝はウォームアップと「『クラシック』って何⁉」のソロ曲を 良い音響で、良く聴きながら、まず復習。 5月21日のリサイタルの反省やこれからの課題を頭の中で明確にする。 まず、耳のウォームアップ。 腕と手の重みを鍵盤に預けた形でペダルを踏んでジャーンと鳴らし、 音がホールに広がり、消えていく過程を集中して聞く。 この時、昨日ブログに書いた 「上体を起こして胸を張り、客観的にホールの音を聞く距離をピアノと耳の間に保ちながら 丹田をしっかりと張り、重心を落とし、お尻を椅子にどっしり落ち着けた状態」の復習。 ウォームアップしていると色々な事を想う。 今日思っていたのは、過去と現在と未来と言う事。 人生とか、時間の概念とか、そう言う抽象的な話しではなく、音と演奏に関してである。 音楽と言うのは時間の芸術。 過去・現在・未来に同等に意識を持って、始めてバランスの取れた演奏となる。 過去は今まで弾いてきた音楽とその過程。 現在は今瞬間的に出してる音。 未来はこれから醸し出す、音楽。 このどれに囚われすぎても、バランスが崩れる。 ホールでフルコンで練習していると、あまりの音の美しさに過去と現在に囚われがち。 それが、本番の危険性だと言う事に気が付く。 そして、これが「酔う」と言う現象なんだ、 子供の頃から注意されていたのは、これなんだ、と気が付く。 常に次の音、フレーズ、そして残りの曲に頭の3分の1を残しておかないと。 でも、未来ばかりに頭を置くと、焦った、余裕のない、冷めた演奏になる。 ジュリアードの生徒が 「走る」とか「指だけ猛スピードで回して音だけ大きい」とか批評されるのは、 練習室があまりにも小さく、 防音がしっかりしていないためピアノが鳴らないようにしてあって 音が鳴らないから楽しみは頭の中で鳴る未来の音だけになり、 そしてそれを追いかけるだけの練習になるからでは? ホールで練習していると、そんな事を想う。 バルトークの3楽章をみっちりやる。 形が何とか見えて来て、技術的難所も何とか解読して消化。 後はテンポを上げて、考えずに指が動くようにするところまで繰り返す。 でもつくづく、ピアノと言うのは民族楽器と一番程遠い所にある、と実感。 ピアノは発明が1700年、とまず非常に遅い。 それから工業革命を反映するべく急進化して、 木と金属とフェルトとからなる、非常に精工なからくり機械に発展した。 高い。それに動かせない。 まさに、帝国主義的、エリート主義的、排他的、クラシックの象徴。 その音も、象徴的存在も、民族音楽と正反対の所にある。 それで、歴史的に民族音楽に多用されて来たクラリネットとヴァイオリンと どうやって一緒に民族音楽風に奏でれば良いのだ? 兎に角、ピアノらしからぬ奏法をするしか無い。 叩く。 非常に短い音を出す。 不協和音を強調する。 物凄い破裂音のアクセント。 […]

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これからの演奏に向けて練習作戦!

私は物欲や金銭欲と言うのは、ほとほと無い。 家族が心配するくらい、そして友達が疑ったりあきれたりするくらい、無い。 でも、時間とエネルギー言うのに限りあるものだ、と言う事は痛感している。 この時間とエネルギーをいかに効率よく有効利用するか。 時間とエネルギーで面白いのは、 私の経験から言うと、 使うから無くなる、と言う類の物ではなく、 上手く勢いに乗って有効利用している状態になるとどんどんアクセスしやすくなる、 惰性の力が物凄いものだ、と言う事。 この「乗った状態」と言うのは物凄い快感。 ぎりぎりの所で頑張って、そして信じられない量の良い仕事をこなしてしまった時の 非常な満足感・達成感と、そこから生まれる次への意欲と自信。 これをどんどん、どんどん培っていきたい!と言うのが私の野心。 と、言う事で今午後の3時。 朝のレッスンと昼の会食と諸々の用事を済ませ、 これから就寝までは、全て練習に捧げられる、贅沢な午後・夜。 これからの演目を書き出して、今日これからの6時間ほどの練習作戦を練り、 いかに効率よく「乗れる」か、そしてこれからの勢いを作り出せるか、 ブログに書き出しながら考えてみる。 5月21日のブログに書いた「本番当日の覚書ーChin Up!」で書いた、 上体を起こし、 耳をピアノから遠ざけホールの音を聴き、 目線が天井に向く姿勢で弾く、 あれは本当なのだが、アレには落とし穴があった。 重心が上がってしまうのだ。 5月7日に発見したあれで5月7日はうまく行ったのは、 椅子がスタインウェイの私の座り慣れたどっしりした椅子だったことと、 5月7日は私自身がもう少し落ち着いていたから。 しかし、5月21日にはあまりの新曲と演奏会の多さに、 自分に落ち着きが欠けていて、それで上体を起こそうとしたときに 重心が浮き、上体が浮いて、結果不安定になり、焦った。 今日の練習は、上体を起こして胸を張った姿勢を保ちつつ、 丹田を意識し、重心をしっかり下げ、お尻をどっしり落ち着け、呼吸を深くする。 そうしながら、6月4日、6月14日と続けてある新曲の譜読みをし、 技術的難度の高さを見極めて練習の優先順位を頭の中ではっきりさせる。 同時に、曲の大きな構築・構成を見極め、それぞれの曲の大体のイメージを把握する。 さらに、新曲ではないけれど、6月4日、14日、 そして日本(6月19日、21日、22日、25日ーみなとみらい、30日、7月8日)で弾く 「『クラシック』って何?!」のソロ曲をしっかりと掘り下げ、 今までの演奏で成功した点、失敗した点からしっかり学び取り、 どんどん高上させる。 下にこれから練習する曲目を書き出します。 曲名の右の数字は練習の優先順位。 かっこの中は今日のこれから6時間缶詰でする練習の中でその曲に使える分数。 (この分数が無い物は今日の練習では割愛) 鍵かっこの中は練習時の注意事項。 6月4日「『クラシック』って何?!」in Houston、3回目「民族音楽に憧れて」 ①.新曲!バルトーク「コントラスト」(3楽章:一時間) 「録音を一か所一か所聴きながら、部分を把握し、全体像をつかむ努力をしながら、難所パッセージを解読し、指使いを決め、ゆっくりかみ砕いて消化していく根気強い練習」(60分) 「60分3楽章を練習して見て:この曲はリズム感が一番大事だ。指揮者になったつもりで、セクションごとのテンポの変化と、セクション内でのリズムの安定、それから音楽の方向性をしっかり見極める。214小節から230小節まではこれから毎日メトロノームを使った地道な練習が必要。数あるグリッサンド、それぞれに音楽性とそのセクションに見合った性格を持たせて。」 「30分一楽章を練習して:3楽章よりは全然技術的に簡単。ホッとする。この曲の民族性はどこにあるのか?ピアノは民族音楽とは程遠い楽器だ。そのピアノでこの曲をどのように弾けば、民族音楽風を演出できるのか?ユーモアとタイミングと、ピアノの常識に囚われない解釈。頑張る」 「2楽章を聞いて:う~ん、これを一般のお客様に楽しんで頂くのにはどのようにお届けすれば良いのか?もっとこの曲の背景とバルトーク自身に関する勉強が必要。」 新曲!ブラームス「ハンガリアン舞曲5番」ヴァイオリンとピアノのための編曲 byJoachim

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