June 8, 2016

「音楽と知覚」レクチャーシリーズ#1

記録のために聞いたばかりのレクチャーの趣旨をここにまとめます。 今聞いたのは、ケンブリッジ大学のIan Cross:”Music as an Everyday Interaction” 音楽が無い社会と言うのは見つかっていない。 西洋の社会に於いて、音楽と言うのはPresentational。 演奏する人と聴く人がはっきり分かれている。 しかし、世界文化的・そして歴史的に見て、これはむしろ少数派。 社会学的、あるいは脳神経科学的に音楽を検証する時、 (こういう研究が西洋で主にされているため)この演奏タイプの音楽しか検証されていない。 しかし、音楽は共同制作型、つまり奏者と、奏者になり得る見物者、と言う形式も多い。 音楽はどういう社会に於いても、社会的立場が危うくなる時に使われる。 結婚・葬式・自分以外の社会との遭遇・交渉・季節の変わり目、など。 これは、音楽の共体験が、変化によるストレスを軽減し、 コミュニケーションの潤滑油となり、 さらに共体験その物が共感・同情の念をお互いに呼び起こし、 連帯感を醸し出すから。 人間は他の哺乳類に比べてよほど協力したいと言うと言う気持ちが強い。 音楽は、この協力したいと言う気持ちをさらに強める。 同じリズムで歩く、歌う、動く、音を出すと言う行為は お互いへの好意感を高める事が立証されている。 次に聞いたのはトロント大学のMichael Thuat”Neurological Music Therapy – From the Neuroscience of Music Perception to Clinical Translation” 脳溢血やパーキンソン病の患者、自閉症の子供や、脳に損傷を追ってしまった患者さんに 音楽を聞かせることで能力回復の促進が図れることの証明を 神経科学の視点からしている人。 例えばしゃべる能力を失ってしまった人が、歌詞付きで歌をまだ歌える。 言いたい事をメロディーに乗せると言える。 自分の体の動きをコントロールする能力を失ってしまい、 よちよち歩きしか出来なくなってしまったパーキンソン患者さんに、 メトロノームの音を聞かせると、それに合わせて普通に歩ける。 昏睡状態にある患者さんに色々な単語に混ぜて本人の名前を呼んでも反応が無いが、 バックに音楽をかけながら同じことをすると、 自分の名前を呼ばれたときの脳波に大きな反応が見られる、等。 この人の研究の多くはOliver Sachsの「音楽嗜好症」の本に出て来ていて、 私には始めて聞く話しでは無かったけれど、 脳みそに電流が通っている映像とか、 実際の患者さんの音楽セラピーの映像などを見せられると、 やはり涙が出るくらい感動しました。 […]

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『忙しい』対『充実』

健康な食生活と適度な運動と同じくらい、沢山の睡眠を私は信頼している。 その私が、睡眠を多少妥協するくらい、やりたい事が多い。 今のチャレンジはこれを「忙しい」ではなく、「充実」と考え、 ワクワクとそれぞれを一所懸命こなしていくこと。 「忙しい」と「充実」は単純に態度の違いだと思う。 日本に出発するまであと10日を切った。 お土産の買い物もしなければいけない。 車、保険…野暮用はいくらでもある。 日本の演奏会の広報活動や、連絡事項のメールも怠れない。 日本の演奏会の練習もしっかりしておきたい。 しかし発つ前にはまだ14日にルイジアナ州まで遠征演奏があり、 それに伴うリハーサルもある。、 博士論文の進行具合を報告のミーティング(この前はいつもがり勉する)は金曜日。、 明日は最後の空港での演奏アルバイト。 木曜日は教える日。 そしてその上、今ライス大学で進行中の『音楽と脳』のレクチャーシリーズが 毎日5時間。入場無料! 全て出席することは到底むりだが、できるだけ、出来るだけ聞いておきたい! http://www.rice.edu/mindandmusic/schedule.shtml 午後、2時間だけ出席。 マーケティング・ストラテジーとしての「音でブランドする」と言う現象。 ロゴよりもずっと効果的なのが、市場調査ですでに立証されているそう。 そして、自閉症の子供のための即興演奏セラピー。 なぜ即興演奏が音楽セラピーに今まで取り入れられていなかったのか。 相手との交渉や、コミュニケーションや、色々自閉症の人達へのリハビリ効果もあるのに。 そして今は夜の部、7時から9時半までのレクチャーの待ち時間。 ワクワク!充実。 音楽人生万歳!

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