「裸でも生きる」「羊と鋼の森」「大島弓子全集」

私は子供の頃、これ以上無いほどの本の虫だった。 練習よりも読書が好きで、 練習中こっそりと楽譜立てに本を立て、 何時間もハノンをやって廊下をやってくる母の足音が聞こえるとサッと本を隠すとか 授業中に机の下に本を隠して読むとか、 練習中のトイレにかこつけてトイレに何十分もこもって読みふけるとか そんな事をやっていた。 そんな本好きは、両親の読書好きの影響も大きいと思う。 本当に幼少の頃からかなり高学年になるまで、 就寝の際には必ず本を読んでもらった。 妹といつも出来るだけ長い本を選ぼうと言う作戦の元に相談し、 その晩の朗読者の母か父との交渉を経て、その晩の朗読となる。 とっても楽しみだった。 読書をすると、本当に時間も現実も全て忘れて没頭した。 物語の展開が待ちきれず、次のページをめくるのももどかしかった。 寸暇を惜しんで読んだ。トイレの時間、短距離を歩く時間、何かを待っている時間… 今ではそういう風に没頭することは珍しい。 数年前、帰国の際に芥川龍之介の「地獄変」に没頭し、 電車に乗っていると言う事すら忘れて何駅も乗り過ごしてしまった事があるが、 そう言う時間はまれになった。 でもこの「本の虫」のイメージがあるからだろうか? それとも通勤時間中を読書に充てている母が 本を読みながら私を思い出してくれることが多いのだろうか? 帰国すると、母が私に読ませたい本を山積みにしておいてくれている。 大抵は図書館から借りて来てあるが、 中には「図書館で借りて読んで凄く良かったので、持って帰ってもらおうと思い購入した」 と言う本もある。 全てを帰国中に読むのは到底無理! 演奏、そして演奏のため練習や通信、その上日本でしか出来ない社交がある。 そして博士論文のリサーチのための本を私は6冊も持って帰ってきているのである! 論文用の本を読むか、母推薦書を読むか...毎回ジレンマである。 そんな中、誘惑に打ち勝てず読破してしまった母推薦図書。 1.山口絵里子著「裸でも生きる」と、続編「裸でも生きる~Keep Walking」 2.宮下奈都著「羊と鋼の森「 3.大島弓子(漫画家)著、全作品集 まず、山口絵里子さんの活動については テレビのドキュメンタリー・シリーズですでに感銘を受けていた。 「アジアで一番貧しい国」と検索して出てきた国「バングラデシュ」で 「可哀想だから」買ってもらうのではない 「お洒落だから」「使いやすいから」「欲しいから」買ってもらえるバッグを バングラデシュ産の材料と職人で作り、自分たちに自信と経済力を持ってもらう。 その25歳で始めたプロジェクトの奮闘記。 続編では、メディアで受け、バッグの売り上げも需要が追い付かない所まで延び、 バングラデシュのプロジェクトが大成功をおさめたのち 同じ志で今度は賄賂で行政が腐敗しきっている国、ネパールで 同じような奮闘を繰り広げるところまで、話は発展する。 私はいつも「音楽は人と人との間に共感を通じて、和平をもたらす力がある」と そう思って意義を感じて音楽活動を続けています。 近年、英語と日本語に不自由が無い音楽家の自分が 国際親善の様な仕事に携わることが出来ないか、と模索するようになりました。 そういう意味で、この本は私を大変触発してくれる本でした。 次に「羊と鋼の森」。 主人公がある調律師の仕事に感銘を受け、調律師になるまでの道のりを書いた小説。 題名はピアノのハンマーに巻かれるフェルトが羊毛からできていることと、 […]

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