ゴールドベルグを演奏する、と言う体験

この5月22日に、みなとみらい小ホールでゴールドベルグ変奏曲とリストのソナタで、リサイタルを行いました。ピアノ曲でも特に有名で、「大曲」とされている曲を二つ並べたプログラムで、気負いもあり、弾き始めた時は少しあせっていましたが、だんだん乗ってきて、とても詳しくて、毎年厳しい評価を下さるお客様にも「終わりよければ全てよし」と及第を頂き、客席からはゴールドベルグ、リストのソナタ両方に「ブラヴォー」を頂き、嬉しかったです。

しかし、まだまだ課題は多く在ります。反省をこめて、書き出してみようと思います。

ゴールドベルグ。

この曲で今私が特に難しいと感じる点は以下です。

① 長い(リピートを省いても45分くらい)この曲を全体的に起承転結の方向性をつけ、初めから終わりまでお客様と一緒に(飽きさせないで)体験するためにはどうすればよいのか

② それぞれの変奏曲の特色をかもし出すための変化と言うもの、あまり変奏曲と変奏曲の間を空けずにパッと出すための自分自身の頭の切り替えはどうすればうまく出来るのか。それぞれの変奏曲が、その日の音響、その日のピアノにあったテンポではっきりと自信を持って弾き始めるのには、どうやって腹を据えればよいのか。

③ 長い変奏曲の過程を経て、最後に冒頭の主題を繰り返す―その最後の主題を美しく弾くのは比較的簡単ですが、一番最初の主題の第一音から「ゴールドベルグの世界」にする為にはどうすればよいのか。

リストのソナタ

① ゴールドベルグより荒いつくりの曲のため、どうしてもゴールドベルグと同じ真剣さで弾けない。ゴールドベルグの緻密さは無いが、反面、誇大妄想凶のようなスケールの大きさがある。それを出すための演劇の要素をもっと研究しなければ。

② ペース配分の問題。最後が一番の難所なのに、そこに来るまでに肉体的に疲れてしまっている。もっと計算して力を抜けるところで十分に充電して備えておける余裕を持とう。

③ 速いパッセージや跳躍の技術的に難しい部分の合間にある、ゆっくりと歌い上げる情緒的な部分の緊張をどう保つか。少しだれ気味。

今週末の土曜日、墨田区のトリフォニー小ホールでも13時会場、13時半開演で同じプログラムで演奏します。

がんばるぞ!!

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