練習のし合いっこ‐ハワイにて

日本での演奏活動を終えて、ヒューストンでの演奏・教え・論文執筆生活を始める前に
ハワイの友人のところに身を寄せて、小休止を取っている。
そのハワイの友人と言うのは、私がとっても尊敬するこういう人である。
http://www.mariyoshihara.com/bio-j.html
私たちの友情の馴れ初めは、
彼女がハワイ大学での教職から一年サバティカルを取った2003年から2004年、
当時私が住んでいたNYに来た事に始まる。
彼女は、のちに日本語訳も出版された
「アジア人はいかにしてクラッシック音楽家になったのか」
のリサーチをするためにNYに来ていて、
私は「その主題にはとても興味がある!」と言って
インタビューしてもらったのだ。
図々しく立候補したおかげで、本の中で私の名前を一杯出してもらった。
彼女は日本語でも英語でも色々な興味深い本を沢山出版している。
翻訳も手掛けている。
ハワイ大学で教授をしている。
そして、彼女の分野で非常に権威のある学術誌の編集者までしている。
それなのにいつもFacebookに居て、
物凄く小まめに自分の冷蔵庫が壊れたとか、写真付きで発表している。
そして私が近況報告を乗せるとすぐさま一番最初に「いいね!」してくれる。
なぜ、そんな事が可能なのだ…
私はひそかに
(この5日間の共同生活で、彼女の時間管理の秘伝を徹底分析するぞ!)と意気込んでいた。
彼女はNYに居る間しばらく、私のピアノの生徒でもあった、
すごく熱心なアマチュアピアニストでもある。
「お仕事の邪魔になるなら、練習はサイレント機能を付けて…」と言う私の遠慮に
「いや、練習を聴くのは私のためになる」
とはっきりと言ってくれ、本当に私が練習する間ずっと
ピアノのそばのソファで、聴いているのか、仕事をしているのか、
良く分からない状態で居る。
私の練習秘伝をひそかに徹底分析しているのかも知れない。
ちょっと緊張して、ちょっと嬉しい。
思わず、いつもはしないような、模範的な練習をしてしまう。
(こうやってやると、はかどるよ)
(こういう工夫をすると、短時間で難度の高いパッセージが弾けるようになるよ)
と、自意識過剰な練習をしていると、何だか結局私の方が恩恵を被っている。
そして私が自分のブログを書いたり、
非常に遅滞しているメールの遅れを取り戻したりしていると
今度は彼女が、すごく模範的な練習をしている。
すごく面倒くさいパッセージ練習とかも、手を抜かずにやっている。
嫌いな野菜のような、「ためになるのは分かっているけど…」的練習曲も
文句は言いながらだけれど、ちゃんとやってる。
本当は私はブログやメールを書きながら人の練習を分析するなんて言う聖徳太子のようなことは出来ないのだが、彼女もやはり私を意識しているようである。
こういう風に練習できあえるなんて、素晴らしい!
励みになるし、楽しいし、練習の効率も二倍!
一人で練習していると、気が付かないうちに頭がお留守になり、
手だけが惰性で同じことを繰り返していると言う「練習もどき」になりがちだけど、
こうやっているとそれが出来なくて、気が付いたら弾きにくかった物が弾けるようになってる!
そして変わりばんこに練習しながら、
練習していないときにはFacebookがいつの間にかお互いの名前付きで更新されている。
ちなみに彼女の時間管理の秘伝はまだ解明されていない。
昨日も一昨日も彼女のお友達と飲んでいたし、
今日のお昼は楽しい飲茶、
夜も社交の予定がある。
いつ、仕事をして居るんだ…わからん!

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