ドビュッシー

洒脱日記131:Groupmuse主催のアットホームな演奏会

GroupmuseというNPO主催で、演奏のライブ配信を行います。アメリカ西海岸時間の7月26日(日)の16時、東海岸では19時、日本時間では7月27日(月)の8時から約1時間半のイベントです。ピアノ曲の中でも最も幅広く愛されている曲の数々をお届けしながら、演奏の間に音楽の癒し効果を活用するためにはどのように音楽と関われば良いのか、少しずつご紹介します。今日は、グループミューズの興味深いビジネスモデルやその理想とするところ、そして私のプログラムなどについて書きます。

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2019年日本での演奏のお知らせ

ありがたいことに本当に沢山の方々のご協力とご支援を得て、お蔭様で私の日本での演奏活動も今年で19年目になります。今年の公開されている活動の詳細を、チラシと共に下にまとめました。今年も一人でも多くの皆さまと音楽の輪を広げていけることを楽しみに、帰国いたします。シェア、よろしくお願いいたします。 7月20日(土)1-5PM 公開レッスンとミニコンサート、東京。 7月31日(水)10時~12時。河合楽器前橋ショップ「ドクターピアニストのトークとお話し『ピアノに聴く水』音楽でもっと健康、もっと幸せ、もっと仲良く!」 8月4日(日)1時半開演;3時半終演。ピアノトーク「ピアノに聴く水」水上カルチャーセンター 8月5日(月)ピアノリサイタル@元野尻小学校跡、長野県木曽郡大桑村 8月10日(土)2回公演です。14時開演 & 18時開演。「ピアノに聴く水」8K スタインウェイ・サロン。月例プレミアムコンサート。横須賀。

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「ピアノに聴く水」参上!

これから半年ほど、水をテーマにしたピアノ曲を比較検討するピアノトーク『ピアノに聴く水』をお届けに世界各地に参上します! ご用意した曲を下に、年代順に書き出してみました。全部弾いて、休憩を挟む通常のリサイタルプログラム程度です。トークを挟むとちょっと長め。サロンなど、お気軽な一時間プログラムでは、レストランのメニューの様にお好きな曲をお選びいただけたら嬉しいな、と思ってご用意しています。まだまだ旅行先各地で空き日があります。ホームコンサート、出張コンサート、誰かへのプレゼント...ピアノとスペースさえあれば、お値段や日時など、なんでもご相談を承ります。お蔭様で19年目になる日本での夏の演奏活動は今年は7月中旬から8月中旬を予定しています。(演奏日程はHPトップページをスクロールダウンしてご覧ください。) 水をテーマにしたピアノ曲って実に多いんです!あんまり多いので(そう言えば体重の3分の2が水だったよね~)とか、(生命の始まりは水中からだったよね~)とか、そういう壮大な所まで想いが走ってしまうくらい。その膨大のリストからえりすぐった曲を準備した、私の「ピアノに聴く水」。 ルドヴィグ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827) ソナタ14番作品27-2嬰ハ短調(1801)より一楽章「月光」(6分半) 『月光』は直接は水には関係ありませんが、ベートーヴェンの死後この曲を聴いた詩人の「湖に映る月」と言う描写が有名になって、このタイトルが有名になったことから今回はこのメニューに加えました。 フランツ・シューベルト(1797-1828) リスト編曲(2版目:1844)「ます(1817)」(4分) あまりにも有名なこの歌曲はシューベルト自身がピアノ五重奏の変奏曲のテーマにもしていますし、子供たちも童謡のように元気よく歌っているようです!19歳のシューベルトの無邪気ないたずら心を反映してるような曲です。ドイツ語の歌詞とその邦訳はこちらでご覧いただけます。ドイツ語版「およげ!たいやきくん!」 リスト編曲(1876)「水の上に歌う(1823)」(4分半) ゆったりとした水の流れを思わせる6拍子の伴奏と、水面を踊る光を思わせる装飾音が、切ないメロディーを囲んでいる曲です。この作曲の数か月前に梅毒の死刑宣告を受けていたシューベルト。ますとは全く別人の様です。この歌詞の邦訳はこちらでご覧いただけます。 フレデリック・ショパン(1810-1849) 前奏曲集作品28(1839)より『Raindrop(雨だれ)』 『雨だれ』はどっち?4番ホ短調(2分30秒) vs. 15番変ニ長調(6分) 激しい雨の中、出先から帰って来た恋人を迎えたショパンは「ああ、君はもう死んでいるかと思っていた。溺れる夢を見た。胸を水滴が叩き続けるんだ…」。口走りながら作曲中の前奏曲を夢中で弾いていた、と逸話があります。一般的にこの時ショパンが弾いていたのは15番だろうと言うことで、15番が「雨だれ」の通称で知られています。が、実はこの時にショパンが弾いていたのは4番だったかも知れない、と言う説もあるのです。確かにどちらの曲もポツポツと言う単調な雨だれの音がします。 『Barcarolle(舟歌)』作品60(1846)嬰ホ長調。(9分) ヴェニスのゴンドラ漕ぎ歌の歌をイメージした楽曲が一つのジャンルになっています。実に「舟歌」だけで一つの演奏会の特集が組めるくらい。その中でもショパンの「舟歌」は有名。ゆったりと漕がれていると高揚感が募ってきます。 フランツ・リスト(1811-1886) 巡礼の年第三年より「エステ荘の噴水」(1877)(8分) 晩年のリストの代表作です。水の動きを描写する音型が後にドビュッシーやラヴェルと言ったフランス印象派作曲家たちに多大な影響を与えました。若いころはロックスター的な人気とモテっぷりで一世を風靡したリストですが、晩年は僧侶になりました。この曲の144小節目には聖書の中のイエスの言葉がラテン語で引用されています。 「私が与える水はその人の内で泉となり、永遠の命にいたる水が湧きあがるであろう」(『ヨハネ伝』第4章第14節) ピョートル・チャイコフスキー(1840-1893) 『Seasons(四季)』作品37(1876)より「6月:舟歌」(5分) 沢山の作曲家が「舟歌」を書いていますが、チャイコフスキーの舟歌は、リヒテルなどが好んでアンコールに弾いた哀歌です。ショパンの舟歌とはずいぶんと調子が違います。プレシチェーエフの詩の一節がこの曲のタイトルの下に記されています。「浜辺に行こう:波が足をキスしてくれるだろう。不思議な悲しみを持って、星が我々を照らすだろう。」 クロード・ドビュッシー(1862-1918) 「ベルガマスク組曲」(1905)より「月の光」(6分) 中間部が「水面に映る月」と言う解釈が一般的なため、このメニューに加えました。ヴェルレーヌの同名の詩に着想を得て書かれた曲です。 「映像」第二巻(1907)より2番「黄金の魚」(4分) ドビュッシーは大の愛日家。浮世絵や日本の工芸品のコレクターでした。彼の机の上に飾ってあった池に泳ぐ鯉を描いた塗り物に触発された曲です。水を飛び散らしながら生き生きと泳ぎ回る鯉を彷彿とさせます。 前奏曲第一集(1910)より10番「沈める寺」(6分) 動く水を描写するのはピアノ技法を使って色々できますが、この曲がすごいのは鏡の様に静まった水の世界を醸し出していることです。海底に沈む伝説の都市「イス」が、澄んだ朝に限って一時水面に姿を現す...その時に聞こえてくるイスの鐘の音や聖歌の歌声などが、だんだんと近づき、そして遠のいていく様を音で描写した曲です。 前奏曲第二集(1913)より12番「花火」(5分) この曲だけが水に関係ありません。この曲は「黄金の魚」とペアにして、お客様に、どっちが魚の飛び散らす水でどっちが夜空に光る花火か、当てて頂こう!と言う趣向です。 モーリス・ラヴェル(1875-1937) 『水の戯れ』(1901)(6分) Jeaux d’eauと言う原題は確かに直訳すれば「水の遊び(あるいはゲーム)」なのですが、これは通常「噴水」を意味します。現にリストの「エステ荘の噴水」も原題は「Jeux d’eau villa d’este」。これを「水の戯れ」と敢えて邦訳した人はこの曲の事をとても好きだったのだと思います。ラヴェルはこの曲の原本に詩人、アンリ・ド・リニエの「水にくすぐられて笑う川の神様」と言う一節を引用して書き加えています。 組曲「鏡」(1905)より『Une barque sur l’océan(海原の小舟)』(7分) 「水の戯れ」よりもずっと大きく水を捉えた曲。比較検討をすると面白いです。 フェデリコ・モンポ―(1893-1987) 前奏曲集(1943)より8番『一滴の水について』(3分) 水滴が水面に波紋を広げ、そして蒸発して、また降りてくる...水の輪廻転生を描いたような不思議な曲です。(この曲の公共演奏は著作権料がかかります) 番外:連弾 べドルジハ・スメタナ(1824-1884) 「わが祖国」より『モルダウ』(1874)(12分) 故郷のチェコを交響詩で描写しようとした組曲の中であまりにも有名。モルダウ川がその川辺のさまざまな場面を捉えながら流れていく。 (この曲は下のパートを弾けるピアニストがもう一人必要です。)

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障がい者とご家族のための演奏会

昨日は千葉女子専門学校と障碍福祉サーヴィス「まあるい広場」、そして千葉の「平田真希子応援団」の皆さんのご協力により、障碍者とその家族のための音楽会が実現しました。音楽が特に自閉症などをお持ちの方々に効用を発揮することは証明されていますが、でも実情ではこの様な方々が普通の演奏会にご出席なさりにくいのです。通常のクラシックの演奏会では聴衆は儀式のルールにのっとった行動を期待されます。静粛不動で、決められた場所で拍手をする。それは、正直なところ大方の人に窮屈なのではないでしょうか?特に、色々な事情をお抱えの方々はこのルールに徹するのは無理がある場合が多いのですが、そうすると他のお客様のご迷惑になる場合があり、ご家族も恐縮されてしまいます。だから障がい者とそのご家族が、何の心配も気兼ねも無く、堂々とおおらかな気持ちで音楽を楽しめる会が出来れば良いな~、といつも機会を探しています。 昨日は思いがけず多くの方々にお越しいただけました。主に自閉症、ダウン症と言った知的障碍をお持ちの小さなお子様から大人まで、そしてそのご兄弟や保護者の方々、そして施設や団体関係者の方々など雲行きのあやしい土曜日の午後でしたが、120名位の方々がお集まりくださいました。中には車いすの方もいらっしゃいます。(音楽会の会場に居る!)と言うだけで興奮と緊張のあまり車いすの中で跳躍の様な動きが何分も止まらない男の子も居ました。開場前の私が少し練習の手を止めると、その度に一生懸命一々拍手をして下さる方も居ました。 時間が来て会が始まった時、私はまず音と言う物がいかに空気の振動で耳の鼓膜だけじゃなくて、聞いてくださる方を囲んでいる空気の全てを振動しているか、と言う事、だから私はピアノを弾くとき、聴衆の皆さまを一人ひとり優しく触れるつもりで弾いています、と言うお話しをしました。そしたら最前列の女の子が自分の頬っぺたを優しく触れているのです!うれしい…。そしてみんなの興奮を沈め、音に集中してもらうために、まず一音だけぽ~んと弾きました。そして皆には手を挙げてもらって「音が段々小さくなって、もう聞こえないと思ったら手を下げてください」とお願いしました。そしたら会場の空気が本当に集中して来るのが手に取るように分かったのです。不思議な感じでした。 その次にバッハの平均律集一巻から前奏曲一番を弾きました。 「この曲はいつも同じフレーズが二回繰り返されます。皆で一回目に息を大きくゆっくり吸い、二回目で大きくゆっくり吐いてみましょう」と言ってまずデモンストレーションをした後に曲を弾き始めました。そしたらみんな本当に一生懸命私と一緒に息を吸ったり吐いたりしてくれました。 その後にショパンのエオリアン・ハープを弾きました。 次は同じショパンの「英雄」ポローネズ!主題の勇ましいテーマが聞こえたら敬礼をしてください、とお願いしたら、みんな一生懸命聞いて、敬礼してくれました。ちょっとダイジェスト版にして、中間部はカットしましたが、全部弾いても皆一生懸命に聞いてくれたのかも知れません。 皆が元気づいて、にぎやかになってきたので、次は鎮静効果のあるドビュッシーの「月の光」を情景の説明をしてから弾きました。 そして「月の光」比べで、次はベートーヴェンの「月光」の一楽章。 そしてベートーヴェンが難聴・失聴に打ち勝った英雄だったと言う事をお話しした後、ソナタ一番の終楽章を弾きました。 人間と言うのはいかなる困難にも打ち勝つ事の出来る強い生き物だ、と言う事で、スクリャービンの左手のためのノクターンを弾きました。右手を故障してしまったピアニスト、戦場で右手を亡くしてしまったピアニストでも、生きている限り音楽を続けようとする意志のある人達が左手のための曲を沢山委嘱しました。その事だけでも、人間賛歌、そして困難を直面している人への応援歌となる、と私は思い、私自身がいつも勇気づけられます。 終演の時間が近づいてきたので、みんなで楽しい気持ちになってもらおうと思い、係りの方に鈴や太鼓やカスタネットなどを配っていただいて、みんなからリクエストを頂き、「サザエさん」「キャンディ―キャンディー」「ドラえもん」「水戸黄門」などのテーマソングを弾いていっしょに歌ってもらいました。みんな一生懸命歌って手拍子や打楽器で参加してくれました。エリーゼのためにも弾きましたし、最後のアンコールではトルコ行進曲でみんなに足踏みをしてもらいました。昔はこういうみんなが喜んでくれるポピュラークラシックや、アニメ・ソングなどを弾くのは、本当に心外だったりした時期もありました。自信が無かったのだと思います。でも今は私は音楽は楽しくなければいけない、と思います。そして本当にシェアするためには歩み寄りもしたい、と思います。 楽しい会でした。皆に喜んでもらえて、私も本当に嬉しかった。 音楽と言うのは本当に治癒能力があると私は信じています。でも本当にその効果を必要としている、闘病生活を送られていたり、人生に困難を抱えていられたり、自分で移動が難しかったりする方々に生演奏を聴く機会と言うのは少ないと思います。こういう活動をもっと沢山やりたい、そしてこういう活動を広めていきたい、と思います。 今夜は千葉のジャズスポット「Candy」で「『天上の音楽』vs.地上の英雄」を弾きます!Candyももう10年以上毎年お邪魔しています。通の常連さんが沢山集まる、熱気あふれる音楽会場です。楽しみです。

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