原爆記念のラジオ放送…

8月5日(土)の10時半からFM湘南ブルーで放送されたクラシック音楽番組「スカッとスカぴあ」を担当していました。7月27日にUS-Japan Leadership Programの一巻として初めて広島に行っていた私は、その時の話と人間の強さと愛おしさについて話しました。 上で放送をお聴き頂けます。US-Japan Leadership中のカラオケの大音量をも制する大声で大議論を戦わせたりしていたので、声がつぶれています。 下に原稿をコピペしましたので、よろしければお読みになってください。 おはようございます。明日は原爆記念日ですね。実は私、10日前に生まれて初めて広島に行っていたんです。US-Japan Leadership Programは米日財団が自分たちのフラッグシップ・プログラムと掲げている企画で2001年に発足されました。ホームページUSJLP.orgから引用すると「次世代の日本とアメリカのリーダー達の間に、より緊密なコミュニケーション、友情と理解のネットワークを築き上げることを目的としています。」と書いてあります。パネル・ディスカッション、文化体験など本当に盛り沢山で、夜は朝まで飲み明かして議論やカラオケ。そんな1週間の中、木曜日は半日広島で過ごしたのです。アメリカ側から来ている20人の中にはオバマ政権で働いていた人達や、州知事の副内閣長官、国防長官の顧問、外交官、軍人、報道陣など色々な人が居たのですが、この人達と広島初体験を共にするのは、また非常に感慨深いものがありました。広島で私は感極まって「アメリカでは原爆投下は戦争終結のために必要だったと言う考えが主流だけれど、日本ではすでに降伏の条件に関する協議が行われていることを実はアメリカ政府は知っていて、それなのに広島と長崎と3日しか置かず、しかも都市のど真ん中に原爆を落とした!それなのにGHQのWar Guilt Information Programなどで戦後、日本人に物凄い罪悪感を植え付け、原爆の被害も出来るだけ報道しないようにした!」などとアメリカの参加者の一人で政府関係のお仕事をしている人にバーッと言ってしまいました。そしたら翌朝呼び止められて「自分は第二次世界大戦は全く専門外だし、昨日あなたに言われたことは自分の認識とは違った新しい見解だったのだけれど、あの後自分の知り合いの軍人に話しを聴き、さらに自分でリサーチをして、あなたが正しいと言う事が分かった。教えてくれてありがとう。」と言われたのです。涙が出るくらい嬉しかった。 人間と言うのは本当に強いと思います。広島はあんなにことごとく破壊されたのに、今は復興しています。被爆者の方々は体験を語られる時に本当に声を詰まらせて泣いていらしたけれど、それぞれが平和活動にそれぞれのやり方で携わり、アメリカ人をも含め世界中の人達に自分たちの体験を共有して、自分たちの痛みを未来の役に立てようとしてくださっています。またTBSアナウンサーの久保田とも子さんは広島出身でいらっしゃいますが、今回のUS-Japan Leadership Programにご参加なさっていて、広島の被爆者のお話しを語り継いでいくことの意義を熱く語ってくださいました。そしてアメリカ人と日本人は戦後72年を経て、1週間を共にした後、別れを惜しんで抱き合って泣くくらい、心を許し合う事が出来ます。このプログラム参加中、すごい経歴の政治家や科学者や軍人など歴史を直接創っていっている人達の中で自分に何が貢献できるのか、なぜピアニストの自分が選ばれたのか、不安に思う事もありました。でも自分のプレゼンの時、人類は通じ合いたいと思い続ける強さを持っている、音楽史は私たちにそういう人間の思い出させてくれると言いました。そして、右手を失って帰って来た軍人が左手のためのピアノ曲を委嘱した話しをして、左手のための曲を弾きました。そしたらみんな、総立ちで拍手をしてくれたのです。 その時に弾いたのは、私のアルバム「Chopin to Japan」に収録したスクリャービンの左手のための夜想曲、作品9-2です。この曲は右手を失った軍人が委嘱した作品ではなく、スクリャービンが学生時代練習し過ぎで右手を故障していたとき、自分で弾くために書いたものです。私のアルバムからお聴きください。 (Chopin to Japanトラック10、6分5秒)https://store.cdbaby.com/cd/makikohirata3 戦争から右手を失って帰って来て沢山の左手のためのピアノ曲を委嘱したピアニストで一番有名なのは、オーストリア人のPaul Wittgensteinです。ラヴェルやプロコフィエフ、ブリテンやヒンデミットにも左手のための協奏曲を委嘱、初演しました。その中でも一番有名なのは、ラヴェルの左手のための協奏曲でしょう。クリスティアン・ツイメルマン(ピアノ)、ブーレズの指揮、ロンドン交響楽団の演奏でお聴きしましょう。時間の都合上、途中のアレグロからお届けします。ジャズっぽいカッコいい曲です。 https://www.youtube.com/watch?v=WAXzynUA1hs(8分15秒から) 今日は明日の原爆記念日にちなんで、左手のためのピアノ曲の特集をヒューストンからスカぴあメンバー、平田真希子がお送りしました。私たちは強い。人間のサヴァイヴァル精神、そして何があってもコミュニケートしたいと思う人間の愛おしさ。私はそんなものを左手のためのピアノ曲に見ます。そして、原爆記念日に心を込めて世界平和を願いながら、これらの曲を捧げたいと思います。      

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