絵描きの友達についてアート用品の店に行く機会があった。
友達は色々なメーカーの絵の具の文字通り色々ある色の選択に時間をかけている。
絵の具はチューブの中で見える色と、紙に塗ってみた色と、それが乾いた色は全て皆違う。
メーカーごとに、絵の具のチューブの外に絵の具が塗ってあったり、その色の後ろに印刷されたメーカーのロゴがどれくらい浮き出て見えるかでそれぞれの色の透明性が見えるようになっていたりと工夫がなされているのだが、その絵の具をどの薬品で溶いて使うか、どういうキャンバスを使うか、どれくらいの厚さでその絵の具を塗るかなど、全ての要素が出てくる色を左右する。値段だってピンからキリまで。絵描きにとっては絵の具の選択も真剣勝負である。
1900年初期までは絵の具は自然の色素を使うしかなかったそうだ。それは貴重で、色によっては非常に高かったらしい(特に青が高かった)。貧乏な絵描きは2色か3色を混ぜたり、重ね塗りしたりして、欲しい色の印象を与える工夫をしたそうだ。スポンサーがいて、好きな色を買うお金があった絵描きでも多くて7色か8色で絵を描いたらしい。今は科学的にもっとずっと色素の密度が高く、自然と同じ色の絵の具が作れるらしい。他の事も学んだ。たとえば、赤いバラの花の絵を描こうと思っても、ただ赤を塗れば良いと言うものでは無いらしい。赤の後ろに何色を塗るかで、上の赤がどういう風に見えるか、大きく変わるらしい。だから最初にカンバスに金を塗り、青で花びらを描き、その上に赤を塗ったりするらしい。
絵を書くのにも、色素についての歴史や科学や、光について、視覚について、色々深いんだなあ。ぜんぜん知らない世界でした。とても面白かった。