美声日記1.15:今できること

突然ですが、子供の頃に歌った歌は何ですか?

アニメソングでも、アイドルグループのヒットでも、合唱コンクールの課題曲でも、お母さんに教えてもらった民謡でも、なんでもいいんです。なんにも思いつかなかったら「カエルの歌」!「象さん」!「チューリップ」!

LAは大変な火災の被害に遭いました。ご自宅や学校やご近所や思い出の地が焼けてしまった方々に心からお見舞いを申し上げます。直接の火事の被害を被っていなくてもLA界隈の住民の多くの方々が一時避難を経験なさったり身近に被災された方がいらしたり、強風や火や煙の広がりに不安を感じたりしていらっしゃると思います。

不安に駆られて情報に飢えて、最新情報の告知が来るたびにスマホに飛びついてしまいますよね。私もそうでした。そのために就寝時間が遅れたり、夜も気になって眠りが浅くなったり…。生まれて初めて避難生活を経験し、地に足が付かない興奮状態をスマホやニュースにかぶりつくことで自分で自分を煽っていました。でもそれは不健康で誰の役にも立っていないと悟ったのは帰宅してピアノを弾き、呼吸が整った時です。自分にはどうしようもないことはしょうがない。一番手近にできることは、まず呼吸と姿勢を整えること。そのために音楽って実に効果的なんです。その上、子供の頃歌った歌って思い出すだけでも笑顔になりませんか?歌と一緒に色々楽しく思い出しませんか?

惨事が起こると「今すぐ何かをしたい!」「困っている人を助けたい!」という衝動にかられ、その欲求が満たされないと自分を不甲斐なく感じてしまったりするのは人情だと思います。でも今できる一番大事なことは、自分の健康と安全を管理し、これから何年もかかる復興に協力し続ける気力を蓄えることかもしれない。自分が健康で元気なことで、周りを安心させることかも知れない。笑顔で回りを明るくすることかも知れない。

だから一緒に歌いましょう。音楽万歳!

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。https://musicalmakiko.com/en/life-of-a-pianist/3448 

このエントリーは日刊サンに隔週で連載中のコラム「ピアノの道」♯145(1月19日付)を基にしています。

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