「ピアノと視覚」

アメリカ西海岸で1984年から慕われている日本語新聞『日刊サン』に今年から掲載中のコラム「ピアノの道」。毎月第一・第三木曜日に発表されています。

“Your eyes can deceive you. Don’t trust them. Stretch out your feelings. (目は欺くことがある。視覚に頼るな。感覚を研ぎ澄ませ。)。” スターウォーズ・ファンなら、オビ=ワン・ケノービが主人公のルークにジェダイの精神を伝授している場面が目に浮かぶセリフです。

これ、ピアノでも当てはまるんです。

ピアノを弾きながら楽譜と鍵盤を両方同時に見ることは出来ません。このジレンマは象徴的でもあります。音楽に集中するのか、ピアノを弾くと言う行為に集中するのか?答えは、「見ない」。見ない事によって、音楽(知的把握)と演奏(肉体的行為)と感情(心)のバランスを取る事が可能になります。理想的には、見るのは準備段階で済ませて、演奏中は視覚は超越したいんです。

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