友達の成功

9  キャンパスにて、練習開始
10 研修生のコンサート(John Harbison(有名なアメリカ人作曲家)に会う)
12;30 皆でピザ
2  練習
3;30ボストン交響楽団の演奏会後半(David Robertson指揮)
5  寮に戻り、友達と夕食・お散歩
7  リハーサル、練習
9;30 飲み会
今日のボストン交響楽団は、アメリカの作曲家のプログラムだった。
私の聞いた後半は、トーマス・ハンプトン(バリトン)がバーバーの曲を歌い、
Orly Shahamと言うピアニストが、バーンスタインの「不安の時代」を弾いた。
このOrlyは、私は実はジュリアードのプレカレッジで同じ門下生だった。
アメリカに来たばかりの私に、
先生が「有名なギル・シャハムの妹さんで、とっても才能が在る」
と紹介してくれたのだが、当時私はGil Shahamが有名なヴァイオリニストであることさえ知ら無かった。
家族ごと、才能ある兄妹の為に助成金をもらってアメリカに移住してきていて、
まあ、そういう家族はジュリアードのプレカレッジには多いのだが、
ちょっと特別扱いされていた。
時を経て、お兄さんとの共演や、優秀な新人ピアニストに贈られる賞を授かったりした噂を聞いていたが、
そのうちなんと、有望な指揮者のDavid Robertsonと結婚してしまった。
色々な人生が在るなあ、と思う。
ほぼ同じ年齢で、一時は同じ門下のピアノの生徒だったけど、
今は彼女はバーンスタインの「不安の時代」を有望な夫の指揮でボストン交響楽団と共演し、
私はタングルウッドの研修生として同じバーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」を
オケの中の一員として、今度弾く。
昨日ブログで、今日のプログラムのことを知らずに
「スーパースターで無くて良かった」
と書いたのが、なんだか意味深に思えてくる。
Gil Shahamの妹として、またDavid Robertsonの妻としてのプレッシャーとか、
彼女だっていろいろあるだろう。
私は「不安の時代」より、「ウェスト・サイド・ストーリー」の方が曲として好きだし、
火曜日の演奏会も、Leonard Slatkinの指揮をじっくり観察しながら弾けるのも本当に楽しみだ。
運命、宿命、縁、そして瞬間瞬間で、無意識のうちに行っている選択の積み重なり。
自分の持っているものを肯定的に受け入れ、状況下でベストを尽くす。
他人の成功を素直に心から喜ぶことを目指す。
私の在籍するコルバーンでも、演奏の機会が誰に回されるか、とか小さな競争がいつもある。
でも、私たちはある時友達として、そのことについて話し合って、
同じ門下生、学友、そして音楽家として、友達の成功を自分の成功として喜ぼう、と決めた。
クラシカル音楽の継続が危ぶまれる今の世の中、経済状態の中で、
世の中により良い音楽を送り出すために、お互い支えあって一致団結するべきであって、
やっかみや、ケチな競争はお互いの成長の妨げにこそなれ、何にも良いことはない。
晴れた日に、外で何となく出てきた話題で、本当にいい会話だった。
私は良い友達を持って幸せだ。
Orlyは、難しいスコアを本当によく弾きこなしていた。
観客総立ちで、ブラボーがいっぱい出ていた。
私は、昔の学友として、誇らしかった。

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