修羅場のショパン

ここ数日、修羅場を経験した。
私はLAに在る学校からも全額奨学金のオファーを受けたのだが、それを蹴ってヒューストンに行くことにした。
それを私からの個人的な拒絶と感じた何人かの友達や、音楽関係者と非常に感情的なやり取りが何回かあった。
私だって、LAには郷心が付いている。
去るのは辛いし、自分の決断が本当に正しいのか疑問も不安もある。
だからつい声を高らげてしまう。
そして普段ならお互い笑い出してしまうようなくだらない水掛け論を
本気になって凄い時間とエネルギーを費やして延々と繰り広げてしまう。
むしろ喧嘩別れした方が辛くないから喧嘩してしまうのかも知れない。
一人で身も蓋も無く泣いたりした。
人と居る時は大丈夫なのだが、一人だと泣けてしょうがなかった。
SOSを受けて友達が一緒に居てくれるのだが、練習と睡眠は一人で無くてはできない。
寝入りばなに何度も泣きだして目が覚めて、眠れない日が二晩続いた。
練習しようとしても涙が出てくる。
それでも段々落ち着いてきて、泣く回数が少なく成って来て、面白いことに気が付いた。
他の曲は大丈夫なのに、ショパンになると泣けてしまうのである。
なんでだろう。
ショパンはやっぱり何か特別なんだと思う。
ちょっと垢ぬけない泥臭さが時として在るけれど、それが人間的なんだと思う。
実直と言うか、本当にストレートに感情的なのかなあ?
今はもう大丈夫。今日は泣かずにショパンも弾けました。
皆とも仲直りしたし。
私はコルバーンで、本当に親しい友情を培ったし、色々な人に本当に良くしてもらった。
去ることをそんなに怒ってもらえるなんて、光栄だと思う。

8 thoughts on “修羅場のショパン”

  1. 喧嘩になるのは、愛されていた証拠だね。つらい時に一緒にいてくれる友達がいるのもぜーんぶmakichaんの人徳だと思います。仲直りできてよかったね。ヒューストンでの出会いも楽しみだね~。

  2. 今真希子さんは青春まっただ中にいる、一度しかない人生に果敢に飛び込んでいる。真希子さんの考え抜いた決断がきっと新たな豊かな展開をもたらすことと思います。 わくわくしながら、ちょっとドキドキしながら、千葉で真希子さんのこと思っていますよ。 日本で会える日を楽しみにしています。非公開でお願いします。

  3. >momoさんありがとうございます。結局、何を選択するかではなく、選択した後どう信念を持ってその道を最大に活かすか、と言うことが大事なのだと思います。でも、道を歩んでいく上で色々な出会いと、色々な別れと、それに伴う感情のもつれが在りますよね。全ての出会いに感謝して進んでいきます。マキコ

  4. >abbrosさんそうですね。ずっと小学校の卒業式の時に歌った「贈る言葉」と言う歌「悲しみこらえてほほ笑むよりも涙枯れるまで泣く方が良い。人は悲しみが多い程人には優しく出来るのだから」と言う歌詞を思い出していました。作曲家の人生に思いをはせて同情し、それを演奏に託して聴衆の共感を呼び起こすのが「芸術家」だとしたらば、「芸術家」と言う人は「優しい人」なのかも知れませんね。マキコ

  5. つくづく自分はアナログ人間だなぁ・・・と(苦笑)音楽業界の世界はホント狭いから、人間関係は難しいねぇ。周りの人に合わせて自分を抑えるか、周囲の目を気にせず自分の道を突き進むか・・・

  6. >junchanさんわ~い、junchan 頑張ってアメンバーになってくれてありがとう! 本当にそうだねえ。私は今まで人の目を気にしないことを良しとし過ぎて、余りにもストレートに感情表現をし過ぎてきたかも知れない。でも余り保身を気にし過ぎて自分を殺すのもねえ。我慢と抑圧の違いは何かねえ。でも、もう大丈夫。日本でのリサイタルとロスを引き払う準備に専念して、良い友達に囲まれて楽しく卒業を迎えるよ。ありがとうね。マキコ

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