これから

 「活字離れ」が話題にもならなくなった。私には「音楽離れ」もそれに比例する形で進んでいるように思われる。音楽は在ることは在る。ウォークマン、ラジオ、テレビ、いたる所で鳴るBGM・・・・音楽は有り余るほど在るが、しかし、積極的に音楽を聴く姿勢、音楽に何かを求める姿勢というのは人の中から消えつつあるのではないか?マスメディアが浸透する世の中で、人が知的な娯楽に受身な姿勢をとりたがるようになったのは、私は悲しいことだと思う。
 私はそういう人達が眼を覚ます意欲を覚えるきっかけを与えるような演奏家になりたい。テレビやコンピューターの前で催眠術にかかったように、次から次へと情報を飲み込むのは実はとても退屈なんじゃないか・・・・生の演奏に触れて一人でも多くの人にそう思ってもらえれば本望だ。 
 人間にとって一番楽しいのは他の人間と触れ合い、自身を分かち合うことだと思う。その過程に機械をはさむと人間の人間らしさが薄れてくる気がする。だから私は演奏がしたい。録音も良いが、旅行して色々な所で、色々な聴衆の為に演奏し、自分を知ってもらい、又人を知りたい。そして特にこれからどんなテクノロジーの発展を目の当たりにするかもしれない子供達の為に弾きたい。来シーズンからアメリカの各地で子供の為の演奏会を行う。
 いつか日本でも同じ事がしたい。

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