私どもが初めて平田真希子さんにお会いしたのは今から5年前、彼女がやっと20代半ばという頃でした。中学生の時から家族と離れ、単身アメリカで音楽を勉強していた彼女は既にその頃から、各国のオーケストラと世界を廻り実力、経験とも十分でした。しかし日本における支援体制がないため、日本では一度も演奏をしたことがなかったのです。彼女の演奏を聴いてもらうため、毎年夏の帰国時に演奏会を開くことになり、今年で5度目の夏を迎えることになりました。年を重ねるごとにさらに深みと色合いを増していく彼女の演奏に私達も毎年驚きを感じています。
今年は長さ、内容共に非常に重量感のあるプログラムに挑戦されるということです。演奏される平田さんの体力・気力ばかりか、聴く側の皆様にも覚悟が要求されることと思います。しかし、このプログラムは彼女自身の強い希望により組まれたものであり、この演奏会を行なうことにより彼女が何かをつかみ、更に飛躍するだろうという予感を感じております。日本では普通組まれることのないだろう冒険的なプログラムを、是非お楽しみくださいませ。
2005年8月26日みなとみらいホールにて
齋 藤 雅 顕