曲目解説をこんな段落で初めて見ました。
どうでしょう?
皆さんのご意見、ご提言、ご質問をお聞かせいただければ幸いです。
私の日本での演奏活動もお陰様で15年目を迎えました。今年のテーマを『南欧の愛と幻想』とした理由は二つあります。まず今回の帰国の直前にマドリッドで一週間、イタリアはヴェニスの郊外にあるスキーリゾート地で10日間過ごすことが決まっていたことがあります。どちらでも演奏をさせていただいたのですが、同時に現地の文化に触れる機会と時間にも恵まれました。旅行を目前にイタリア人やスペイン人の作曲家の曲を準備することでその文化に思いを馳せ、そして旅行を経て日本で演奏する際のインスピレーションに、と思ったのが今回のテーマの理由の一つ。もう一つは、聴衆の皆さまがクラシックのどこに魅力と親しみを感じていらっしゃるのか、と言うことを私が考えはじめ、何が有名な曲を有名たらしめるのか興味が出てきた、と言うことです。今までポピュラーなクラシックや、『愛』などと言うはっきりとしたテーマを持つ曲を避け、ベートーヴェンの『ハンマークラヴィア』やバッハの『ゴールドベルグ変奏曲』など、抽象的で演奏も理解も困難とされている曲に挑んできた私ですが、今年、再考を始めました。抽象的で理解が困難な曲の多くはクラシックでは主流のドイツ物です。それに対して南欧の曲は民族色を強く出した、快活なリズムの舞踏曲や、感情が色濃くストレートに出される歌い回しの物が多い。なぜそうなるのか。現地の人々とその言葉、空気と歴史の中に身を置き、そして現地の食べ物をいただいて、少し南欧の心に近づけたかな?と自負しながら、その思い出にインスピレーションを得て、今回のプログラムをお届けいたします。お聴きください。
『南欧の愛と幻想』
F. ショパン(1810-49) 幻想即興曲、作品66(1834)
L. v. ベートーヴェン 幻想曲風ソナタ『月光』作品27-2 (1802)
(1770-1827) I. Adagio Sostenuto
II. Allegretto-Trio
III. Presto Agitato
F. リスト (1811―1886) 『愛の夢』夜想曲3番、(1847)
―休憩―
D. スカルラッティ ソナタニ短調 K.9
(1685-1757) ソナタニ長調 K.492
I.アルベニス (1862-1909) 『メニュエット』古風な組曲B.12 より3番
『アストリアス』スペイン組曲、作品47‐3番
E. グラナドス (1867-1916) 組曲「ゴイエスカス」,作品11(1911)より
III.蝋燭に照らされるファンダンゴ
IV.嘆き、あるいはマヤと夜泣き鶯
M. ラヴェル (1875-1937) 組曲「鏡」より
II. 悲しい小鳥
IV. 道化の朝の歌