今日は今回の私の韓国旅行発起人である支援者が手配して下さったおかげで、朝3時間練習することが出来た。韓国国会議事堂まん前のとても近代的なオフィスビルのロビーの一角がガラスで区切られて簡単な講義や演奏会が出来るようになっています。毎日12時から1時までは「ランチ・ブレーク」と称して、映画上映や小さなライヴが行われているようです。始めは外からもオフィスのロビーからも丸見えのそのスペースにちょっとびびりました。それから、小型のスタインウェイのグランドだったのですが、真ん中のドの音から一オクターブちょっと下のミの音が弦が無く、まったく音が出ない、と言う状況なのもびっくりしました。「何か問題があったら」と頂いていた電話番号に電話したところ、係りの方が完全に英語が通じない!こんなに英語が通じない人も珍しいほどです。しかし、何か言いたいことが在るらしい、と言うことは伝わったようで、その1時間後くらいあとに、英語がしゃべれる人が様子を伺いに来てくれました。「私は練習をさせていただけてとても感謝しているし、文句を言っているわけではない。今日明日で直すのは難しい問題だと思うので、次の演奏者のために伝えておくべきだと思っただけですが。。。」と前置きをして弦のことをお話したところ、丁寧に謝ってくださり、「問題指摘がこんなに的確なのは、やはりプロですね」となんだか褒めてまで下さり、その上社員食堂のただ券を私に下さったのです!とても嬉しい!!社員食堂でなんて世界のどこでも食事したことありません!そこはとてもおしゃれな、日当たりのいいスペースで、ビュッフェ形式でサラダが中心の、でもポテト・グラタンとチキンのドライカレーと言う二つの暖かいメインも在る、と言う昼食でした。とても健康的、新鮮、そして味は80点(悪くない)、サービス満点!しかしみんなの食事のスピーディーなのにはびっくり。私は一人で会話をする相手無く、集中して食べていたのに、私より後に座って会話をしながら食べていたグループで来た社員たちは私を置いてどんどん仕事に戻って行く!すごい。。
午後は韓国の武満徹的存在とも言える著名な作曲家であられるK・Sさまがお時間を作って下さったので、午後の紅茶とその後の早めのお昼(韓国一おいしいと在る雑誌の読者投票で決まった冷麺!本当においしかった!その麺をゆでた蕎麦湯のような物も非常に美味でした)をご馳走になりました。先生が「音楽と言うのは、作曲も演奏も理性でやる物だ。感情は邪魔だ。出来るだけ廃止するに限る!」と言うのに対し、「音楽の最初のモチベーションはいつも感情であるべきだと思うし、作曲の作業が理性が勝つのは分かるとしても、それを感情をこめて再現し、聴衆に共鳴が出来るような音楽にするのが演奏家の立場だと思う。」と演劇に例えて反論したところ「君は面白いことを言うねえ」とちょっと気に入られたようで、私も嬉しかった。その後場所を変えて、いろいろな交友談をうかがったのですが、これがすごい!岩瀬、武満、一柳、ペンデレッキ、ゼノキス、ルートスラスキー、ストックハウゼン、リゲッティ、こういう人たちを全部知っていたのです!ストックハウゼンはすごく変わっていたそうです。でもペンでレッキもゼノキスもルートスラスキーもみんな普通の、おとなしい人だった、と言っていました。
ちなみにこの作曲家の先生と私が交わした言語は日本語です。1934年生まれですから、日本の統治時代に小学校に言っていたわけです。先生はそのことに関して直接は言及なさいませんでしたが、とても流暢な日本語でした。複雑ですね。