ずっと電子ピアノで練習することを拒んできた。
アップライトだって出来ればイヤだった。
グランドで練習したい!
グランドとアップライトでは中のメカニズムが違う。
従って、タッチが全く違う。
ましてや電子ピアノにいたってはいくら「タッチ・センシティブ」を歌っていても
中のハンマーを持ち上げて、そのハンマーが弦を打って、と言う実際の動きが無いわけだから
「ピアノ」を弾いているのとは似て全く非なるモノ!…とガン!と主張して来た。
ところが、背に腹は変えられない状況になって、
電子ピアノで練習するか、全く練習しない、と言う状況に置かれて見て、
これがびっくり!使えるのである。
ピアノで全く出来ない練習が可能になる。
何がびっくりと言って、音を消して練習することの効果ほどびっくりしたことは無い。
出てくるはずの音、音楽を頭の中で想像しながら、
指の動き、腕の重み、上体の姿勢に集中する。
練習の疲れの多くは、音にさらされる疲れなのだ、と実感した。
そして音が無い分、邪念無く肉体の動きと自分の理想に集中できる。
さらに、音楽に酔ってしまい、練習そっちのけで気持ちよくなってしまう危険も無い。
理性的に練習するから、効果増大。
譜読みもはかどるし、
難しいパッセージも感情的に成らずにきちんと練習するので、
結構簡単に弾けるようになる。
さらに、プレーバック機能が使える。
左手を録音して、それを聞きながら右手を弾いたり、そう言う練習も出来る。
和音だけを弾いて、和声進行を鳴らしながら、楽譜どおりに弾いたり、とか。
色々練習に工夫が出来る。
…これは使える。
今、ツアー中のホテルの部屋で練習が出来るよう、
電子ピアノを入れて飛行機で飛ぶためのケースを発注しようか、思案中である。