ロスから書いています。
本当なら30日までNYに居るはずだったのですが、クリスマスの朝急遽予定を変更してロスに帰ってきました。オミクロン株による感染者数の増加と、世界的な飛行機の遅延・欠航を考慮しての、緊急な決断でした。
コロナ禍初期、激減した旅行者を踏まえ、飛行機会社の多くが雇用人に休職・退職を推奨しました。感染者数が落ち着いて、旅行者数が上昇を始めた秋ごろから、人員不足による飛行機の欠航が問題になり始めました。オミクロン株の出現により、客室乗務員や操縦者の間でPCR検査陽性やコロナの症状などで隔離を強要される人員が増加し、更に年末年始の帰省ラッシュに加えて冬の気候不順なども相成り、世界的に飛行機の遅延・欠航が何千・何万という数に上っている様です。
オミクロンの感染力は凄い。「喉痛い」宣言をした私のボストンでの共演者チェリスト君だけでなく、そこら中に私自身が感染する危険が潜んで居るのが、電車の中の相次ぐ咳の声や、友達のいつもと違っただみ声などに手に取るように感じられました。万が一私が感染したら、弱っている癌末期のアメリカン・マザーを感染させてしまうかも知れない。それなのに、脳にも癌が転移しているアメリカン・マザーは、コロナの現状を理解していないようで、私にマスクを外すように嘆願するのです。「どうしてそんなもので顔を覆っているの?」「マスクを外して、顔を見せて。」そしてその冷たい手で私の手を握りたがり、やせ細った体を私に近づけていつまでも抱擁して離さないのです。拒絶は出来ません。でも3時間一緒に過ごしたクリスマスイブの次の日、これ以上の訪問は自粛するべきだ、と思ったのも、ロスに帰ろうと思った理由の一つです。それに滞在が長引けば長引くほど、私に宿泊先を提供してくれる友人などをも感染の危険にさらす事に成ります。更に、私が感染したら、交通機関を利用できなくなり、友人の家に泊まる事もはばかられるマンハッタンで私は「家なき子」になってしまいます。そうなったら練習はどうなるのか?いくつも抱えている現在進行中のプロジェクトは?被害の幅は凄く広くなります。
クリスマスの朝「飛ぶなら今日だ」という確信で目が覚めました。クリスマスは、大晦日に次いで旅行者が少ない日です。「今日なら帰れる可能性が高い。」元々予約をしていた30日の帰りの便はキャンセルしないでバックアップとして取って置き、別にその日の飛行機の予約を夕方に取りました。私と同じ考えの人が多かったからでしょうか?それともラストミネットの予約のせいでしょうか?旅行者が少ないはずのクリスマスの日の飛行機券は、通常の3~4倍の値段でした。しかも到着予定時刻は真夜中。それも遅延・欠航が無ければの話しです。遅延になったら空港で仮眠を取る覚悟でした。今帰らなければいつ帰れるか分からなくなる...そんな気持ちに背中を押されていました。
後ろ髪は確かに引かれたのです。NYやNJで、こんな状況なのに友人が物凄く私との再会を楽しみにしてくれていました。「PCR検査の結果が陽性だったとしても、外で会おうよ!」と言ってくれた友達もいました。そして世界的に有名なNYのクリスマスのライティングは懐かしく、こんな時だからこそ愛おしくも感じたのです。
他の飛行機が遅延やキャンセルの表示を出す中、私が予約した飛行機は順調に時間通りの出発と着陸。真夜中に空港まで迎えに来てくれた野の君と二人で再会を喜び合って、お家に帰りました。翌日も翌々日も飛行機の欠航もコロナ感染者数も増加を続け、今はお家で胸をなでおろしています。
お疲れ様です。
この一文は、迫真のコロナ禍、報告です。
ウイルス戦争に経済戦争が重なり非常事態ですね。
オミクロンは、弱毒性と聞いていますが、何よりも御身大切にしてください。
因みに、日本は
国内の新型コロナ発生状況 新規感染者数214人(前日比+63人)
国内ワクチン接種実績 98,563,022人(77.8%)
小川久男