私の友達のジョンは凄く気前が良く、友達思いで、さみしがり屋のパーティー好きだ。
同級のピアニストなのだが、何かにつけておもてなしをしてくれる。
今週末本番を迎えるピアニスト3人の為に「弾き通し会」を開いてくれた。
最近購入したカワイのピアノがある自分のアパートに私たち3人と友達数人を招待して、私たちが約一時間ずつプログラムを通すのを見守ろう、と言う企画だ。彼曰く、「1時間の演奏は10時間の演奏に値するんだよ!一人で寂しく練習するより皆の前で一回演奏した方がずっと楽しいし、ずっと効率の良い学習になるよ!」とのことだ。チャンとワインを購入してあって、聞き役についで回り、弾き終わった人にも注いでねぎらってくれる。普通の演奏よりはずっとリラックスした環境で、皆はとても良い演奏をし、3人とも弾き終わった後は先生のエピソードなどで盛り上がり、とても楽しい会となった。
「演奏が学習方」と言うのも一つの考え方だと思うが、私は本番直前の練習、と言うのは何物にも代えがたい、と思っている。本番が念頭に無くてする練習と言うのは、どうしても観念的になる。変な微細にこだわってしまったり、趣味的に一つのパッセージを何度も意味無く繰り返してしまったり。でも、本番前の練習はずっと実際的だ。実現したい音、イメージ、躍動、感情に近づくべく、一音一音、一瞬一瞬を固めていく。頭がどんどん冴える様な、どんどん耳が澄んで行くような、大げさに言うと、生きる目的に疑いの余地が無くなるような、凄い充実感だ。
今日は半日そういう練習をして過ごした。
特に昨晩の「通し稽古会」の復習で、より目標がはっきりしていたので本当にやりがいがあった。
良い日だったなあ、と思う。