アリアドネの挑戦

再び、今リハーサル進行中のストラウスのオペラ「ナクソス島のアリアドネ」についてです。
このオペラはオケのパートが非常に難しい。(歌い手も超絶技巧ですが)。
弦の編成が小さく、(第一ヴァイオリンから4、2、4、4、2)それぞれが独立したパートになっています。
特に首席奏者は美しくも難しいソロが沢山あり、さらに木管のソロや歌が主な所では休みが長かったりするので
何小節もの間きちんと数えて、そしてソロで堂々と入ってこなければいけなかったりします。
鍵盤楽器奏者もピアノはコンチェルトの様に難しく目立つか所も多く、
ハーモニアム(私の担当)も歌手だけとの掛け合いとか、オケの中でもソロも在るし、かなり弾きます。
チェレスタと加えて、3人の鍵盤楽器奏者が必要なスコアです。
さて、指揮者のドホナーニ(そして多分オペラ界の全般)は歌手に優しく、オケに厳しい。
歌手は6月19日からほぼ毎日稽古していますが、それでも出だしを入り間違えたりしても
「う~ん、ちょっと違ったね、もう一度やってみようか。そこまではとっても良かったよ~(ニコニコ)」
と言う感じです。
ところが、オケ奏者がちょっと入り間違えたり、パートを間違えたりすると「ギロリ」と言う感じです。
さらに悪い事に、オケ奏者はオペラのリハーサルが始まったのは一週間ほど前、
それまでは他の室内楽コンサートや、オケのコンサートの準備でスケジュールがビッちり。
準備不足が目立つ奏者が何人かいました。
そしたらまず、ピアノのJ君が下ろされてしまい、代わりにメトロポリタン・オペラのコーチで
このアリアドネの稽古を付けるために来た人が代わりにピアノ・パートを弾く事になりました。
さらに、数日後、ソロの多いチェロの主席がいつの間にか他の研修生に入れ替わっていました。
確かに立て続けにミスをしていましたが、リハーサル毎に進歩していたのに。。。
そして腱鞘炎のフルート奏者は、木管五重奏の演奏会の出演のキャンセルは許されても、
まだ本番まで一週間以上あるアリアドネのリハーサルの欠席は許されません。
製作コストを考えれば、納得いくような気もしますが、余りにもあからさまな優先順位。
タングルウッド音楽祭の研修生はあくまで実習の為に来ています。
本当に降板させる事が本人の今後の為に良いのか、さらに周りへどんなメッセージを与えているのか?
それとも、今から現実の厳しさを垣間見る、良い訓練なのでしょうか?

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