美声日記1.13:ラスべガスで物書き生活

ロスはまだ燃え続けています。最悪なことに明日の明け方からまた非常な強風警告。この強風に煽られて現存の火事が悪化する可能性があるだけではなく新しい火事が多発する可能性も十分あります。史上最悪の火事で消防設備が追い付かず、さらにそんな強風の中ではヘリコプターなど空中からの消火活動が不可能になります。

そんな中、今日私は4時間車を転がしてラスヴェガスにやってきました。1月6日、急にお世話になった物書きグループの一人から「Writing Residencyの空きがあるから応募してみない!一月の後半なんだけれども…」と話しが来たのです。Writing Residencyとは…日本語でググっても出てこないのですが、締め切りの迫った物書きをホテルなどに「缶詰めにする」っていうのがありますよね。それです。旅費やお小遣いまで出るものから自腹を切って参加するものもあります。期間も1週間から長いものは一年なんていうのもあります。今回のは旅費は自分持ちで現地では自炊ですが、他の現地での経費は全部主催者持ち。期間は1月いっぱいと言われて、まあ1月18日と22日に演奏会の予定があるけれども、片道4時間なら帰ってこれなくもない…物は試し!とエイや!と応募してみたのです。

「もしあなたさえよろしければ、1月10日から来ていただけるのですが…」連絡が来たのが丁度、野の君と寝袋持って避難中だった1月7日の夕刻。「えっと…ありがとうございます。今ちょっと避難中なので、これから火事がどうなるかで色々変わるのですが…」「え?…避難中?どういうことですか?」「ロスが燃えてるんです!山火事です!」「今ニュースを付けました!なんと、大変なことになっていますね。」そんなやり取りをしながら、火事や煙や心痛から逃げたいという気持ちと、(現地で焼け出された人々を助けるべきではないのか)(家のダメージを修復し、積もった灰や降ってきた色々を片付けるべきではないのか)そんな罪悪感・責任感の狭間で、結局出発は今朝の13日になりました。

「罪悪感はしょうがない。自分を守って長期的に持続可能な支援をするためには距離も達観も休憩も必要!」マウイで日系人の歴史あるお寺全焼の被害にあった住職の友人のことばに、背中を押してもらったということもあります。

家の外は快晴ですが、庭には歩くと足跡が付くくらい黒い灰が積もっています。車のドアを開けると白っぽいt杯がフワッと舞い上がります。空気には煙の臭い。高速に乗ると、そういうLAがどんどん遠ざかっていきます。ラジオもつけずに静寂の中、自分の頭の中の考えを自由に巡らせながらボーっと運転しました。こういう時間は久しぶりです。いつも火事の最新ニュースのピコん・ピコんというお知らせ音が耳の中に残り、その度に何度もスマホをチェックしていました。曲が途中でも、メールの文章が書きかけでも、ピコんが鳴ったらどうしても見ずにはおられないのです。

アメリカは本当に広い!そして南カリフォルニアは基本的には砂漠…ダムとか立てて、水引っ張ってきて大都市作っても、長期的には持続可能ではないんです。

ラスベガスに着くころにはずいぶんと自分が落ち着いていました。そして着いたのがこちら!

今回私がやらせて頂くのは、Writer’s Block Residenciesといいます。手前にあるWriter’s Blockはカフェと本屋さんとイベント会場。外でこの写真を「パチリ」とやったら通りがかりの男性に「この本屋、最高だよね!」と声をかけられ、嬉しくなりました。

広報のオレンジのサイン「The Lucy」と書いてあるところが物書きが泊るアパートです。

そしてWriter’s Blockを経営しているSさんが案内して下さったのがこちら!これから2週間の私の「執筆スタジオ」です。

「え?これが私一人用ですか?シェアするのではないのですか??」と聞いて、Sさんに笑われてしまいました。

二階のメインフロアのパノラマビューです。

荷を解きながらいちいち全てに感心。小物から家具から構築まで、全てが趣味が良く、効率的。それでいて、変に主張が強くない。これは…集中できる!そして机から目を上げれば本棚に並べられている本の数々の多様性。そして引き出しや壁には、古い小説や映画のポスター…

さて、マキコ…これから数週間、この時空と好機をどう有効活用するのか。

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