明鏡日記㉝:没頭型の執筆スタイル。

「物書きの助言でよく聞く」リスト

  • 毎日書きましょう。
  • 書くのも筋肉と同じ!使っていないと錆びます。
  • 毎日同じ時間に書くと脳が条件反射で『書くモード』になります。
  • 20分が集中の限界です。20分書いて気分転換をし、また20分書いて...これを繰り返しましょう。

しかし、私はこんな事は全くしていません。博士論文の執筆も今の本の執筆もこういう上の助言のリストとは全く逆のスタイルです。

没頭型マキコの執筆スタイル

  • 締め切りが無いと書かない。
    • ...という自認はあるので、友達との約束でも良いので兎に角締め切りを定期的に作る。
  • (ああ、締め切りがあるな~)、(ああ、早く書き始めないと間に合わなくなるな~)、と想いながら段々切羽詰まってくる。
  • (おいおい、大丈夫なのか?)(間に合うのか?)(自分から相手に提案した締め切りだぞ?)...等と自分を追い込む。
  • (もうダメだ)(間に合わない)(謝るしかない)...と思い始めたある朝、寝ざめと共に突然書き出しとか、構想とかが浮かぶ。
  • ドドドドド~ッとコンピューターに向かって闘牛の様に走っていき、(忘れないうちに!)と打ち込み始める。
    • コンピューターの立ち上がりが遅かったり、忘れるのが本当に怖い時は手書きで始めたりする。
  • 数日間、他に何もせずに兎に角本の世界に入り浸る。
    • スタイルAの場合:飲み食いも忘れる。野の君におんぶにだっこになる。
    • スタイルBの場合:暴食しながら書く。展開や構想について考えながらスナックを準備し、執筆に戻りを繰り返す。

昨日はスタイルBでした。

ここ2,3日ずっと書いていましたが、一昨日ちょっと手を休めて昔の手紙の山を何となく探っていたら凄いものを発見!

私の欧州演奏旅行先での出会い。お互いに「前世って信じますか?」とか「一目惚れって本当にあるのでしょうか?」と言い合った、当人たちも信じられないくらい劇的で急速な展開。丁度人生の分かれ道にそれぞれあって、将来のプレッシャーが恋愛感情を増長して、人生背景も環境も全く違う他人が数日間で「よし!将来を共にしよう!」という所まで盛り上がってしまった。

20年経った今ではその思い出は私の中では笑い話になっていたのですが、何と二人の文通の束が出て来てしまったのです。そんなものが取ってある事も知らなかった。その後何度も何度もアメリカ大陸の端から端まで行ったり来たり引っ越しする度にそれが引っ越し荷物に入り続けていたことも信じられない。しかも私は(ご覧の通り)書いて考えをまとめる人間なので、過去の手紙の山はダンボールにいくつにもなり、そのほとんど整理されていない紙の束から、たまたま偶然、短い段落を書こうかと思ったその体験に関係するこの手紙の束をこのタイミングで発見した事にも運命を感じる。そして(まあちょっと自分の人間像を膨らませるために入れてみようかなあ)位の軽い気持ちだった人生の一ページが、実は調理次第では一冊の本にすらなれるくらいの事情が在ったことを手紙で思い出して愕然。

相手も自分も、何と必死だったのだ…そしてなんと真剣に考えあぐねたのだ!

20年経って客観性と距離が出来、更に20年分の経験とそこから培った中年の観点から初めて見える事もあります。しかし、20代の自分の言葉や気持ちに教わる事も多々あります。そして今初めて気が付く相手の言葉や言い回しに、その時は汲んでいなかった相手の微妙な意思表示や感情表現の発見もあります。

しかし...!私には締め切りが迫っている。そして最終ゴールには書き上げるべき本があるのです!

感傷に浸らず、感情移入し過ぎず。この達観性を保つために、私には昨日は暴食が必要でした。感情を飲み込むというか...野菜スープをどんぶりに三杯食べました。韓国のりをむしゃむしゃそのまま食べました。西瓜も食べた。リンゴも食べた。ナッツも食べた。チョコも食べた。普段は食べないお菓子もポリポリポリポリ...いっぱい食べた!そしてお蔭で本が随分膨らみました。

相手に自分の状況説明をするために、私は当時の観点から自分の過去や疑問や問題意識や将来の抱負や希望などについて何ページにも及ぶ長い長い手紙を書いています。これを読んで手直しをして行くと、今書こうとしている事に新しい次元の真実味が加わってくるのです。マキコ(25)ありがとう!

今の私にとってはこの人生の一ページも本の為の材料です。私にはどうしても語りたいことがある。最後の風の便りではこの時の相手も幸せに結婚して子供ができたはず。私がこの手紙の束をどう料理するか面白がれる位、幸せになっているはず。

昨日の夜に書き上げて、今朝は朝一で野の君と海に行きました。なんだか一日タイムスリップして、また現実に戻ってきた気持ちです。人生生きていると、色々ありますね。

2 thoughts on “明鏡日記㉝:没頭型の執筆スタイル。”

    1. 背水の陣かどうかは分かりませんが、楽しんで書いています。
      ありがとうございます。
      真希子

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *