朝練のライブ配信を終えてから、一時間弱運転して今日は久しぶりにテツササイズに。
テツササイズはLA界隈で知る人ぞ知る、大阪弁のカリスマ的存在おっちゃん「テツさん」が無償で「来る人拒まず」で10年前から行っているハードコア・ブートキャンプ・エクササイズです。コロナ・パンデミックの非常事態宣言になってからは、少人数ご招待さまオンリーで、でも定期的に続けてくださっています。
気ごころ知れた「テツササイズ」常連の仲間と思いっきりフリスビーを投げ合ったり、腕立てやスクアットを何十回とやっていると、邪念なんかに構っていられなくなります。そしてそういう時に意外にもハッと思いついたりするのです。
舞台恐怖症って頭と心と体の調和が乱れた状態なのではないか…?
体は、状況を「命の危険」と勘違いして、すぐ逃げたり戦ったり出来るよう、大量のアドレナリンを放出して心拍数を上げ、出血多量にならないよう体の末端への血流を激減し(だから手が冷たくなる)、サバイバルに直接関係ない器官をシャットダウン(例えば消化機能ーだから吐き気がしたりお腹の調子がおかしくなったりする)します。
一方頭は自分を叱咤激励します。「なんだこんな大したことない演奏で緊張なんかして!自分はプロだろ!百戦錬磨だろ!しっかりしろ!音楽に集中!次の音は何!ハーモニー進行は?」…頭は理性で何とかコントロールしようと躍起になります。でもこれは逆効果。実は言葉や論理というのは時間がかかるんです。音楽も時間も前頭葉(脳みそで言葉や論理を司るところ)を待ってはくれません。例えばゴルフのパッティングなど、非常に緊張するところでは、ちょっと鼻歌を歌ったりすると成功率が高まります。前頭葉を紛らわすテクニックなんです。
そして心は「ここにあらず」です。パニックを感じ何とか自分の精神状態を保とうと、突然全く関係ないイメージを出して来たりします。同時に反射神経に全てを任せようと「茫然自失」になっています。そうすると反射神経が、今まで練習でやって来た動きをなぞるのですが、アドレナリンが出ているのでいつも通りでやっているつもりが実際にはいつもの1.5倍速とかの速さだったりします。そうするといつもは何でもないところで指が絡まったりするのです。
じゃあ、頭と心と体の調和を取り戻すためには…?
- できるだけお腹でゆっくり息をする。演奏中はフレーズに呼吸を合わせる。
- ラヴェンダーなどリラックスするオイルは有効。
- 音楽に集中する。演奏中で無ければ自分より大きなものの事を考える。
- 自分と一緒に居る人の事。自分の人生の夢と希望。など
- 笑顔を作る(笑顔の時はリラックスしている。だから逆に緊張している時に無理にでも笑顔を作ると条件反射でリラックスする)
- 体を大きくする。(Power Pose)
- 成功事例:過去に自分が自信たっぷりだった思い出を頭の中で次々に思い出す。
- これはいつでもできるように「自信の思い出リスト」をあらかじめ作って置く。
- 楽しむ。何としてでも楽しむ。
- 緊張している自分に興味を持つ。
- 適度な緊張=興奮状態=最高の演奏を引き出す。
- 緊張が大きすぎる場合、症状や自分の頭の中の声などを興味を持って観察する。「面白い」と思う。
- 一番大事な事は、小さなミスを大きな間違えに繋げない事だと肝に銘じる。
- 一つの演奏がどんなにガタガタでも、長い人生に於いてそれは「小さなミス」でしかない。
- 演奏中のミスタッチは微笑んでやり過ごす。
- 演奏中に「非常に大きなミス」と主観的に思っても、演奏後には一瞬の出来事が多い。
テツササイズには色々な人が来ます。特にコロナになってからはみんな大変です。今日は南米からの移民の人が来ていました。トランプ政権は移民に対して寛容ではない中、ビザが8月末には切れてしまうとか。そして母国は危険な状態です。でも、みんなで一緒に補助をしあいながら青空の下で思いっきり体を動かし、悲鳴を上げながら自分の限界に挑戦し、運動した後でクッキーとお茶とコーヒーで歓談しました。そして、将来がどうなろうと、今日こうして一緒に汗をかいてお互いの悲鳴に笑いあった思い出は私たちに勇気と元気を与え続けてくれます。
今日は良く眠れそうです。
お疲れ様です。
この世に完璧はありません。
だから、皆、完璧を目指します。
「ほぼ」、を完璧の前に入れることで時間は「ほぼ」に吸収されます。
小川久男
私は「ほぼ」は、ほぼ絶対に言いません。
( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
真希子
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