練習をするつもり、はあったのです。
これははっきりと言えます。
私たちはClarinetFest中のリハーサル・練習会場に行って、
受付に誰もいないので、勇気を出して暗い建物に入り、電気のスイッチを入れることまでしたのです。
その途端「ウィ~ン、ウィ~ン、ウィ~ン、ウィ~ン」と警報が鳴りだし…
走ってきた係りの人たちに身振り手振りで「練習!練習!」と言ったら
「9月1日まで閉館です。」
とスペイン語でおごそかに告げられてしまった。のです。
そうしたらもうすることは二つだけでしょう!
1.ゆっくりする。
2.スペイン文化にどっぷりはまる。
1.をまず達成すべく私たちがしたこと。
まず、カフェでゆっくり食事。
内容:絞りたてオレンジジュース。コクの深ーいコーヒー、チョコクロワッサンと、雑穀クロワッサン。
そして、果物屋で大袋1ユーロでたたき売りしていた桃一袋を買い、
約3時間かけて砂糖煮を作る。
作る過程で桃をきれいにしながら、一つ一つかじり、味比べをし、
それぞれの桃の個性の強さについて麻衣子さんと二人で話し合う。
大量に出来た砂糖煮を、パンに乗せたり、チーズと混ぜたり、ヨーグルトを乗せたりして楽しむ。
そして「音楽家である意味」とか「将来」とか非常に壮大なトピックで大学生のように熱論を交わす。
2.の『どっぷりスペイン文化』に移行したのはもうすでに夕方5時!
でも大丈夫。スペインは実に、実に夜型の国なのです。
まず私たちはReina Sophiaと言う美術館に行きました。
ピカソのゲルニカを中心に、ダリ、ミロー、ゴヤと国内戦、第一次・二次世界大戦ごろの
スペインの絵画を見て回り、その暗さの中にも熱情を込めた表現に圧倒されました。
そのあと、フラメンコを見に行きました。
すごい!すごい!
女の人が強い!しかも私たちが普通「ダンサー」と言ってイメージする年齢より2周り位年上の
多分50代の女性が実に力強い、ダイナミックで、太っ腹で、エネルギーが感染するような
物凄い踊りをギラギラとした集中力を持って見せてくれ、私は本当に触発されました。
自分もああ言う女性に成長したい。
フラメンコを踊ってみたい!
そのリズム感、躍動感、生命力、そしてこだわり、誇り、逞しさ。
最後に行ったのは、タパス・バー。
飲み物を注文すると、飲み物に食べ物がくっついてきて、びっくりするような安さ。
そして出される小皿料理が、酢漬けや、イベリコハムなど、素朴でおいしいのです。
そしてバーテンダーのミゲルはやさしい顔をしてお客さんを見守り、
静かに確信をもって思いやりのあるサービスをさりげなくこなし、
いかにもよそ者の私たちも、絶対に疎外感を感じないように
素晴らしいタイミングでさりげなく挨拶や、小さなコメントで会話の糸口を提供し、
本当に地域に根付いた、古~きよきたまり場、という感じのところ。
私たちは二回目です。
ミゲルは私たちの最初の注文を覚えていてくれて、
「ドリンクはこれだね?」とさっと確認して出してくれます。
シードレと言う、スペイン特産のリンゴジュースを発酵させた炭酸の強い甘いアルコール。
近所の人たちも私たちをにこやかに迎えてくれます。
10席くらいしかないのですが、お互い知り合いっていう感じ。
今日は隣に座った酔っ払いのおじさんに全部おごってもらっちゃいました。
なんだか、うれしい。
スペインは、ものすごい包容力でもって、私たちを迎えてくれます。
スペインは田舎だけど素朴で素敵でしょ。
わたしは洗練されたパリより好きです。
おしゃべりなイタリア人も。
>какоуさん
最近ヨーロッパはパリが多かったので、私もマドリッドとパリをつい比べてしまいますが、パリが少しおすましなのに対して、マドリッドは本当に気さく!とっても楽しいです。パリもおしゃれな気分を味わえましたが、マドリッドではなんだか「人間みな兄弟!」という感じ。
コメント、ありがとうございます。うれしいです。
マキコ