演奏道中記5.7:飛行場にて

ルーティンとか固定観念には、日常生活や思考回路をスムーズに効率化するという大切な役割がある。でもそこに変化球が投げ込まれた時ぶれる危険性もはらんでいる。安定性と柔軟性を備えることーこれは、演奏でも人生でも鍵なのではないか。

飛行場で書きながら、自分の感受性が活性化しているのを感じる。全てが目新しく、自分がワクワクしている。これから会う友人との思い出やコルバーン時代の事が沢山思い出され、再会したら話したいトピックが今から頭の中を渦巻く。

野の君を早朝空港に送り届けた後、私は自分の荷造りや二泊三日の不在に備えて食材の冷蔵・冷凍処理やごみ処理など思いつくままに色々やりながら、合間合間に練習していた。今夜、友達に聴いてもらう。それが楽しみで練習も目標がはっきりとした活気のあるものになった。多分この小旅行が無かったら、私は野の君を送り届けた後、兎に角自分のルーティンを守り、刺激物を避け、保守的に保守的に恐る恐る一時間・一時間を過ごしていたと思う。

思い切って変化を付けてみて、良かった。

そして今、真夜中過ぎ。空港まで迎えに来てくれた友人と道中話しが止まらない。そのまま練習場に直行。お茶を一杯飲んだ後、通して聴いてもらう。緊張する。数々の賞を取った彼女の前で演奏するのは、彼女が卒業して行った2009年以来。彼女にどう思われるか邪心が入りそうになる度に(無心、無心。明鏡止水。)と呪文のように唱える。演奏直後は散々だと思ったが、彼女は手放しで褒めてくれ、そして録画を後から見たら悪くはない。でも、彼女のコメントが振るっていた。

「本当に素晴らしいのだけれど、欲を言えば、無心で弾きすぎている。無心で弾いて良いのはブラームスとかバッハとか本当に偉大な作曲家だけ。トッホの曲は私は凄く気に入ったけれど、耳馴染の無い曲だし、もっともっと奏者のキャラを足さないと曲が浮かび上がってこない。もっとマキコの創意工夫を大げさに前面に出した方が良いのじゃないかしら。」

...バランスというのは本当に難しい...

その後、お寿司をおごってもらってしまった!そして気が付いたら深夜。ちゃんと寝なきゃ!本番まで後5日。

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