音楽人生

サルサを踊るピアニスト。

木・金・土・日と4日続けて、踊ってきた。 踊り始めて2か月目にして完全にハマってしまって居る同僚のピアニストに強く誘われて、とりあえず一緒に木曜日にクラスに行った。そしたら「週末スペシャル!一括で払えば金・土・日とクラスにもダンスパーティーにも参加し放題!」と言うのがあってついつい払ってしまったのだ。貧乏性なので、一度払ったとなると「元を取らねば」と言う執念もあり、かなりの忙しさ・眠さの中を、頑張って毎日通ってしまった。 このダンスクラスは、タンゴ、サルサ、バチャダなど南米のダンス専門。ビートに乗って骨盤を動かしながら踊る。初心者のクラスで、男女組まずに全員鏡を向いて練習した時はかなり楽しく、にかにか笑いながら汗だくになって動き回ってしまった。確かにリズムに乗って、周りと一緒に体を動かすのはとっても楽しい。脳みそからなんか出てくる感じ。 元々、ダンスをやれば音楽にもっと新しい感性が持ち込めるのでは、とかねがね思っていたこともあり、まきこ頑張った! しかし、こういう南米ダンスはもう描写できないくらいセクシーなのです。 もうどうしよう!と言う感じ。非常に恥ずかしい。強制的にクラスの男性一人ひとりと組まされて、初対面の人と体をぴったり合わせてくねくねするのは、なんとも言えぬ照れくささ。でも、クラスに参加する老若男女全員、みんな非常に心の広いやさしい人たちで、もたもたと不器用な私をおだてまくって褒めまくって、何とか乗せてくれました。私があまりに不器用な時は、私のネックレスまで兎に角褒めまくり。面白い文化体験だった。 5分毎にパートナーを変えるので色々な男性と踊ることになるのですが、結構面白い。うまい・下手、だけではなく、心配りの仕方がみんな違う風に表れるのです。みんなまず、自分がうまくなることに必死で、邪念が無い。そして、男性は女性を上手くリードすることも「うまくなること」の一部なので、一生懸命やってくれるのですが、それがそれぞれ違う風に表現されるのです。上から目線で色々教えてくれるけど実践がいまいちの男性もいれば、褒めまくりながらちょっとした手首の動きや背中の支え方などで(次どうだっけ...?)ともたつく私の体をさささっとうまく正しい方向へ導いてくれる人も居る。ただ単に経験値や腕前だけではなく、これは自信と意思の強さ、そしてやはり性格?人間性? そして、それぞれの先生の教え方からも色々学んだ。 私は人を教えることの方が、教わることよりも多い立場です。しかも、自分が初心者だった時の事をあまり覚えていないのに(3歳でレッスンを始めたので)、初心者を教えることも多い。そして残念な事に、初心者にどう接するか、と言う勉強をする機会はあまりない。しかし今回のクラスで色々分かった。 1.必死になっている人に、理論や概念を説いても、あまり意味がない。 ...当たり前、でしたね。でもよ~く肝に銘じた。 2.褒めるのは重要。 初心者は自分ができてないことで内心すごくしょげていたりする。褒めまくり作戦は結構重要。 3.笑わせるのは重要だが、あまりジョークばかりかますと、向上心を削いでしまう。 初心者だけど、先生にまじめに接してもらいたいと言うプライドがあるんです。 4.初心者はとにかくやってみたい。 何を説明されても実感が伴わないので、兎に角実践とデモンストレーションが重要。 最後に。 教えている先生たちはかなりハイレヴェルで、コンクールとかでも賞を沢山取っているような人たち。そのこだわりと質向上の執念から来る気負いは、同じパフォーマーとして、良く理解できるものでした。でもこのダンサーたち、無料で踊ることになんの反発もない感じ。とにかく楽しくてたまらない感じ。そして、発表会のような形で色々な分野のダンサーたちと一曲ずつ踊りを披露して、本当に5分とかの短い時間だけでも一生懸命、本当にきらきらと楽しそうに踊って、「見てくれてありがとう!」と言う感じ。収入はたぶん教えることで得ているのでは?クラシックとはかなり違う経済構造。 色々考えさせられました。 それから、楽しいことをしていると、他の事にも積極的に成れる。ものすごく忙しい一日を終えて、普段ならもうダレ~っとして使い物にならないときでも(ダンスのクラスに行かなきゃ!)と思うと、疲れていることも忘れて動き回り、汗をかいてすっきりして、帰ってきてメールを大量に書いたりできる。不思議。趣味は本当に必要なんですね。 ダンス、続けようかな~。非常に迷っています。楽しいけれど、自分のコンプレックスとどう向き合うか...  

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新しい気候、時差、新曲練習、新プロジェクト、親交...

帰ってきて3日目。 肌寒い。朝夕は長袖のカーディガンが欲しい。涼しくて過ごしやすいが、日本と随分違うぞ!朝起きたら喉が痛かった。要注意。 時差のあっても夜はぐっすり眠れているのだが、朝型の私には珍しく朝いつまでもとろとろと寝ていたい。目の周りにはパンダの様な隈。疲れも隈も早く取れてくれ~。午後は異様な眠さ。生産性は一時放棄して、ずっと見ようと思っていた映画「ガス燈」(1944)を見る。 イングリッド・バーグマン主演で、多くの人が傑作とする古典映画だが、この映画は心理学的にも大事らしい。「本当は自分は加害者ではなく、こんなに良い人なのに、お前の被害妄想や狂気のために糾弾を受けて自分が被害を被っている」と言うのは、虐待の加害者が良く使う手らしい。被害者の意識を操作して加害者が保身を図るためのこう言う論理を「ガスライティング」と呼ぶのは、この映画が基になっている。しかし眠気と戦いながらの映画鑑賞は映画には申し訳なかったが、授業中でもなんでも(寝てはいけない)と思いながらとろとろと一瞬寝てしまう時、何であんなにも気持ちが良いのだろう。 そんな中、友達がありがたいことに色々誘ってくれる。今日は最近踊りにはまっていると言う同じくピアニストの友達にダンスのクラスに誘われた。片道一時間半の遠出だが、超有名なインストラクターのクラスが格安で受けられると言う。ブラジルのZoukと言うスタイルのダンス。 楽しそうだが、出発が午後半ば、帰りが真夜中近くと言われる。ここで体動かして気分転換して、すっきり時差が取れるかも!?と言う希望的観測で興奮する自分がいる一方、(いやいや、この隈は寝てしか直せないでしょ)と戒める自分が最終的に勝つ。すごく行きたかったけど。こういう風に誘ってくれる友達がいるのは嬉しい。 残った理由の一つにはずっと同じ演目を弾いてきて、そろそろ新曲を練習したくてうずうずしていた、と言うのもある。今回の「恋するピアノ」はシューベルトを中心とした歌心を大事にする音楽的な曲が多かった。そのバランスをとるかの様に、今の私は激しく、肉体的・打楽器的な、リズミックな曲が弾きたいのだ!今、私の頭の中でずっとなっているのはこの曲! 新曲を練習始めるのは、楽しい!ワクワク。 そしてずっと保留になっていた本の執筆も今日、再会。かなり良い調子でぐんぐん進む。 時差のせいで、朝型の私が夜になると目がギンギンに冴えてくる。しかしもう11時半!寝なければ隈がいつまでも消えず、朝がいつまでもつらい...寝るぞ!

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日本を後にして。

本拠地の空港に降り立った瞬間「また生き長らえた...」と思った自分を発見してびっくり。 飛行機事故を懸念して、ではないのだと思う。やはり私は一つのツアーを一つの単位として人生を生きてきているのだ。ツアーとか一つの滞在に文字通り一所懸命になる。前や次の場所・時間はとても抽象的・概念的なものになり、とりあえず今居る場所、一緒に居る人、目前の目標だけに集中する。だから、ツアーが終わるころには人生の終焉に近づいたような気持ちになってしまうのだと思う。そして、飛行機が次の場所に降り立つと「え⁉ 人生終わりじゃなかったの?これからまだあるの??」とちょっと慌ててしまう。まあ、大げさに言えば、ですけど。 5月16日から6月16日まできっかり一か月間。今回の日本滞在は例年よりやや長めだった。音楽会も学校コンサートも含めて細かく数えると全部で14とすごく多かったし、US-Japan リーダーシップ関係の集まりや交友も多くなり、今回はまったくフリーな日と言うのは全部で3日しかなかった。とても充実した滞在だった。ブログを更新している余裕がなかった。Facebookには割とこまめに写真や動画を上げていたのだが...本の執筆も進まなかった。それよりも日本でしか会えない家族・親戚・友人との協調性を意識的に優先させた。 音楽活動を通じて色々な方々の色々な人生の場面に触れ、共鳴する。涙、笑顔、逸話、回想...その一つ一つに感謝。もう日本での演奏活動も18年目になるので、初回から私の応援に毎年駆けつけてくださって来ている方々が段々年齢を重ねられて来ている。中には健康が不安定に成られてきていらっしゃる方も、亡くなられてしまった方々もある。引退を迎え、これから第二・第三の人生を楽しみに計画していらっしゃる方々もおられる。私と同世代、あるいは後輩の中には、今が働き盛り!でバリバリ・イキイキ頑張っていらっしゃる方々もある。お子様が在られる方々はお子様がどんどん大きくなっていく。時間の流れを感じ、それを自分と自分の音楽人生の発展に重ね合わせ、愛おしい。そしてみんな、みんな、私の音楽の一部となっていく。 今回の聴衆は下は一歳児から、上は95歳まで、実に幅広かった!               US-Japan Leadership Program 関係の交流と、そこから広がったネットワークとの交流も充実していた。アートギャラリーのオープニングに行ったり、社会に関連性を持った芸術活動や芸術とビジネスを結びつけることに関して色々な起業家・芸術家と協議したり、米国大使公邸でのレセプションに行ったりもしました。医療の発展や社会構造の多様化に伴い、これから家族や親子関係はどのように進展していくのか研究している友達と、こんな映画を見に行ったりもしました。 音楽もナレーションも無い映画は、ドキュメンタリ―でも初めてでした。こんなに泣いたドキュメンタリーも初めてだったかも。 社会に関連性がある音楽造りを目指す一巻として社会や人間についてもっと知りたい!そんな私の想いを汲んで、色々な人が色々な専門知識や個人的体験や気持ちをシェアしてサポートしてくれます。そういう人たちの希望が、私をもっともっと触発し、活性化していきます。前を向いて、ずんずん、前進します。  

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ヒューストン、大成功!!

17日間のヒューストン滞在は実に刺激に溢れる、充実したものとなりました。 2月4日(土)のAsia Society Texas Centerが終わるまでは気が抜けませんでした。 1月26日(金)の午後、飛行場からAsia Societyに直行して会場の責任者とミーティングをしました。一階にあるいかにも演奏会場の舞台と客席がある講堂ではなく、二階にあるEducation Centerにしたのは、もともとの計画。音響が2階の方が良いのと「伝統的な儀式よりも、音楽を通じた交流を大事にした型破りな音楽会」をイメージしたから。側面はガラス張りで竹やぶが見える。ただし、パーティーなどにも使われる多目的スペースなので、椅子は会の趣旨に合わせて並べられる。「75席くらいを用意しましょうか。」と責任者にこの段階では言われていたのが、今となっては懐かしい。 それからは演奏会まで、関係者への連絡や打ち合わせ、お茶のお稽古、リハーサルや自分の練習、そしてヒューストン時代の生徒たちへのレッスンなどで兎に角4日までかなり忙しく過ごした。そうこうしている内にチケットは勢いを増して売れ始め、「100以上席を並べると視界が遮られるお客さまが出て来られる...」と渋る責任者を「ぎりぎり一杯150席まで出してください!」と説得。 2月4日(土)はもうブログでもご報告しましたが、沢山の方々のご協力を得て満員御礼、立ち見オンリー、演奏後は観客総立ち!すべてに於いて申し分ない大成功でした。  会計が終わった今は、ご来場くださったお客様は142人、さらにヴォランティアが30人以上いたことが分かっています。会場満杯も無理なし! 下の写真では私が、会場日本人との「さくら」の斉唱の後、ブラームスが非常に似ているメロディーを用いている作品116-2の間奏曲を演奏しているところです。 次に、貧困家庭の成績優秀者の大学進学をサポートするNPO、EMERGEへのファンドレーズに関して話しているところ。日本でも最近、生活保護を否定された母子家庭での餓死被害などをニュースで読みますが、アメリカの貧富の差はもっと蔓延していて、そして極端です。大学に出す願書と一緒に出す100ドルが払えない家庭があると聞いてびっくりしました。 そしてこちらが演奏後のレセプションの歓談の様子です。ラーメン、たこ焼き、お寿司、お酒や焼酎の試飲、など皆さま本当に楽しそうに、うれしそうにしていらっしゃいました。 2月4日が終わった後は一日外出もせずに本を執筆しながらぼーっと過ごしました。 その後、お友達に会ったりしながらジョジョに回復。お友達のきんじょーさんと言う写真家に写真撮影もしていただきました。ちなみにMATIMAの写真もきんじょーさんの作品です。ヒューストンでの私の演奏活動を支援してくれて、私のホストを務めてくれているRaeさんの素敵なアパートでの撮影です。 「音楽博士御用達!」で演奏会もしました! 2月4日のAsia Societyでのイベントに「子連れでも大丈夫か」と言うお問い合わせを多くいただいたのです。「2時間、他のお客様のご迷惑にならないくらい静かに座っていただけるのなら...」とお答えしていてのですが、そうすると「じゃあ、やはり無理です...」とお答えする残念そうなお母さまたち。それをお受けして、私の生徒のお母さまが一念発起をしてくださり、中心になって企画・運営を引き受けてくださいました。 できるだけ子供たちの意見を取り込んで、楽しい!と思ってもらえる、音楽を体感できるコンサートに...と言う思いで臨みました。が、子供は手ごわい。「キラキラ星!」「イーアイ―イーアイオー!」と希望曲が次々と飛び出し、対応に天手古舞。何とかみんなを鎮めようと「横になって目を閉じて、音楽に合わせて息をしてみよう」とバッハの前奏曲を弾いたら、この通り。 (やった~、大成功!)と、「次はじゃあ、月の曲を弾きます」とドビュッシーの「月の光」を弾いて「お月様が見えたかな~。」と問いかけたら「大きなお月様が本当に大きくて、大きくて、大きくて、そして私を連れて行ってビュ~ンと飛んで行って...」とどうしても興奮の感想を私に伝えたい子が右にも左にも。感動を分かち合いたい、その熱意は素晴らしい!うれしい!対応してあげたい!しかし、待っている子もいる!しかもこれ、英語と日本語と両方でやってるんです!日本語がしゃべれない子も、英語が分からない子もいるので、そしてみんな自分の言葉で一生懸命私に話しかけてくるので、天手古舞が約2倍... う~ん、次回はもっと作戦を練って挑もう。 今回はさらに、ホストのRaeさんのネットワークで沢山の面白い方々とお会いしました。 ヒューストンの都市発展計画に深く携わった大地主の93歳の方はその豪邸を私の練習やレッスンに気前よくいつでも開放してくれました。 「どんな言葉でも訳せます」と言う謳い文句の翻訳下請け会社を経営するばりばりやり手のロシア人女性は禅仏教の信徒で、面白いお話しを沢山伺いました。 落書きアーティストとしてFerrariなど大口スポンサーを付けて派手な活躍をしているSebastianは、最近亡くなったお父さまがピアノ愛好家だったそうで、そのため最近の作品はピアノに関するものが多いそうです。「ぜひコラボを」と言われました。いつでもやりますよ~。 行動心理学者としての席を最近引退されたオペラ愛好家の方は、ご自分が相談役を務めるヒューストン美術館のアジア・コレクションの専門家に私をご紹介くださいました。 世の中は面白い人が多い!私はこれからどんどんネットワークを広げてでっかいことをするぞ~。 帰りの飛行機の中では爆睡しました。  

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旅行の必要

家が必要、お金が必要、安定が必要…みんなそれぞれ必要なものがあると思う。 私には旅行が必要なようだ。 飛行場・飛行機・電車・バス…手段が何であれ移動時間と言うのは私の魂の洗濯の時間。 読書・睡眠・執筆・夢想、日常生活ではなぜか不可能な時間の贅沢が私には移動中に実感できる。   昨日は久しぶりに飛行機に乗り、久しぶりにヒューストンに来た。 それぞれの都市に独特の空気と香りがある。 ヒューストンの空気は湿気を含んで肌に優しい。 引っ越してから4か月なのに、懐かしいにおいがする。   カウボーイのテキサス、NASAのヒューストン。 ヒューストンの国際空港には宇宙服の牛がいる。 空港まで私を迎えに来てくれたRaeは、踊り子のキャリアを引退後、不動産で富を築いた大物。 今後の私のヒューストンでの演奏活動を支援してくれる他、 私の起業や将来を、彼女のネットワークを巻き込んで、一緒に協議してくれることになっている。   これから私のヒューストンの基地はRaeの客室。 20階からの眺めはヒューストンを見下ろした絶景。 新しい環境は五感を刺激し、思考を活性化する。 一分・一時間・一日…時間の単位がいつもよりも長く充実して感じられる。 一言・一言の言葉の意味が、新鮮に感じられる。 全てが味わい深い。興味深い。   奮い立つ。 頑張るぞ~!

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