脳神経科学が明らかにする音楽の効用を職場に応用するためのワークショップ。コロナ禍で延期やキャンセルが相次ぎましたが、去年の暮れごろからまたズームバージョンで少しずつ復活して来ました。一緒の部屋で行う場合は手拍子や足踏みを一緒にしたり、お互いを指揮し合ったりして、色々体感・体験していただきます。新入社員研修など参加者が若い場合は、一緒に飛び跳ねたり、かなりアクティブな共体験も行います。
同じリズムを手拍子や足踏みやジャンプなどで体感したり、声を合わせて掛け声を掛け合ったりすると、一体感が生まれる事は例えば「お手を拝借!」と3・3・7拍子をやったり、運動会の応援隊や、合唱団などで皆さんもご経験があると思います。宗教や軍隊や教育現場でも先祖代々この人間の群れる習性を上手く利用して来ました。音楽はこの人間の特性を更に強める働きがあります。これを脳神経科学で説明し、そして皆さんに体感して、仕事でのコミュニケーションやチームビルディングに活用していただきます。
...が、これこそがズームで再現しにくい事なのです。
ズームだと微妙なタイミングのずれが起こります。更に同じ部屋だと肌で感じる周りの人の呼吸や気合・気配などがズームでは欠如しています。そしてお互い通じ合えるのはコンピューターのスクリーンを通じてのみ。一番最初にこのワークショップをズームで行う事になった去年の11月は、正直言って半信半疑でした。
(本当に役に立つワークショップをズームで体験して頂けるのだろうか…)
でも、私は基本的に楽観主義です。ズームの長所を上げてみました。
- 同じ部屋だと恥ずかしく感じる人もいるかもしれない行為(例:歌う、大きな声を出す)が、ミュートにすると恥ずかしくない!
- 今までは参加者・講師共々会場まで出向かなくてはいけなかったが、今は手軽に世界のどこからでも参加していただける。
- その為海外からの参加が多くなり、「音楽は言葉の壁を超える」の実体験がより意味深くなった。
- パンデミックが終わっても自宅勤務の働き手は多くなる。これからはヴァ―チュアルでのより良いコミュニケーションスキルズが大切。
- ヴァ―チュアルでも一体感・連帯感を醸し出すためのテクニックは「聴く姿勢」と「表現法」で向上できる。
- ワークショップでは電子ピアノを使う事が多かったが、今からの発信なら私のスタインウェイを弾いて聞かせて差し上げられる。
と、いう事で、内容を相手に伝える場合大切な表現方法と、相手の発信する表現の聴き方に集中したワークショップを新しくデザインしました。ズームで会議などをすると、同じ会議室に居る時よりも更に、相手の声の抑揚や調子やペーシングなど内容以外の相手の状態や気持ちなどへの注意が散漫に成りがちではないでしょうか。そこに注目する事で、ズームでもより良い関係と意思疎通を築きましょう、というワークショップです。
言葉以外の音の発信に、我々は何を見出せるのか。その例にはこのヴィデオを使いました。このミニ映画では、台詞が全くありません。全て感嘆詞です。でも声優さんと監督さんのセンスだと思うのですが、声の抑揚、ペーシング、そしてそこから伝わる感情が物凄く綺麗に描き出されています。(ワークショップで使ったのは29秒目から1分12秒までです。)
今日のワークショップでは日本・アメリカ中西部・西海岸と色々なところから色々な職種の方がご参加くださいました。朝早すぎてエンジンがかかり切らない方。一日働いて夕方疲れた状態でご参加くださっている方。ワクチン2度目の接種後のだるさを感じられている方。でも皆さん積極的にご参加くださいました。沢山の笑顔と笑いと体当たりを交歓した2時間を経て、私はまた音楽の効用を少し広めることができた、と好機に感謝して満足感を感じています。
お疲れ様です。
ビデオを見て感じました。
台詞がなくても感受性があれば意思がつながることを。
仕事先の利用者への接遇の参考とします。
有難うございました。
小川久男
ご参考にして頂ければ幸いです。
メールやテキストでの交信が主になりがちな今日。
言葉や内容ばかりに気を取られれて、その背後にある人間同士の繋がりが置き去りになっている気がします。
少しでも人間性を取り戻すお手伝いができれば、音楽家として本望です。
真希子