「天上の音楽vs.地上の英雄」

壇上で涙してしまいました…自分でもびっくり!

昨日は千葉美浜文化ホールでの「『天上の音楽』vs.地上の音楽」でした。音響もピアノも素晴らしいホールで前々から今年も楽しみでしたが、本番前の練習の時、あまりにも音がきれいで練習し過ぎ無い様に、本番のために体力温存するため自分を制するのが難しい感じでした。こういう時、本番前は結構苦しいです。素晴らしいごちそうを目前に、お預けを食らっている感じです。 今、昨日の録音を聴きながらブログを書いていますが、素晴らしいピアノや音響と言うのは奏者を勇気百倍にし、また実際の助っ人にもなってくれます。私も昨日は本当に気持ちよく弾けました。まだまだ課題は多いのですが、でもきゅりあんよりも自分本位の演奏が出来た、と自負しています。 でも、ゴールドベルグを演奏する前にちょっとしたハプニングが… このブログを読む方の中には「寝耳に水」の方も多いかと存じますが、私実は毎年恒例で17年間行ってきた日本での演奏活動に一つのピリオドを打とうと思って今年は来日しています。今の形ではあまりにも家族や応援の会・応援団の皆さまへの負担が大きいと言う事、そして私ももう音楽博士の学位を頂き、長かった学生生活に終止符を打ち、ボランティアの方々に頼らなければ出来ない活動は辞めようと思ったのです。品川きゅりあんの際には、嬉しい演奏会の場で、その事をお客様にご披露するのも水を差すようで気が引けしなかったのですが、千葉の方では主催者をずっとしてくれていた叔母から「話しをしてくれ」と言われていましたので、ゴールドベルグの紹介の最後にちょっと言い始めたのです。 「私が今年特にこのゴールドベルグ変奏曲を弾きたかった理由は長~いこの曲の最初と最後にそっくり同じ形で提示される美しいアリアに、時間の不思議さと感慨深さを感じたからです。17年間、私も多大なご支援を得て演奏をしてまいりました。長いようでも短いようでもありました。色々な事がありました。私自身も色々経験・成長しましたが、お客様も皆さま色々おありでした。長い介護の末親御さんを亡くされた方も居ます。生涯の伴侶を亡くされた方も居ます。ご自身がずっと闘病生活を送りながら『来年も真希子ちゃんの演奏が聴けるように一年また頑張ります』と毎年おっしゃってくださった方も亡くなってしまいました…」ここで、ウっとなってしまったのです。自分でも全く予想していなかったことでした。でも本当に沢山の方のお顔が思い出されて感無量になってしまったのです。感謝と、『愛』としか言いようのない気持ちに襲われてしまったのです。 私は本当に幸せ者だと思います。これからは、音楽を通じた社会貢献・国際親善を積極的に模索・実行して行きます!また、ご招待いただければ日本でもどこでも、聴衆が居ればどこでも飛んでいきますので、是非ご相談ください:)

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「天上の音楽 v.s. 地上の英雄」演目解説!

家族の来訪、リサイタル、卒業式、母の日…イベント続きの日時を満喫した。家族がそれぞれの家へ帰って行ったあと、思いがけずヒューストンのお友達から博士課程取得を祝ってもらったりもした。 週末には野の君とLake Livingston州立公園と言う湖沿いの広大な自然公園を散策したり、サイクリングをしたり、日本語のテレビを見たり、兎に角ひたすら楽しんで、夢の様なときを過ごした。 しかし...「はっ‼‼!」と気がつけば、もう一つ演奏会が一週間半後、日本への出発は2週間後、6月17日の品川きゅりあんは3週間半後、そして千葉美浜文化ホールはきっかり一か月後!が~~~ん。 演奏にはいつも、常に、反省点が付きまとう。5月11日と15日に弾かせて頂いた際も例外ではありません。これからの課題を忘れないうちに、練習再開!にわかに焦って来て、昨日の夜は演目解説を一気に書き上げた。お気づきの点がおありでしたら、お手数ですが、ご一報いただければありがたいです。 第一部「天上の音楽」=『ゴールドベルグ』変奏曲 古代ギリシャにて数学者のピタゴラスは鍛冶屋の金を打つ音がハモる時、ハモっている金づちの重さが整数比になっている事に気が付きました。「天上の根源は数である」=>「音楽は数を体現している」=>「音楽は天上を体現している」…『天上の音楽』と言う概念の誕生です。「動きあるもの全てに音がある」と考えた古代ギリシャ人は、惑星の動きも音を奏でている、と考えました。この事も「天上の音楽」、そして「音楽=天上-すなわち数字-の体現」と言う考え方を強めたのです。この考え方は、後にガリレオやコペルニクスが実際には天上の音楽は在り得ないと証明した後でも、西洋音楽を大きく影響し続けました。バッハもその影響を受けた一人。彼が数字学や、黄金律などと言った数学的概念を自分の作曲に応用したことは良く知られていますが、ゴールドベルグ変奏曲はその最たる例と言えるのではないでしょうか。 30の変奏曲のリストをご覧ください。ルター教の熱心な信者だったバッハは三位一体(父と子と精霊の三者、全てが一人の神だと言う考え方)から、特に3と言う数字に重点を置いてこの曲を構築しています。3つの変奏曲を一つの単位として進行するのですが、この3つの変奏曲は常に「作曲技法(音楽様式)」「鍵盤技術(手の交差)」「カノン(輪唱)」と繰り返しています。この3つはいわば、知性(父)、肉体(子)、感性(精霊)を象徴していると言っても良いでしょう。さらに主にト長調のこの曲で3つの変奏曲だけがト短調…紙面の都合上、これ以上例を挙げるのは辞めますが、掘り下げれば掘り下げるほど、バッハの数字へのこだわりがこの曲に実に緻密に、そして至る所に織り込まれているのが明らかになります。人間の創造とは思えないこの完璧な音の世界を、よろしければ宇宙を想像しながら、お楽しみください。 J.S. Bach (1685-1750) 『ゴールドベルグ』変奏曲(1741)  (正式名:2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」 (ドイツ語: Clavier Ubung bestehend in einer ARIA mit verschiedenen Veraenderungen vors Clavicimbal mit 2 Manualen)、BWV988   主題アリア3/4拍子 第1変奏3/4拍子、1鍵盤。 第2変奏2/4拍子、1鍵盤。 第3変奏12/8拍子、同度のカノン、1鍵盤。 第4変奏3/8拍子、1鍵盤。 第5変奏3/4拍子、1あるいは2鍵盤。(手の交差) 第6変奏3/8拍子、2度のカノン、1鍵盤。 第7変奏 6/8拍子、1あるいは2鍵盤。(ジーグのテンポで) 第8変奏3/4拍子、2鍵盤。(手の交差) 第9変奏4/4拍子 3度のカノン、1鍵盤。 第10変奏2/2拍子、1鍵盤。(フゲッタ) 第11変奏12/16拍子、2鍵盤。(手の交差) 第12変奏3/4拍子、4度の反行カノン(鍵盤指示なし)。 第13変奏3/4拍子、2鍵盤。 第14変奏3/4拍子、2鍵盤。(手の交差) 第15変奏2/4拍子、ト短調、5度の反行カノン、1鍵盤。 第16変奏2/2拍子 – 3/8拍子、1鍵盤。(フランス風序曲) 第17変奏3/4拍子、2鍵盤。(手の交差) 第18変奏2/2拍子、6度のカノン、1鍵盤。 第19変奏3/8拍子、1鍵盤。 第20変奏3/4拍子、2鍵盤。(手の交差) 第21変奏4/4拍子、ト短調、7度のカノン(鍵盤指示なし)。 第22変奏2/2拍子、1鍵盤。

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家族の来訪+卒業式にまつわる数々の式典+2つのリサイタル=充実!

水曜日(家族到着) 私の卒業式に参列して一緒に祝ってくれるために水曜日に日本から両親と、ニュージャージー州から私の高校以来のホームステー先の育ての母、アメリカンマザーのジョーンが来てくれました。空港からピックアップして再会を喜び合い、ホテルまで送り届けました。本当に遠路をはるばる良く来てくれました。「今までの卒業式は寂しい思いをさせてしまった」と父は言ってくれたけれど、今回来てくれて本当に嬉しかった。   木曜日 (リサイタル「天上の音楽vs。地上の英雄」) 夜、卒業前の感謝独奏会を行いました。 7年間ライス大学に在学中、私の人生は本当に奇想天外な経験を沢山潜り抜けました。ライスについて半年後に東日本大震災があり、ライス大学の多大な協力を得てチャリティー演奏会を行ったのが、アンサンブルMATIMAで私と一緒に創始者・デュオパートナーとして活動してくれる、素晴らしいクラリネット奏者の佐々木麻衣子さんと初対面で、大変なイベントを力を合わせて制作しました。そこで協賛してくださったヒューストン日本人会とは、これをきっかけに本当に密な関係を築かせていただき、沢山の演奏会を主催して頂いただけでなく、私がストーカーピンチで警察や弁護士を交えて大騒ぎをしている時、演奏会の警備を買って出てくれたり、家族の様に親身に応援してくれました。ライス大学も隠れ場の仮の住まいを用意してくれたり、護衛を付けてくれたり、警察や検察への捜査に対応する私を書類記載など事務的な事を代わりにやってくれたり、全面的に私に協力してくれました。私が充実した学生生活と演奏活動を中断することなく、この7年間修業し、卒業に至ることが出来たのは、本当に沢山の人が応援してくださったからなのです。ストーカー騒ぎで大変だったことも沢山あったけれど、その中でもパリに三回行き、演奏と共になんだかお角違いな「国際比較文学」の学会でプロコフィエフのオペラに関する発表をさせて頂いたりもしました。麻衣子さんとマドリッドに行って国際クラリネット協会の大会で演奏したり、その後ドイツの音楽祭に参加したりもしました。そして野の君は、私が足が地に着かない状態でストーカー退治と演奏活動をふわふわこなして博士論文に手つかずなのを見かねて、「夜の勉強会」を提案してくれました。ただ単に、二人でノートパソコンと文献と共に、スタバで毎晩会話をするでもなくそれぞれの作業をするだけなのですが、この時間は私に物凄い安心感をもたらしてくれて、私は本当にお陰様で論文を書き上げる事が出来ました。論文指導教授が「ライス大学に来て以来私が読んだ中でも最高の論文だ!」と褒めてくれた、会心の作です。 私は感謝の表明をせずには卒業しきれないくらい、沢山の方に多大なご協力を頂いたのです。ストーカー騒ぎが発生した時、演奏会主催者からも、教師として雇ってくれている学校からも、敬遠されるだろう、と覚悟しました。聴衆や私の生徒や、更に私の学友などに危険が及んだら大変です。甘受しよう、これも運命、と思いました。でも、私の演奏会は一つもキャンセルされなかったし、むしろ増えたくらいです。そして日本人会の人達が望遠レンズのカメラを準備して(警察通報した際、本人が逃げた後でも証拠が残るように)、駐車場では炎天の中野球バットを持って見張ってくれ、演奏会が滞りなく開催されるように、万全を尽くしてくれました。そして私を教師として雇ってくれていた学校も「了解しました。警備を強化します。あなたはここにいる時は何も心配せずに教える事に専念してください」と言ってくれました。麻衣子さんは私にいつもよりもむしろ密に寄り添って、自分の被害を顧みずに励ましてくれました。今思い出しても涙が出てきます。 演奏会には、家族のほかにも、学校の事務関係の方で私のストーカー退治をいつも心に停めてくださっていた方々や、社会福祉の人、私の論文指導を私の状況を全て把握しながら励まして励まして、私が諦めそうな時にも私にすごいはっぱをかけて一緒に頑張ってくれた図書館の人、そしてたゆみない応援を続けてくださる日本人会の方々、沢山の方々がいらしてくださいました。私が一番うれしかったのは、この中の一人が言語障害を持っている息子さんをお持ちなのですが、この子が目をキラキラさせて「良くやったね!!良くやったね!!」と何度も言ってくれた事です。この子は私の演奏会にも何度も来てくれているのですが、いつも私が声をかけるまで端っこでもじもじしているのです。でもこの日は自分からぐんぐん私のそばに寄って来て、褒めてくれました。 金曜日(式典数々) まず、家族と一緒にLocal Foodsと言うレストランで昼食をしました。地元無農薬農家の材料だけを使った料理を提供するお店で、私がヒューストンの近くで一番良く行く料理屋さんの一つです。 その後、卒業式の前日の色々な祝典がありました。 まず今年ライス大学から卒業する新・博士153人が、博士号を象徴するたすきを指導教授にかけてもらう、と言う儀式がありました。「このたすきはあなた方の修めた学業と、それによって得た知識を象徴しています。」と言うスピーチが校長から在って「はい、はい」と適当に聞いていましたが、いざ自分の番が来て舞台に歩いて行き、名前を呼ばれながらお世話になった教授二人にたすきをかけてもらった時、一瞬たすきで視界が区切られ、そしてたすきが目線を越してまた会場が見渡せるように成った時、新しく生まれ変わったような、不思議で嬉しい気持ちがしました。 その後は音楽学校の卒業生のための祝賀会がありました。簡単なサンドウィッチとケーキがふるまわれるだけなのですが、私はお世話になった色々な教授と大変楽しく会話が出来、嬉しかったです。ちょっと近寄りがたい存在だった校長先生も親しくお話しをしてくれました。 その夜は毎週金曜日教えている生徒ちゃんたちのレッスン。人生が中々辛い時のレッスンは本当に慰められました。嬉しい時のレッスンも、そういう思い出を胸に、感謝の気持ちです。いつもはジーパンの私がこの日はドレスだったので、びっくりされました。 その後家族とヴェトナム料理。ヒューストンはヴェトナムの外ではヴェトナム人人口が一番多いとされていて、美味しいヴェトナム料理屋さんが沢山あります。家族もフォー初体験!フォーと言うのは、米粉の麺を24時間牛の骨を煮込んで作ったスープに入れて、モヤシやバジルやライムなどと一緒に食べます。気に入ってくれたみたいです!良かった。   土曜日(卒業式) 天気予報では雨が心配されていたのですが、それが嘘の様なカラリとした晴天!しかも湿度も温度もヒューストンのこの季節では考えられないほど申し分ない天気でした。卒業式は暑さ対処も在って、朝の8時半からと早かった。10時半からは博士課程の人達とその参列者のために特別なビュッフェが用意されていました。オムレツステーションと言って、自分が好きな具を入れて目の前でオムレツを作ってくれるところとか、トリュフのリゾットとか、山盛りの果物(高いブラックベリーやラズベリーやブルーベリーが盛りだくさん!)とか、ローストビーフとか、クラブ・ケーキ(蟹肉のコロッケ)にとろーり卵を乗っけたEggs Benedictとか、予想を超えた豪華さでした。家族のほかに麻衣子さんと、ヒューストン日本人会の母的存在の亜子さんがご一緒してくださいました。 その後私はアメリカンマザーとAsia Societyの展示を見て、アジアの色々な屋台が出ている夏祭りを楽しみ、Common Bondと言うパリの外では一番おいしいフランス風パン屋さんでクロワッサンとサラダを食べて、その後野外劇場でヒューストンバレーの「マダム・バタフライ」を観ました。83歳で足が悪いのに、ジョーンは一生懸命全てを見聞きして楽しもうと、貪欲についてきてくれました。二人でとても思い出深い夜を過ごすことが出来ました。 日曜日(母の日) 私たちが大好きなフランス料理店に家族のみんなをご招待しました。本当に美味しいんです! まず前菜のサーモンとホタテのカルパッチョ。中の白いのはきゅうりではなく、ホタテです。バルサミックヴィネガーとオスと岩塩で頂いています。 次にロブスターのリゾット。蟹みその様なおいしさ!美味しい物は万国共通ですね~。 それから主菜。チリアン・シーバスです。 次にブリ―と言うフランスの柔らかいチーズがカリカリトーストの間にサンドウィッチされた物。左にはちみつ、右にイチジクのジャムが添えてあります。 最後がデザート。濃厚なチョコレートのケーキにカラメルソースとベイリーのアイスクリーム。 美味しい物を「美味しいね~」と楽しみ合えるのは本当に幸せですよね。私も演奏会場を似た様な空間に出来れば、と思っています。 その後、Menil Collectionと言うヒューストンでも私が一番気に入っている美術館の一つに一緒に行きました。お昼で満腹してしまったので、夕飯は割愛!   月曜日(家族が帰る。夜は日本人会で演奏) 朝、家族を空港に送り届けました。昨日の夜食べる予定だったけど満腹で割愛したパリの外では一番おいしいフランス風パン屋さん、ヒューストンが誇るCommon Bondのクロワッサンとチョコ・クロワッサンとバゲットを開店と同時に入手してホテルに持っていったらとっても喜んでもらえました。 夜は日本人会で開かれた私も大変お世話になったOさんの帰国送別会に音楽を添えさせていただきました。こちらも素敵なイタリア料理店、Bisteccaです。   とても思い出深い一週間となりました。 さ、これから日本の公演の広報に本腰を入れます!ご協力をお願いできれば大変心強いです。 平田真希子ピアノリサイタル2017「天上の音楽 v.s. 地上の英雄」PDF ダウンロード  

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「気合を入れる」は「力む」とは違う。

今年の日本の演目テーマ『天上の音楽vs。地上の英雄』の後半で弾く曲はベートーヴェンのソナタ一番、ショパンの英雄ポロネーズ、リストのメフィスト・ワルツ一番など。この『地上の英雄』の初公開が13日(木)に迫っています。  『天上の音楽 v.s. 地上の英雄』PDF ダウンロード  Crain Garden Performance Seriesと言うお昼時一時間の演奏シリーズで『地上の英雄』デビュー! 同時進行で最新アルバム収録も着々と進んでいます。 これで7枚目となる私のアルバム。今回はわが心の友にして素晴らしいクラリネット奏者である佐々木麻衣子さんと組んで、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ一番(1795)とブラームス晩年のクラリネットソナタ作品120(1894)を「100年:ベートーヴェンの初期とブラームスの晩年」と言うテーマで収録中です。 それなのに...左手首と腕に違和感を覚え始めたのが一か月くらい前。3月11日と23日の演奏会でリストのハンガリー狂詩曲を弾いた時も、弾ききれるか心配でした。幸いお客様にはお楽しみいただけたようですが、その後も原因不明の腕の重さ、体のだるさ…(心理的なもの?)(姿勢?)(練習法?)と色々考えてみましたが、でもまあ英雄ポロネーズもリストも左手のオクターブ連打が大音量で延々と続いたりしますから、しょうがないと言えばしょうがないのかも知れません。どうやったら脱力できるだろう、どのようにペース配分しよう、どこで体力温存しようと、練習中にも演奏中にも日常生活中にも、自分の体に気を使っていました。 が、今日打開!発見!解明! 難所のパッセージに来ると「頑張らなきゃ」と思います。「集中しなきゃ」「上手く弾かなきゃ」…そしてその時に力んでいるのです。気合を入れると言う事は神経を研ぎ澄ますと言う事で、筋肉をこわばらせることでは無い。実際にはかなり冷めた状態で、冷静に達観してこなした方がうまく行く。 この発見のお陰で今日の練習は短時間ですごく効率よく、チャレンジの打開法が次々と発見できました。これは、人生にも当てはまることだな~と思って忘れないようにブログに書き留めておきました。

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2017年の演目テーマ「天上の音楽vs.地上の英雄」について

毎年テーマを持って行ってきた私の夏の帰国リサイタルも、本当にお陰様で17年目を迎えることが出来ました。2016年の「『クラシック』って何⁉」以来幸せな結婚をし、博士課程を取得した節目の今年は、今までの感謝の気持ちを込めて「天上の音楽vs.地上の英雄」と題したプログラムをお届けいたします。 前半の「天上の音楽(別名天球の音楽)」では、「西洋音楽の父」バッハの永遠なる傑作、ゴルトベルグ変奏曲をお届けいたします。協和音が数字の比率を体現していることを発見したのは数学者のピタゴラスです。この事から古代ギリシャでは、音楽と言うのは宇宙や数式など、人間が体感し得ない真理を反映する力のある崇高な物だと考えられていました。「動くものの全てに音がある」と考えた彼らは惑星の公転など宇宙の動きも音を醸し出していると考えました。この「天上の音楽」に共鳴するのが良い音楽、と言う考え方はコペルニクスやガリレオが「実際には天上の音楽は在り得ない」と立証した後でも続きました。ゴルトベルグ変奏曲はバッハが黄金比や数の象徴性、そして神学などを緻密に盛り込んだ、計り知れないほどのこだわりの傑作です。 後半の「地上の英雄」では、社会革命・思想革命・工業革命などを経た19世紀のヨーロッパでピアニストたちが繰り広げたピアノを戦場に見立てたような劇的な曲たちをお届けします。ナポレオンやベートーヴェンがきっかけとなって19世紀にわたり重要となった「英雄像」。後半の一曲目はベートーヴェンがナポレオンに捧げるつもりで書いた交響曲3番「英雄」の最終楽章のテーマを基にした「エロイカ変奏曲」。そして祖国ポーランドの独立革命計画に携わったショパンの「英雄ポロネーズ」。最後にヴィルチュオーゾの王として工業革命を象徴するピアノを毎回制覇し、拍手喝さいを得たリストの「メフィスト・ワルツ」。 対局する音楽の理想を前半と後半にわたり比較検討する2017年の「天上の音楽vs.地上の英雄」。ご一緒にご考察願えれば幸いです。 6月17日(土)品川きゅりあんにて13時開場、13時半開演。makiko0617.peatix.com 6月22日(木)千葉美浜文化ホールにて13時開場、13時半開演。makiko0622.peatix.com  

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