練習する時

私はかなり勤勉に練習する方だと思う。
今私が行っているコルバーンと言う学校は天才型の演奏家が多く、むしろいかに練習不足で本番にぶっつけたかという武勇談を嬉々として交わしている。それから皆非常な夜更かし、朝寝坊である。ま、音楽会は夜、そして大抵その後打ち上げがあるので、音楽家と言うものは夜に強くなければいけないのだが、それにしても皆自分のリサイタルの前日にパーティーに行って酔っ払い、本番ぎりぎりまで寝ていた事が羨望の的となるのだから凄い。そして本当にそれで弾けるのだから、もっと凄い!
しかし私は天才などでは決して無い事を深く、ふかーく自認しているために、恥ずかしげも無くほぼ毎朝、学校に一番乗りで練習を始める。
まず初めに座る。 座るときは頭の重みが背骨を通って、直角に一番楽な形で尾?骨に安定するように、座る。 バランスが取れて、もうこの姿勢で10時間いても、楽チンだーと思える場所を御尻を右、左とモショモショ動かしながら探す。
バランスの取れた姿勢が見つかったら、今度は両腕を鍵盤に伸ばして、こぶしで黒鍵を「ジャーン」と鳴らす。 そしてピアノの中の弦が共鳴して振動するのを体で感じ、その音がだんだん遠のいていくのをずーっと聞く。そうしてゆっくり音楽に入っていく。
最初に「勤勉」と書いたが、私はやっぱりピアノが好きで、必要なのだ。 ピアノの前に座って始めて自分が分かる。
そんな私だが、それでもやはり、だれる時がある。 特に日本滞在中は何だか時間がぼんやり過ぎる事が多い。 やはり甘えてしまうのだろうか? それとも子供時代、いかにして親の目を盗んで練習をサボるか試行錯誤していた時代の記憶がよみがえるのだろうか? 何だか家族と和んでしまう。 いつものようにビシっと行かない。日本を去ったらまたてんてこまいなのに、予習がどんどん後回しになっていく。 そして、お茶が美味しい…
しかし、潜在意識と言うのは本当に恐ろしい、と言うかありがたい、と言うか、やはり計り知れない。 こういう時期がしばらく続くと、私は必ず夢を見る。 設定と細かい筋は毎回違うのだが、パターンはいつも同じだ。
① 本番がある(エ!…知らなかった…エ!こんなプログラム提出したっけ…?)
② 弾きながら、又は弾く直前、準備不足に大慌てする。(どきどき)
③ 弾けない!(オーマイゴッド)
④ 目が覚める。(練習しなきゃ!!)
そして、おととい私はこの種の夢を又見てしまったのです。
さて、そろそろ練習するか…

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