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眠いので手短に。 毎週山の様にどっさり演奏会が在るのですが、金曜日と土曜日の夜のボストン交響楽団の演奏会は8時半からの開演で、寮に戻ると11時を超えているのです。それから必要最低限の電子メールをしたりしているとすぐに真夜中。そして朝は早い。。。今日のボストン交響楽団は、レヴァインのアシスタントで韓国人女性の指揮者、シーヨン・サングによる演奏会でした。ヒラリー・ハンの独奏でシベリウスのヴァイオリン協奏曲の他、ストラヴィンスキーの「火の鳥」、コープランドの「Quiet City」、そしてワーグナーのオペラ「ローエングリン」の3幕目前の序曲。とても良かった。私はシーヨンは共通の友達が居るので少し顔見知りなのですが、同じ年代の女性としてとても誇らしく思いました。格好良かった。今、私の世代くらいの女性がニューヨーク・フィルや色々な世界的なオケのアシスタントとしてトップ・レヴェルで進出を始めています。アジア人が多いのはなぜか不思議ですが。それからもう一つ不思議なのは、服装。皆タキシードもどきを着るのです。やはり女性らしい格好では余りにも男性のイメージの強いこのポジションは違和感を醸し出すのでしょうか?だからこそ、反抗心を持ってドレスを着てほしい気もしますが。 私のこの頃の活動はシューマンのトリオ。14日に演奏予定で、昨日からリハーサルが始まりました。明日からコーチングが始まります。何とクローデ・フランクとパメラ・フランク親子によるコーチングを受けられるのです! それから火曜日にピーター・セルキン氏に特別にレッスンをしてもらえる事になったので持って行くショパンの幻想曲の練習。そして水曜日にアウグスタ・リード・トーマスの曲を本格的に録音するためのセッションが在るので、その練習も。 と、言う感じ。後は毎日オケのリハーサルの見学や、室内楽や交響楽団の演奏会で結構予定はみっちりです。社交も大事だし。
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私は音楽家としてはかなり規則正しい生活を送っている方だと思う。タングルウッドでも朝の3時や4時まで飲み会が行われているのに、私はできるだけ12時前に就寝し、9時に片づけられてしまう朝ご飯は一度も欠かしたことが無い事を結構誇りに思っている。多分とても健康な印だと思うが、たまにする昼寝も15分ほどすればパッと目が覚め、とても元気になている。 でもやはり本番が立て続けにあった今日この頃は疲れていたのだと思う。昨日は朝朝食にギリギリセーフで間に合い午後の2時から5時まで、泥の様に眠ってしまった。その後オペラの最終本番が在り(日本人で指揮の研修生として参加している原田慶太楼君が堂々と振り切りました!凄い!)、オペラ打ち上げパーティーがタングルウッドのスポンサーで実に華やかに行われ、また夜中の1時半まで派手に飲み食い。。。今日は起床は10時でした。オペラの翌日と言う事でタングルウッドの特別計らいで朝食が11時まで延長されていたので、朝食はそれでも食べましたが、今夜の11時ですでにちゃんと眠いです。 今日はとても良い日でした。 昨日ストラウスの「ナクソス島のアリアドネ」を指揮すると言う大役を果たした原田慶太郎君が水餃子とパスタ・サラダと、蛸飯と納豆とつくだ煮と言う素晴らしいお食事会にもう一人日本人のピアニストのYさんと一緒に招待してくれたのです。久しぶりの純日本食と日本語の会話で、素晴らしい一時でした。本当になごみました。 それから、アウガスタ・リード・トーマスと一緒に"Traces"出版前の最終校正と録音前の打ち合わせで色々楽譜の表記の仕方や、解釈について話し合うミーティングをしました。凄く意見を尊重してくれるので、私も嬉しくなって本当に曲が出来上がる過程に携っていると言う感覚でワクワクします。 夜はベルナルダ・フィンクと言うメゾ・ソプラノとアンソニー・スピリと言うピアニストのリサイタルに行きました。リサイタルその物も素晴らしかったのですが(歌手の声も素晴らしかったが、ピアニストと本当に息が合うと言う感じで音色が溶け合っていてびっくりしました)、私の敬愛するルーシー・シェルトン(現代曲専門のソプラノ歌手でタングルウッドの教授。月夜のピエロを歌う代表的な歌手)のとなりの席に座って彼女と意見を交わしたり、聴き入る彼女の息遣いとか、どこに興味を持って聴いているかとか、垣間見れてとても面白かった。彼女はとても丁寧に曲の解説とか色々してくれて、ベルナルダを物凄く評価して、リサイタルの後は「こんなに良い演奏会の後は、絶対にいかに真剣に聴衆が喜んだか知らせるべきだ!」と言って恥ずかしがる研修生をひきつれて楽屋まで皆で挨拶に行きました。
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私は日本語の本を読む事も日本語で文章を書くことも大好きで、意識的にはとても日本人のつもりですが、やはり20年もアメリカで暮していると、少し感覚的なずれが出てくる事はしょうがないようです。その一つに、とても嬉しい事が在った時、どうやって表現するか、と言う事が在ります。アメリカなら、他の人を褒めるのも大げさですし、自分に自信を付けると言う意味でも自分に起こった出来事を肯定的に表現する事は奨励されます。でもこう言う行為は日本では少し謙遜の美徳と相反する様で、私にとってこのギャップは苦労する事の一つです。でもこのブログは私の家族や、支援してくださっている方々への、活動の報告と支援への御礼、と言う意味も在るので、少し多めに見てください。 日曜日の朝演奏したアウグスタ・リード・トーマスの"Traces"と言う曲の演奏がとてもうまく行きました。準備の段階から作曲家にはとても喜んでもらえて、彼女が多いに宣伝してくれたので、色々な方が聴きに来てくださいました。朝のコンサートの、しかも前半の2番目と言う順位だったにも関わらず、それから現代曲には珍しく、聴衆の多くが立って拍手して下さいました。作曲家に本当に喜んでもらえて「自分の書いた曲をこんなに熱のこもった演奏で生で聴けるのなんて、一生に何回も在る事では無い。本当にありがとう。」と涙ぐんで言ってもらえて、私もちょっとうるうるしてしまいました。彼女が、私がこれから行くヒューストンの色々な知り合いに色々お手紙を書いてくれて、ヒューストンでもこの"Traces"の演奏が実現しそうです。それから、この曲をチャンと録音するために今作曲家と、色々検討中です。 お客さんの反応と言うのは本当に正直なものです。上手く行かなかったときでも、皆とても優しいし、丁寧だから、一応ご挨拶くださって、褒めてくださるのですが、本当に上手く行った時には、全然反応が違います。私は来てくれていた沢山の研修生から沢山、沢山ハグをもらいました。そしたら、チケットもぎりのボランティアの人とか、顔見知りだけどあんまり知らない人も「私も」、「私も」とハグをしに来てくれて、しまいには、全く知らない聴衆の人までハグしに来てくれました。「私は1948年から有望なタングルウッドの研修生のサインを集めている。バーンスタインが生徒だった時、彼のサインももらったし、小澤征爾のももらってある。あなたのも下さい」と来てくださったおばあさんもいましたし、それからシンガポールに駐在なさっていて休暇でタングルウッドに遊びに来ていた日本人のご家族と記念写真を取りました。娘さんはピアノを弾かれるそうです。頑張ってね。 オペラの演奏も上手く行っています。ドホナーニはリハーサルの最初は本当に厳しくておっかなかったけれど、ここまで来たら本当にさすがに流暢で、熱意のこもった、しかも従いやすい指揮です。そして褒め言葉も笑顔も惜しみません。皆で一緒にやって来て良かったなあ、と言うムードが出演者全般に漂っています。そして昨日は「皆頑張ってくれてありがとう、御苦労さま」昼食会がタングルウッドのスポンサーで開かれました。サンドウィッチくらいが出るのかと思ったら、チャンと給仕の居る、レアのステーキとかがでる、とても美味しいお食事で、しかもなんと、ヨーヨー・マとか、エマニュエル・アックスとか、ジェームス・テーラーとか、有名人が沢山、沢山出席して、皆と一緒にお食事して款談して、写真を取ってくれたのです。私はエマニュエル・アックスと一緒のテーブルに座りました。アックス史はとても柔らかい物腰で「皆キャリアの事では色々大変だと思うけど、自分の才能を信じて、頑張って」的なお話をゆっくりしながら、クッキーを「奥さんには内緒にしておいてね」と三つくらい食べてしまいました。(奥さんは日本人ですが、このブログは読んでいませんように) そんなわけで、上手く行っています。今日も二つ演奏が在ります。楽しみです。
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明日の朝から私は超売れっ子のスケジュールです。 8月1日(日) 朝10時のオザワ・ホールでの演奏会でアウガスタ・リード・トーマスのソロ・ピアノの為の"Traces"を演奏。 1時~2時半 8月3日のソロ・ピアノの演奏会出演者のリハーサルに参加。 7時半~ ストラウスのオペラ、「ナクソス島のアリアドネ」の初演 8月2日(月) 午後に8月3日のオケの演奏会のリハーサル(ジョン・ウィリアムズの"Seven for Luck"でピアノ・パートを担当)と、同じく3日のソロ・ピアノの演奏会の通し稽古 7時半~オペラ 8月3日 4時からソロ・ピアノの演奏会でシューマンの「子供の情景」から抜粋の演奏 8時半 オケのコンサートでジョン・ウィリアムズの"Seven for Luck"でピアノ・パートを担当 8月4日 7時半~オペラ 4日で6つの演奏会! 私は結構こういうスケジュールは好きです。張り切ります。
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私はアメリカに来てまだ間も無い頃、母と妹と一緒にタングルウッドに演奏会を聞きに来た事が在ります。小澤征爾さんの指揮で、ピーター・ぜルキンのモーツァルトのピアノ協奏曲を聞きました。ピーター・ぜルキンは、伝説的なピアニスト、ルドルフ・ぜルキンの息子です。彼自身、とても高名なピアニストで、去年はストラヴィンスキーのピアノの木管の為の協奏曲でボストン交響楽団とタングルウッドで共演し、その非人間的に性格な演奏に圧倒されました。そのピーター・ぜルキンが今年はタングルウッドのピアノ研修生に一人ずつレッスンをしてくれる、と言うのです!今日はそのレッスンでした。 ピーター・ぜルキンはとても控えめで静かに喋る人です。痩せていて、背が高く、ちょっとマーラーの写真を思い出します。でも静かですが、目の奥にチロチロと素早い考えが頭の中で起こっているサインが見える感じの人です。 私は「子供の情景」から、最初の三つまでと、「トロイメライ」を聞いてもらいました。この曲は日本でももう何回も演奏しましたし、私はかなり弾きこんでいるつもりでしたが、彼の細かな楽譜の読み方、微細までに至る注意で、全体像がグンと明確になりました。また、弾きこんでしまったために完全に見えなくなっていた見方を色々提示してくれ、またこの曲に新たな姿勢で臨む気持ちにさせてくれました。 とても楽しいレッスンでした。大声で笑う様な楽しさでは無く、これから毎日練習して行くのが、新たにワクワクと楽しみになるような楽しさです。静かに凄い人だなあ、と思いました。
