今日、練習していたら遠慮がちに練習室のドアがノックされた。 「明日メンデルスゾーンのピアノ三重奏を演奏しなければいけないのだけれど、どうしてもしっくり来ない。もし時間があったらちょっと聞いてくれませんか?」 余り友達づきあいの無いヴァイオリニストだったのだけれども、凄く嬉しかった。特に、丁度この夏私がタングルウッド音楽祭でエマニュエル・アックスにみっちり仕込まれたハ短調の三重奏だったから私も自信を持って伝授出来ることが沢山在ったし。三人とも凄く喜んでくれて、とても良く反応してくれて、最後に三人が一人づつハグして、感謝してくれた。また、聞かせてくれるらしい。この頃何だか生徒同士の弾きあいっこが以前より少なくなって、寂しかったのだ。私がより「先輩」になったから距離が出来た、と言うのも在るかも知れないが、でも他の人たちもそんなにお互いの演奏について意見交換を活発に行っている様にも見えない。私が入学した四年前は60人だった全校生徒が今では120人で、そう言う拡大につれて連帯感と言うのが薄まるのはしょうがないのかも知れないが。。。そういう中で、私の意見を求めてくれるのには、少し勇気が要ったと思う。私こそ、感謝したい気持ちだった。私自身、エマニュエル・アックスのレッスンの良い復習にもなったし。
大体ロサンゼルスは、ハリウッドがあるせいもあるが、肉体美を始めとする「うわべ」を繕う文化だ。 モデルのようにやせ、着飾った人が多いし、 筋肉マンみたいな人達が筋トレをするヴェニス・ビーチの一角、「マッスル・ビーチ」と言うのは観光スポット。 ヨーガや、ジムに通うことは最近では「成功の秘訣」、みたいに色々な所で宣伝されているが、 ロスは特にその傾向が強い。 コルバーンに来てから、私は前よりずっと運動するようになった。 2006年、私の一年目は、サウナの様に暑い室内でヨーガをする「ビクラム・ヨーガ」を週2位でやった。 そのあとは、普通のヨーガに二年ほど凝った。 姿勢を正し、重心を下に下げることで上半身の力が抜け、余分な努力無くピアノを弾けることを狙い、 週に二回、ほぼ必ず通っていた。 しかし、寮の各階に住む、「寮生活アドヴァイザー」みたいな人たちの一人に ボディー・ビルダーの様な立派な筋肉を持ったトランペット奏者が就任した2008年、 私のヨーガ時代は終わった。 彼が無料でコルバーンの生徒対象に火曜・木曜・と土曜の週3回、 朝の7時半から一時間の運動クラブを立ち上げたのだ。 この人はアメリカの軍隊のマーチング・バンドにしばらくいたことがある人で、 そこで本格的な筋トレを始めたらしい。 最初にその運動クラブに参加した次の日は筋肉痛で、階段がまともに上り下りできなかった。 この夏もタングルウッドでほとんど運動をしなかったので、先週木曜、今年初めて参加してから二日間、 エレヴェーターの常用者になった。 30秒ずつ、腕立て伏せ、腹筋、その場でジャンプ、その場で膝上げかけっこなど、 色々な運動メニューを彼の号令に従って次々とこなす。 それが10分のセットで、間に2分の休憩を入れて、2セット。 そのあと、階段12階を駆け足で上り下りさせられる時もあれば、 ウサギ跳びとか、腕を頭の後ろで組み深くジャンプして50メートルの距離を行ったり来たりする、とか 根性物のマンガに出てくるようなしごきメニューである。 息は切れるし、汗はべとべとだが、参加者はどんどん増え続け、 今日は22人、120人居る全校生徒中、六分の一の参加になった。。 去年運動クラブが始まったばかりの時は、途中気分が悪くなったり、実際吐く子もいた。 こういうのは大抵男の子だ。 適当にずるしたりしないで(俺はできるんだ)と、歯をくいしばってやるからそうなる。 私は苦しくなると(あ、靴の紐がほどけそうー結び直そう)、とか、(ちょっと水分補給)とか すぐずるするので、絶対に気分は悪くならない。 そして、そうしていても、汗はべとべと、息はぜーぜー、次の日は筋肉痛なのである。 でも、激しい運動で始めた一日はいつも機嫌良く進む。 脳内で分泌されるエンドルフィンのせいか、それとも体にやっぱり良いのか。 苦しくても、病みつきになってしまう。 そして今週末は学校からサーフィンの一日体験の遠足がある。 学校の大盤振る舞いで、破格の15ドルで、必要な物がすべて借りられ、レッスンが受けられる。 今から楽しみである。