コルバーンでの学校生活

友情について。

私は、どちらかと言うと一匹狼である。 小学校の卒業アルバムでは「クラスのひょうきん者」に選ばれたりしたし、時々急にハイテンションになって一人で大声で喋りまくったりするが、沢山の人が同時に会話をしている、例えばレストランのテーブルや、パーティー会場で良く、気が付くと完全に自分の頭の中に入り込んで全く別の考え事をしている自分に気が付いたりする。「会話の為の会話」と言うのは、余りしない。一人でいる時間が普通の人より多く必要としていると思うし、その時も頭の中は結構忙しく、楽しくしている。私が旅が苦にならずに、むしろ好きなのは、そう言う性格によるところも多いと思う。 そんな私でも、人生の疑問を時々分かち合いたくなって、急に非常に入り込んだ会話をしたりする。そう言う必要を感じる時、そう言う会話に応じてくれる友達に、私は実に恵まれていると思う。何週間も、何カ月も、時には何年も話しをしていなくても、訴えかければ共鳴して、一緒に考えてくれる友達。 今日は2006年、私のコルバーン一年目の時のルームメートに電話をした。将来のことの不安を、今同じような立場にあると風の便りに聞いた彼女と、分かち合いたくなったのだ。コルバーンで余り幸せで無かった彼女は近所に住んでいながら、卒業後は全く姿を消してしまった。話すのは実に1年ぶり位だ。それでもルームメート時代は実に色々な話をしたし、どうしているか、心の底から気になったのだ。「どうしているかと思って」と言ったら「今、青空市場で一杯買い物して来たところ。夕飯作るから、食べにおいで」と誘われた。尋ねて行ったらろうそくが灯して在って、前菜から飲み物まで、ゴージャスなお夕飯が用意してあった。美味しく頂きながら、一杯おしゃべりをした。 私は、幸せものだなあ、と思う。

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弛緩

今日は14人のコルバーンの入試オーディションの伴奏をした。クラリネット、バスーン、そしてオーボエの木管のオーディションの日である。色々なドラマが在り、色々な曲が在り、色々な解釈、個性が在り、色々な挑戦が在った。私はニューヨークでフリーランスをしていた時ははジュリアードのパート・タイムのスタッフ伴奏者としてかなり伴奏をしていたが、コルバーンに来てからしばらくは、思う所色々在ってしばらく伴奏はほとんどしていなかった。こんなにまとめて伴奏したのは本当に久しぶりだ。オーディションが終わってしばらくは、凄い高揚と充実感で、色々雑用を片付けて走り回ったり、友達に声高らかにハイテンションで話しかけたりしていたが、夕飯の後、一つ次のオーディションのリハーサルをしたあと、突然脱力してしまった。もう何もできない。一日置いて、木曜日にもチェロのオーディションをまとめて伴奏するのだが、その為の譜読みをしようと思ってももう腕が言うことを聞かない。通りかかった友達に「大丈夫?凄い疲れて見えるけど」」と聞かれて初めて、(ああ、これは疲れなんだ)と自覚した。時間を開けて、今夜は最後にもう一つ10時半から最後のリハーサルが在る。それまで自分の部屋で仮眠を取ろう。部屋に戻って電気を消して、布団をかぶったら今日一日在ったことが、アリアリと、でも夢の様によみがえってくる。眠れないのだけれど、でも寝ている様に身体が動かない。今日弾いた曲がどんどんどんどん頭の中でプレイバックされる。今日在った色々な入学志望者の顔や声や、人生談や、音楽性が思い出される。そうやって、横たわって、約一時間。段々自分が戻って来た。 気が付いたら窓の外の夜景がきれいだ。 私は年功序列なのか、今年は個人部屋をもらえた。寮の10階の、建物の角の部屋で、寝室に付いた二つの窓からの眺めは多分寮の中でも一番良い。窓からはハリウッド・サインも、ウォルト・ディズニー・コンサート・ホールも、市役所も見え、遠くには山脈も見える。絶景だ。遠くの夜景がまたたいている。こんないわゆる一等地の素晴らしい眺めの部屋に住む縁になったここまでの道のりが、不思議で、そしてありがたく思えてくる。 急にお腹がすいてきた。それから昨日はブログを書かなかったことを思い出した。段々自分が戻ってくる。気がつけば10時。最後のリハーサルまであと30分。さあ、後一頑張り。行ってきます。

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キャンプの復習とこれからの予習

私がこれまでキャンプに出かけた国立公園は、ロサンジェルスから車で2~3時間の所にあるジョシュア・トリー国立公園やアンザ・ボレゴ国立公園でした。砂漠系で、ちょぼちょぼ草木が生えている感じで、干え上がった川の後をどこまでも歩いたり、昔滝が在った絶壁でやまびこを楽しんだり、そう言うキャンプでした。でも、今回は少し遠く、カリフォルニア州のずっと北、サン・フランシスコ近くまで4~5時間ドライブして行ったBig Sur 国立公園は海辺沿いの公園で、針葉樹や色々な草木が茂っている中突然絶壁の向こうが海だったり、色々な川や滝があったり、ずっと「豊かな自然」と言う感じがしました。アザラシや、スカンクや、リスやカモメなど沢山の生き物との遭遇も在ったし、色々な花や鳥の声や水の音に囲まれて、兎に角気持ち良かった。今回の一番のビッグイベントは川越えです。まだ朝晩が凄く冷え込むし、今回は少し強行軍でキャンプの前後のスケジュールがとても過酷だったので、チャンと寝れるようにテントではなくキャビンを予約したのですが、このキャビンに着くまでに車で橋のかかっていない川を運転して越えなければ行けず、ジープでも無い、普通の乗用車で行った私たちはちょっとビビクリました。でもこれはチャンと川の中に舗装がしてあって一度通ったらただ物珍しくて楽しかっただけだったのですが、もう一つの川越はちょっと怖かった。国立公園は自然保護地でも在り、訪れた人々の為に奇麗にしては在るのですが、自然保護が一番の優先です。マスの産卵の時期に当たったようで、マスがチャンと川のぼりが出来るよう、川の橋を撤去してあったところが在って、私たちはどうしてもその川の向こうに在るビーチに行きたかったのです。始めから公園の管理人さんたちに「川越は無理ではないけれど、水は冷たいし、かなり深い。太ももまではつかる覚悟で、靴とズボンは脱いで渡ってください」と警告されていたのですが。。。砂浜に行く時は、ただ水の冷たさに息をのんだだけでそれでも大騒ぎしながら、普通に越えたのですが、ビーチで遊んだ帰り、同じ川を越えようとした時、水域が随分高くなっていることに入ってから気がついたのです。 でもその時はもう川はすでに半分越えていて、「もう進むしかないよ!」と私は声高らかに宣言して、皆を引っ張るつもりで一人でぐんぐん進み始めたのですが、川の勢いが強く、向こう岸に垂直に進んでいるつもりがどんどん流されて、斜めに歩いていたのです。皆が後ろで大騒ぎしているので、やっと自分でもそのことに気づき、パニック!そしてパニックしたから余計足元があやしくなり。。。あそこで転んでいたら、かなり流されていたところでしたが、でも幸い、私は足腰にチャンと力が入って踏みとどまり、胸まで水につかってしまったものの、無事でした。そして私が無事に渡ったのに勇気づけられて残りの友達もちゃんと渡りきったから良かった。あそこで砂浜に残されて一晩明かすのは苦行だったと思います。 後で、皆で大笑いしました。  今回キャンプで学んだこと; 1)「なせば成るし、思い切ってやってみると大抵のことは楽しい」 2)「冒険している時足元ばかり注意していると、余計危ない。周りにもチャンと注意を払いながら進んだ方が肩の力も抜けるし、ずっと楽しいし、足元の危険と周りの危険の両方、バランス良く注意を払える。これは初見の時、楽譜ばかりにらんでいても逆効果なのと同じ。楽譜と鍵盤と交互にバランス良く注意を払って初めてちゃんと音楽も耳に入ってくる。楽譜ばかりにらんでいると、どうしても変な力が入ってしまいに全然聞けていない状態になってしまう。」 なぜこれから強行軍かと言うと、来週からコルバーンの入学試験が在るからです。私はオーボエや、クラリネットやバスーンやチェロの伴奏に駆り出されて20人位の人と一緒に一回のリハーサルとオーディションを弾かなければいけません。一人大体2曲から3曲弾くので、私は今楽譜の山に埋もれそうです。でも色々なピアノ以外のレパートリーを沢山つまみ食いするのも、それなりに楽しいです。 1)「好きこそ物の上手なれ」子供の時に面白い本が辞められなくて、お母さんに叱られてもトイレに行って中でこっそり(夜遅くとか、練習しているはずの時間とか)に夢中で読んでいた、あの夢中さを練習で再現すればどんどん譜読みがはかどるはず!(次はどうなるのか)と言うワクワクした気持ちをそのまま譜読みに投影させよう!

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「真夏の夜の夢」、生徒会、その他

コルバーンは、私は今、アーティスト・ディプロマと言う課程に属している。これは学部以上の学位を持っている学生が、演奏家として腕を上げるための修行を積み、演奏活動をどんどん広げる間、生活を保障し、良い先生と勉強する機会を与える、と言う趣旨のプログラムだ。自由に演奏旅行や、コンクールに出るために旅行出来るよう、義務付けられているのは、各週のレッスンと、一学期に一回の室内楽演奏だけで、後はクラスなどは全くない。でも、私は暇が在る時は学部生のクラスを聴講したりする。今週から「音楽を触発した文学」と言うクラスの聴講を始めた。今やっているのは「真夏の夜の夢」。今日のクラスではタイテイニアのセリフを皆の前で指名されて朗読した。ちょっと緊張したけど、皆に褒められて、気持ち良かった。そう言えば、私は朗読が好きだったんだ。 私は選挙で当選して今生徒会に属している。今日は、生徒会のミーティングが在った。コルバーンはまだ出来たてほやほやの学校だから、お金は沢山あるけれどその使い方とか、方針とか、そういうものが非常にあいまいだ。私はこれから卒業するけれど、コルバーンにはこれからどんどん成長してほしいし、今の生徒会のメンバーも皆そう言う気持ちだから、一生懸命話し合った。普段は気楽に話せないようなことを、無礼講で思いっきり話し在ってすっきりした。 私が問題意識を持っていることは、やっぱり皆も問題に思っていたんだなあ、思い切って色々話して良かったなあ。 今日はかなり頑張って練習がはかどった。良い日でした。明日は友達と皆でスケートリンクに遊びに行きます。 明日から、一週間の春休み。

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昨日在った、嬉しいこと。

色々、嬉しいことが沢山在った。 一つは、ちょっと長い話しになるのだけれど、私が2007年に出したCD、"Etudes, Seriously"についてだ。 このCDを出そうと思ったきっかけは、プロコフィエフの「4つのエチュード」作品2を勉強中にこの作品の良い録音が皆無だと言うことを発見したからだ。作品2と言うことで、若い(プロコフィエフはまだ学生だった)時の作品出し、超絶技巧なので弾こうと思う人が少なく(私も始めは怖気づいていた)、この練習曲集は余り知られていない。キーシンがこの4つの中から3番目だけを弾いているけど、彼の演奏はちょっと指任せで速過ぎる。プロコフィエフピアノ曲全集の録音を出している人は、(しょうがなく)と言う感じで、この作品2も収録しているが、本当に妥協の多い録音ばかりだ。私はこの曲は素晴らしく効果的で、音楽的価値が在る作品だと思うので、ちゃんとした録音を残しておきたかった。でも、CDと言うのは出す過程においては色々頑張るけど、出しちゃった後と言うのは、他のプロジェクトも沢山あるし、忘れちゃう。ところが、私の先生が学部生の女の子に「マキコがプロコフィエフの4つのエチュードを素晴らしく弾く。彼女が卒業する前に勉強しなさい」と言ってくれたのだ。この子がツトツトと練習室で練習しているのを聞いて、びっくりした。先生がそんな風に言ってくれた、と聞いて凄く嬉しくって、その子にCDをプレゼント。この子は韓国人でまだ少し英語が不自由だし、多分性格的にもちょっと静かな感じの子なのだが、CDを上げた次の日(昨日)、興奮してロビーで呼び止めてくれた。「凄い!You are so good!!」と言ってもらって、恥ずかしい位嬉しくなってしまった。そう言えば、あの曲は頑張って練習したなあ。そして、こういう風にもっと色々な人にこの曲を知ってもらいたい、もっと弾いてもらいたい、と思って録音したのだったなあ、と思いだした。 もう一つ嬉しかったのは、あんまさんにマッサージしてもらったこと。コルバーンは、何度も書いている様に、学費、寮の滞在費、食費と全生徒(120人)に無料で支給しているが、その他にもさらに、無料で演奏会の入場券を配ったり、毎年恒例でディズニーランドに遠足や、サーフィンのレッスンや、至れり尽くせりしてくれる。あんまさんに来てもらって期末や中間試験の時に生徒に無料でマッサージ・サービスが在るのも今年新しい試みだ。とっても気持ち良かった! もう一つ嬉しかったのもコルバーンのこと。コルバーンの寮の食事と言うのは、私は個人的には寮の食事としては素晴らしいと思う。毎日ピザと、出来あいだけど寿司と、サンドウィッチと、サラダと、スープ2種類が在り、そのほかに日替わりで、パスタとか、中華の炒め物とか、お魚とか、色々ある。寮の食堂だけど一般公開もされていて(そうしなきゃ、120人相手にこんなに豊富なメニューは無理)、結構毎日にぎわっているし、私は普通のレストランに比べても良い質・内容だと思うのだが、皆は結構遠慮なく文句を言う。その文句に応えて、カフェテリアの人たちは色々工夫をしてくれる。昨日は初めての試みとして、インド料理を出してくれたのだ! これは近くのインド料理屋さんに届けてもらって出すのだが、びっくりするくらい美味しかった。いつもは文句の多い私の学友たちも、皆感心していた。問題は、すぐ売り切れてしまったことだ。でも、私は早めに夕飯を食べたので、大丈夫でした。

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