音楽史

美笑日記8.27:言論の自由と人間性

「王様の耳はロバの耳‼」 王様の秘密を知ってしまった床屋が黙秘の重圧に耐えきれず命の危険を冒して叫ぶという内容の昔話は紀元前ギリシャ神話から中世の韓国、中東、欧州と世界各地にあります。命に代えても真実を知りたい、伝達したい―この普遍的な人間性が似たような昔話として世界中に言い伝えられているのでしょうか。そしてアメリカの権利章典(Bill of Rights)に於いて「言論・報道・信仰の自由、および平穏な集会や政府への苦情の権利」を第一条として保証するのも表現力を人間性の大切な一部と認めるからではないでしょうか。 数か月後に迫ったアメリカ大統領選挙が感情的な分断を引き起こしている理由はいくつかあるでしょう。SNSのセンセーショナリズムと誤報 (misinformation)や煽動。 生成AIの発展と共に悪化するや偽情報 (disinformation)。更に保守系シンクタンク、ヘリテージ財団がトランプ勝利の場合に政策として推進するとされる「プロジェクト2025」には、私のような米国在住の有色人種・移民・女性に危機感を抱かせる言及が多くみられます。キリスト教の解釈に基づいた倫理観を法律として全国民に執行すべきという一派の主張は、違う宗教観や倫理観を持つ人びとの信仰の自由を侵害し、「政教分離原則」に矛盾します。更に「プロジェクト2025」は女性・有色人種・性的マイノリティー・移民・経済的弱者などの社会参加を難しくすることで多様性を減退させます。 ベートーヴェンの音楽が爆発的に流行した歴史的背景には、歌詞がない器楽曲が当時ウィーンで厳しかった検閲の対象にならず、検閲のために他の芸術形態には当時なかった表現の自由を謳歌して人々の鬱憤を代弁したという見解があります。 Liberty is meaningless where the right to utter one’s thoughts and opinions has ceased to exist. That, of all rights, is the dread of tyrants. It is the right which they first of all strike down. They know its power. Thrones, dominions, principalities, and powers, founded […]

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美笑日記7.2:ピアノに聴く革命

独立宣言が公布された1776年7月4日、モーツァルトは20歳。モーツァルトに並んで古典派を代表する「交響曲の父」ハイドンは44歳。ハイドンの師事を20代に仰ぎ、のちに理性の古典派から感情のロマン派への架け橋となるベートーヴェンは若干5歳です。

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美笑日記2.13:音楽のバトンリレー(小澤征爾さんを偲んで)

1959年2月に貨物船で渡欧し、同年9月に第9回ブザンソン国際指揮者コンクール第一位に輝いてから一世を風靡する「世界のオザワ」として名を轟かせ、音楽史に太字で名を遺したあっぱれな音楽人生でした。

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