美笑日記11.12:世界平均幸福度を上げよう。
「疲れや貧しさに喘ぎ、自由に焦がれて岸辺に群がり、安住を拒まれて嵐にもまれる哀れなさすらい人たちを私に送れ。私はランプを掲げて黄金の扉を示す。」『移民の国』アメリカ民主主義の理想です
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「疲れや貧しさに喘ぎ、自由に焦がれて岸辺に群がり、安住を拒まれて嵐にもまれる哀れなさすらい人たちを私に送れ。私はランプを掲げて黄金の扉を示す。」『移民の国』アメリカ民主主義の理想です
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「喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しき時も、健やかの時も病める時も…」通常新郎新婦が結婚式の誓いに交わす言葉ですが、私は音楽家としてこの誓いにある様に聴き手に寄り添えるピアニストを目指しています。 不穏なご時世。(私に何ができるのだろうか)と弱気になることもあります。でも私は色々なところで様々な方々のために演奏して、世界の広さと多様性を体感しています。モンタナではその街初の演奏会を披露し、アラバマでは1000人の小学生に質問攻めにあいました。重度障碍者とそのご家族や、ホームレスの方々などにも演奏した一方、有名会社の創立者ご家族や映画業界の著名人などの豪邸で演奏させて頂いた事もあります。音楽はどんな人々の間にも橋渡しができると信じて活動しています。 音楽というのは食事と同じだと思うのです。どんなに正反対の固定観念を持っていても、どんなに生まれ育った状況や受けてきた教育が違っても、空腹時にご馳走のテーブルを一緒に囲めば笑顔になります。寒い日に暖かいシチューを振舞われれば優しい感謝が生まれます。 こんな寓話をご存知ですか?地獄に行くと細長いテーブルを挟んで人々が向かい合って座っています。それぞれの前においしそうなスープが湯気を立てていますが、みんな飢えて痩せこけています。スプーンが長すぎて自分の前のスープ皿にも自分の口にも入れられないのです。天国に行くと全く同じ状況ですが、みんな丸々と太ってニコニコしてます。違いはただ一つ。天国では長いスプーンでテーブル向かいの隣人にスープを食べさせてあげてたのです。 否が応でも我々は地球人として、運命共同体です。一人の痛みはみんなの痛み。あなたの喜びは私の喜び。自分の幸福度は周囲の幸福感に影響されるのは研究でも立証されています。最大数の人々が最大の効果を得るために、一人ひとりが今できることはなんでしょうか。 この記事は日刊サンに隔週で連載中のコラム「ピアノの道」♯140(11月3日付け)を基にしています。
「忘れたいと思えば思うほどよみがえってくる。忘れてはいけないことなんだ、無かったことにしてはいけないんだとやっと気が付いた。」15歳の時に広島で被爆し、亡くなった下級生たちを火葬までした体験を語り続けてきた切明千枝子さん(94)の言葉です。 先日「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)のノーベル平和賞受賞は被爆の悲惨を世界に訴え続けた被爆者たちへの評価であると同時に、核兵器拡散や使用はこれら被爆者の努力をないがしろにする非人道だという警告でもあります。かくいう私も被爆者を祖父に持ちながら、2023年にランド研究所の「現世の最大の危機は環境汚染よりも核兵器だ」との発表を知るまで核兵器の脅威を歴史とSFのお話と感じていました。 Doomsday Clock(終末時計)をご存知ですか?核戦争などによる人類滅亡を「午前0時」とし、滅亡までの危険性を残り時間として表現する「原子力科学者会報」の表紙絵です。第二次世界大戦中、核兵器を完成させたアメリカの「マンハッタン計画」に携わった科学者たちが自らの社会的責任の認識の体現として1947年に始めて以来、現在まで続いています。原子爆弾を上回る破壊力の水素爆弾が開発された1953年には2分前まで近づくも1991年の冷戦終結で17分前まで回復した、その時計の針は今どこだと思いますか? …90秒前なんです。 世界唯一の被爆国に生まれた日本人として我々ができること、なすべきことは何なのでしょうか。日本は被爆国であると同時に、人間の強さの象徴でもあります。原爆投下直後は「75年は草木も生えぬ」と言われた広島は、1949年には平和記念公園の整備を始め、奇跡と言われた戦後の日本高度経済成長と共に復興し、去年はG7 の主催都市にもなりました。人間は過去の過ちの反省を基に成長する知性と人道をもっています。「無かったことにしていけない」のは過去の被爆の悲惨な記憶だけではなく、未来の核爆弾による破滅の可能性も同じです。 この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。https://musicalmakiko.com/en/nikkan-san-the-way-of-the-pianist/3334 このブログエントリーは、日刊サンに隔週で掲載中のコラム「ピアノの道」のエントリー139(10月20日付け)を基にしています。
美笑日記10.16:核兵器廃絶への世界の願い Read More »
猛暑が続きました。LA界隈で一番暑くなるのはサンタモニカ山地で海風が遮られる「ヒートポケット」のウッドランドヒルズ。一か月おきに私の定期演奏を主催して下さるプラット図書館のある場所です。先週土曜日の演奏の日は最高気温が華氏111度(摂氏43度)!記録更新の暑さでした。 小さな会場ですが、立ち見が出るほど地域に根付いたシリーズ。(でもこの炎天下に何人ご来場下さるかな…)私の心配は無用でした。ウォームアップのために早めに会場入りする私よりも早く、数人が中央最前列にすでに陣取っていらっしゃいます。「昔は世界中を旅行したけれど腰を骨折して…今は演奏会が楽しみなの。あなたの演奏は中でも一番の楽しみよ!」きれいにお化粧をした顔なじみが歩行器に体を預けながら楽し気に話しかけてくださいます。いつもは子供連れの夫婦などもちらほらいらっしゃる会場が、この日は高齢者のみ。子供時代から冷房やITに慣れ親しんだ世代より、うちわとラジオで育った世代の方が意外とタフなのかもしれません。 (下の写真は、前回6月の写真です。今週末はとても黒い長袖・長ズボンは無理でした。) 黒人霊歌を主題にした変奏曲やロシア系ユダヤ人のガーシュウィンの前奏曲、そして独立革命をきっかけに祖国ポーランドを去ったショパンのバラードなど、話しを交えながら弾き進めます。質疑応答も活発。世界や人生に翻弄されながらも音楽を紡ぎ続ける人間の強さに対する感動と感謝で会場に一体感が生まれました。音楽というのは圧政された声に耳を傾けるきっかけをくれます。音楽家としての私の使命です。 先月末、アフガニスタンの暫定政権タリバンの法務省は、公の場で女性が声や顔を出すことを禁じる規則を含む新たなな法律を発表しました。女性の中学校以上の教育も許されていません。音楽の演奏も「若者を迷わせる」として2023年の夏、ギターやタブラやスピーカーなどが大量に燃やされています。表現の自由も教育も差別されないことも世界人権宣言に含まれる基本的人権です。世界市民、そして音楽家として私の断固反対をここに発表します。 この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。https://musicalmakiko.com/en/concerts/3308 このブログは日刊サンに隔週で連載中のコラム「ピアノの道」♯137(9月15日付)を基にしています。
「王様の耳はロバの耳‼」 王様の秘密を知ってしまった床屋が黙秘の重圧に耐えきれず命の危険を冒して叫ぶという内容の昔話は紀元前ギリシャ神話から中世の韓国、中東、欧州と世界各地にあります。命に代えても真実を知りたい、伝達したい―この普遍的な人間性が似たような昔話として世界中に言い伝えられているのでしょうか。そしてアメリカの権利章典(Bill of Rights)に於いて「言論・報道・信仰の自由、および平穏な集会や政府への苦情の権利」を第一条として保証するのも表現力を人間性の大切な一部と認めるからではないでしょうか。 数か月後に迫ったアメリカ大統領選挙が感情的な分断を引き起こしている理由はいくつかあるでしょう。SNSのセンセーショナリズムと誤報 (misinformation)や煽動。 生成AIの発展と共に悪化するや偽情報 (disinformation)。更に保守系シンクタンク、ヘリテージ財団がトランプ勝利の場合に政策として推進するとされる「プロジェクト2025」には、私のような米国在住の有色人種・移民・女性に危機感を抱かせる言及が多くみられます。キリスト教の解釈に基づいた倫理観を法律として全国民に執行すべきという一派の主張は、違う宗教観や倫理観を持つ人びとの信仰の自由を侵害し、「政教分離原則」に矛盾します。更に「プロジェクト2025」は女性・有色人種・性的マイノリティー・移民・経済的弱者などの社会参加を難しくすることで多様性を減退させます。 ベートーヴェンの音楽が爆発的に流行した歴史的背景には、歌詞がない器楽曲が当時ウィーンで厳しかった検閲の対象にならず、検閲のために他の芸術形態には当時なかった表現の自由を謳歌して人々の鬱憤を代弁したという見解があります。 Liberty is meaningless where the right to utter one’s thoughts and opinions has ceased to exist. That, of all rights, is the dread of tyrants. It is the right which they first of all strike down. They know its power. Thrones, dominions, principalities, and powers, founded
美笑日記8.27:言論の自由と人間性 Read More »