音楽人生

芸術を医療の一部とする、と言う概念

Houston Methodist Hospitalと言うその4分の1でも世界一の規模を誇る病院機関。 そこに、医療と芸術の融合を実践してデータを集め発表しているCPAMと言う部がある。 CPAM=Center for Performing Arts Medicine.    現在ではfMRAIなどの医療機器を使い、 音楽や一般芸術がどのような効用を持つかデータ化し証明することが出来る。 例えば運動の様に、本当に芸術に健康促進や治癒能力があることが証明できたら、 政府も企業も個人も芸術に今よりも更に価値を見出すだろうし、 例えば特に積極的な興味がない人も、その効用のために芸術鑑賞をするようになるだろう。   実際、脳の活動は個人差があるにもかかわらず、 違うジャンルの音楽の刺激に対しては同じような反応をすることがすでに fMRIイメージで証明されている。 これは個人的な好き嫌いや、音楽に対する知識レヴェルから独立している。 それは非常に不思議な事で、音楽自体に脳に直接働きかける作用があることを示している。   私は今、音楽=治癒能力と言う概念に非常にはまっていて、 今もCPAMのfMRAI技師とミーティングを終えたところ。 自分の特殊技術を持ってこれからどのように社会貢献が出来るか模索中の私にとって 一つのヒントと、沢山のアイディアを与えてくれている。   音楽人生万歳!  

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ヒューストンにもネオナチ!?…でも練習頑張る!

一昨日トランプ政権のアメリカ=オーウェルの「1984」?と言うタイトルで、 トランプ選挙運動中に増えてきたアメリカ社会の人種差別的な言動や事件に関して書いた。 その後、またライス大学関連の事件に関して知ってしまった。   先週、American Vanguardと言う団体がライス大学キャンパスと外界との境に 白人優勢主義や、「アメリカは白人の物だ」と説くポスターを沢山張っていたことを、 私は昨日始めて知った。 http://www.khou.com/news/local/white-nationalist-fliers-left-at-rice-university/396278375 ターゲットになったのはライス大学だけでなく、ヒューストン界隈の大学機関の多く。 「多様な人種の中で勉強する白人男子生徒に訴えかけ、リクルートするため」 と言う声明を発表しています。   話してくれたのは、私のストーカー退治に多大な協力をしてくれ、 私もメンバーの性差別や暴力・セクハラ撲滅のヴォランティア団体のリーダーのアリソン。 アリソンはライス大学のタイトルIX(大学内に於ける性差別撲滅のための政府要請機関)の 社会福祉の専門家。 普段は朗らかで何があっても冗談を言って沢山笑う明るい女性だが ベルリンの壁の落書きの発見者になってしまい、泣いてしまったそうだ。 (彼女は良く笑うが、良く泣きもする。自分の大好きなレストランが無くなった時も泣いていた) 日本の文部大臣に相当するSecretary of Educationに Betsy Devosと言う公立学校に行った事も無ければ自分の子供を送ったことも無い、 学校で教えた事も無ければ、教育に関連することを専門的に勉強した事も無い億万長者が 多大な反対意見や、彼女の無知を暴露するヴィデオや記事、そしてデモ行進にも関わらず 就任してしまいそうな事も、懸念の意見を聞かせてくれた。 Betsy Devosはトランプ政権の全員と同じく、非常な保守派で、 同性愛者や、性同一性障碍者の権利も確保する義務があるタイトルIXを 政府要請教育機関として保持することに反対意見を表明しているからだ。   そんなこんなで私は昨日の夜、珍しく非常に悲しい気分になってしまった。   そして今朝起きたら、のどが痛かった。 今高熱が長引く風邪が流行しているのは、みんな意気消沈して抗体が下がっているから!? そんな思いを体中で感じながら、でもずっと楽しみにしていた土曜日の朝の練習をしに、 学校までとりあえず出向いた。 練習室も、いつもよりがら空き。でもお陰で私が一番好きなピアノをゲット。   もっと希望に満ちた事をまず、考えよう。 Houston Methodist HospitalのCenter for Performing Arts Medicineと言う機関について 色々学んでいる。 ライス大学から徒歩5分の距離にあるこの巨大病院は その4分の1でも世界一の大きさを誇る。 そこで世界唯一「芸術と医療の相互作用」を研究・実践している機関がこちら。     .

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不穏な時だからこそ、練習。

日本で何がどのように報道されているのか ヒューストン在住で、しかもニュース元が主に英語のネットとラジオの私には分かりにくい。 でもこちらでは非常に、非常に、不穏な雰囲気である。 テキサス州は一般的に右寄りで保守的だと思われているが、 ヒューストンはアメリカ国内でも現在最も多様な人口が居るとされている。 特に私の周辺は大学関係者が多いので、 非常に多忙な教授が 「私も移民だ」と 週日の夜中に自ら空港に駆けつけてデモに参加している写真を ソーシャルメディアに挙げていたりする。 生徒は勿論、積極的にデモに参加するだけでは無い。 色々な議員などに電話をかけ、諸問題にどのように投票してほしいか、 誰にどのようにモノ申してほしいか、民主主義社会の一市民の権利として 毎日積極的に自分の意見を表明している。 Facebookにも「この意見に関してはこの人とこの人とこの人に電話を!番号は…」 などと言った投稿が多くみられる。 私も数回電話をかけたりメールを書いたりした。 ライス大学では、こういう議員へ電話をかけて意見するために、 色々なクラブが十数台ずつ新しい携帯電話と番号をゲットして、 ちょっと時間があるクラブ委員や通りすがりの任意の生徒が 廊下で次から次へと番号を回して意見している。   何しろ、移民法だけではなく、健康保険問題、芸術支援基金の危機、 同性愛者・多様な宗教の人々・外国人の権利の確保など、 直接的に自分に関わってくる問題が次々と根本から常識を覆されていくのだ。   不安。 自分の演奏活動や練習の事なんかブログに書くのがはばかられるほどである。   でも、私はやることはやる。 これからの演奏活動を積極的に展開して行くために色々な団体や会場に連絡を取り、 練習を地道に続け、そしてブログを書く。 やれることを一生懸命正直に誠実にこなしていく。 そして、出来るだけ平常心を保って、でもいつでも出動できる心構えで 練習や自分の将来に投資できる一瞬一瞬を(ありがたい)と感謝して有効利用する。   音楽人生、万歳! 音楽は心の拠り所。            

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カフェで幸せ。

久しぶりにゆったりとした気持ちです。 一人でゆっくりとお昼をした後、大好きなカフェに来てラッテを飲みながら書いています。 最近はお砂糖を極力控えているのだけれど、今日は色々頑張ったご褒美。 ラッテの上にサラサラとザラメをかけたので、表面が光っているのがご覧いただけますか? こうやって飲むと、上のホワホワのスチームミルクに甘いじゃりじゃり感が加わって 私はとっても幸せです。   今朝は早起きして練習した後、今週末土日のリハーサルに行きました。 土曜日と日曜日は3時からと4時半からそれぞれ30分ずつ、 ヒューストン美術館(Museum of Fine Arts Houston)のドガー展で ドガーと同時代の作曲家の作品をオーボエ奏者のAlecia Lawyerと演奏します。 素敵な企画でしょ? 詳細はこちらでどうぞ。 https://www.mfah.org/calendar/not-your-typical-impressionist-music/   私が今来ているのはInversionと言うカフェです。 http://www.inversioncoffeehouse.com/location.html Art League Houstonと言う視覚芸術を教えたり展示したりする所と 絵画・工芸用品を扱うお店の隣にあって、 お店の壁にかかる展示物も定期的に変わる、ギャラリーの様なカフェです。 来る人はArt League Houstonの関係の方が多いのか、 彼らのファッションを観察するのも楽しいです。 ここに来て一人ひとりを盗み見て、その人生や今日なんでこのカフェに居るのか、 想像を繰り広げて、優しい気持ちになります。 皆一生懸命、出来るだけ良い人生、良い一日を送ろうと思って工夫して頑張っている。 最近は朝から晩まで一歩も外に出ないで論文に没頭する日々が数日続いたり、 ちょっと論文から距離を置くときは練習室にこもってピアノとひたすら向き合ったり、 そういう時間が多かった。 クリスマス・年末年始の会合と言うのはそれなりにあって 全て楽しく参加させていただいていたのですが、 でもこうやって一人で外でゆったりする時間と言うのは全く違います。 私はあんまりこう言う事をしないのですが、でもたまにすると命の洗濯になります。 私の座っている机の真横の壁はこんな感じ。   幸せな気持ちの理由は沢山、沢山ありますが、一番直接的なのはこれかな? 昨日の夜、ドアに貼ってあるのに気が付きました。 「Piano sounds awesome!(ピアノすっごく良い!)」と書いてあります。 あんまり嬉しかったので「ありがとう!ご自由にお取りください」とCDを3枚出して置いたら お昼までにはみんな無くなっていました。   もう一つ幸せな理由は1月19日に大好きなゴールドベルグ変奏曲を演奏できること。 練習していても毎日この曲の偉大さに一瞬一瞬が「開眼!」と言う感じ。 この曲は本当に底知れない深さと広がりがあるのですが、 同時に信じられないミクロの世界もあります。

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ピアニストで良かった。ありがとう。

今回の博士論文のリサーチで分かったこと。 私は無知なので、新情報を得ると(ウォー)とすぐ思って自分の見解に影響を受けてしまう。 でもこれは危ない。自分がデマで動かされる群衆の一人になってしまう危険性がある。 一つの情報に関して自分が責任を持てる見解を提示できるに至るまでには 沢山の人の多様な見解をまず出来るだけ中立な視点で吸収し、 情報がどこまで、どのような証拠を持って「真実」なのかを自分で決めるしかない。 その上でその情報が自分の歴史や人間性に関する見解にどのように影響させるか決める。   最終的には歴史はそれぞれの歴史の語り部の「信念」に物凄くバイアスをかけられた物語。 そして本当は「真実」は物語では語れない、もしかしたら言葉では語れない、 そう言う物なんだと思います。   特に私がそう感じたのは、音楽史に於いて、演奏家の視点がほとんどない事からです。 音楽史は作曲家の作品と見解、そして評論家や音楽理論家の書いたものを基にして 基本的に今まで書かれてきました。 でも演奏家の音楽の体験と言うのはそれとはまったく別なもので、 これは私は自分の人生体験を持って実感として分かるのです。   そして勿論、女性の視点と言うのも今までの歴史の理解からは大きく欠落しています。   私はやっぱりリアルタイムでの実体験と言う物を強調する演奏と言う職業で良かった。 そして私がピアニストになるためには 多くの人が沢山の時間と労力と資材と気持ちを投資してくれました。 この人達の事は私が公に表明しないと、やはり歴史と言う物語からは欠落してしまいます。 特に欠落しやすいのは幼少期の母親の影響だと思います。   私の母は、私が子供の頃私のレッスンには全て同席して細かくノートを取り、 練習の時は必ずとなりに座ってノートを見ながら私の練習の手助けをしてくれました。 私より丁度3歳年下の妹が大声で泣いている中 「あやの泣き声より大きな音で~!」と、 これも大きな声の母が声を張り上げて言っていたのを良く覚えています。 (二人に負けるまい!)と私も一生懸命弾きました。 レッスンの道中はいつも飴を二個用意してくれていました。 行きに一個、帰りに一個、なめるのです。 サクマのドロップとか、ミカンの形の飴とか色々あって、毎回楽しみでした。   私の生徒にも(この子は才能があるな)と思う子がたまにいます。 でも大抵環境が悪くて、ダメなのです。 例えばNちゃん。 ピアノが大好きでレッスン室に入ると飛びつくようにピアノにかじりついて弾き始めます。 本当に大好きなんです。 でも練習して来ない。 聞くと「家の電子ピアノが引越しの際に壊れて、蓋も開かないし音も出ない」と言う事。 始めは信じていましたが、これが何週間も続いたので、 (もしかしたら練習したくないので言い訳しているのかな)と言う半信半疑も在って お家にメールしてみました。 「電子ピアノが壊れているそうですが、Nちゃんは練習をしたがっています。 修理に関して私がお手伝いできることがあったら教えてください」 そしたら「修理は簡単なんです。」と言うお返事。 「引越し業者が壊したので、弁償のための査定を受けるのを待っているだけです。」 …結局その状態が3か月続きました。 9歳の3か月は長いです。 (私の両親だったら在り得なかったな~)、と改めて両親に感謝の念を覚えました。   歴史の検証は大事だと思います。

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