音楽人生

学校訪問演奏のお礼状が届きました。

夏に帰国した際にお邪魔して2時間の演奏を鑑賞していただいた群馬県薄根中学校から感想文集が送られてきました。 先生が文集にしてくださった色々な手書きのお手紙を読んでいると、その筆跡からそれぞれの生徒さんの声が聞こえてくるようです。 表紙にも裏表紙にも可愛らしい絵が描いてあります。 そして、随分と個性的な表現が沢山...! 「音に角が無くて、まるでなめらかなプリンを口に入れた時の感覚...」面白い! さらに「体が自然と落ち着くような気持ちになった。きっと音楽と言うのは好きと言うのを忘れるくらい、私たちにとって大切なものなんだな、と思いました」…すごい! 沢山の生徒さんが「生のクラシックは初めて」と書いてくださいました。そして「外国に興味を持った」とか「音楽で世界に通じられると言うのはすごいと思った」など。 数か月前に、体育館でみんなが20分のシューベルトのソナタに身じろぎもせずに聞き入ってくれたことを思い出しました。私の方が勇気づけられる思いで、読みました。この文集は大切に取っておきます。 薄根中学校の皆さん、ありがとうございました。

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音楽産業を経済学で解く!

    昨日・今日と、学会に出席していました。 Music Industry Research Association(音楽産業リサーチ協会)主催の学会です。主に経済学者がデータ解析で音楽産業の傾向や将来、問題と問題の解決法などを協議する学会でした。面白かった! 今回の学会のラインアップはここで見れます。https://themira.org/2018-program MIRAのHPはここ:https://themira.org/ RIAA(Recording Industry Association of America)の弁護士とかデータ分析の人とかNEA(National Endowment of Art)のデータ分析の人とか、プリンストンの教授、オバマ婦人の首席補佐官だった人(ミシェルオバマは男女平等やアメリカの子供の肥満問題など、色々活動的だったので)など、ものすごい人たちが次々と発表しました。 例えばこんなデータ。 アメリカ人一般で職場人種差別を受けたことがある、と答える人は男性が16.9%、女性が11.1%。ところが、アメリカで音楽家として生計を立てている人(内、クラシックは約35%)に同じ質問をすると、男性が24.4%、女性が26%と一気に増えます。さらに同じグループの一般人にセクハラを受けたことがあると答える人は男性が11%、女性が42%。そして音楽家のグループでセクハラを受けたことがあると答える人は男性が16.8%、女性が67.1%! このデータが発表されたときは、「このまま自分の本に使える!」と非常に嬉しくなりました。それに、自分が主張しようと勇気を出して頑張っていることが、自分の妄想ではなかった、と言う確認が取れたような気持ちにもなりました。 性差別、そしてセクハラ問題と言うのは、特に音楽産業に多いと言うのは私の主観ではなかった!   しかし、なぜこうなるのか。なぜ音楽にセクハラ・パワハラは多いのか? 一つに、音楽産業ではギグ・エコノミー(英語ではGig culture::単発や短期の仕事を受注してフリーランスする労働形態)が蔓延している。こういうやり方だと、人事部のように働き手の保安を組織的に管理できない。したがってギグをする働き手は弱い立場に置かれる。 もう一つは、音楽産業では夜遅く仕事をすることが必然。そうするとお酒や、時には麻薬などの使用も多くなる。そういう付き合いが悪いと仕事がゲットできない、と言う現状がある一方、お酒などが入るとセクハラの被害に会う確率が増えると言う現状もある。 そして最後に、産業内では権力を持つ立場ほど男性が多くなる。女性は立場が弱いフリーランス演奏家として仕事をしていることが多い。権力が大きくなる立場(例えば指揮者や作曲家やマネージャーやプロデューサー)ほど女性が少なくなる、とかいろいろ面白いデータが次々と出てきました。男女比がここまで極端な産業は、今の世の中では珍しいそうです。 セクハラではないけれど、音楽産業のパワハラを描いた「Whiplash(邦題「セッション」)と言う映画。いつも音楽でのセクハラ・パワハラ問題を考える時に思い出してしまいます。   他に「著作権侵害の経済的ダメージ」とか、「ダフ屋はなぜ儲かるのか?」とか、「ストリーミングの経済的影響」など、データ分析を使った発表が多かった。 色々面白いことが沢山あったのだけれど、いくつか箇条書き。 1.クラシックはかなり例外扱い。でも経済的貢献はクラシックは非常に大きい。 2.ポップスのスターはクラシックよりもずっと儲かってるんだろうと思っていたけれど、そうでも無いらしい。Anthony Improgoと言う人がびっくりするくらいオープンにどれくらい儲かっているか話してくれた。この人はソチオリンピックのテーマ曲とか、テレビシリーズのテーマソングとかも作曲した人だけれど、広報担当の人とかマネージャーとかレコードレーベルとかいろいろなところに搾取されて、手取りは非常に少ない。面白い。 3.テクノロジーに進化が音楽産業にもたらす影響は経済だけにとどまらず、計り知れない大きさ。もっとテクノロジーがこれからどういう風に発展するのかを見極めて、自分の活動の将来性を上手く計算しなければ。ストリーミングと言うものをもっと勉強しなければいけない。 そして、色々面白い人に沢山会いました。ごはんもなかなか美味しかった!    

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サルサを踊るピアニスト。

木・金・土・日と4日続けて、踊ってきた。 踊り始めて2か月目にして完全にハマってしまって居る同僚のピアニストに強く誘われて、とりあえず一緒に木曜日にクラスに行った。そしたら「週末スペシャル!一括で払えば金・土・日とクラスにもダンスパーティーにも参加し放題!」と言うのがあってついつい払ってしまったのだ。貧乏性なので、一度払ったとなると「元を取らねば」と言う執念もあり、かなりの忙しさ・眠さの中を、頑張って毎日通ってしまった。 このダンスクラスは、タンゴ、サルサ、バチャダなど南米のダンス専門。ビートに乗って骨盤を動かしながら踊る。初心者のクラスで、男女組まずに全員鏡を向いて練習した時はかなり楽しく、にかにか笑いながら汗だくになって動き回ってしまった。確かにリズムに乗って、周りと一緒に体を動かすのはとっても楽しい。脳みそからなんか出てくる感じ。 元々、ダンスをやれば音楽にもっと新しい感性が持ち込めるのでは、とかねがね思っていたこともあり、まきこ頑張った! しかし、こういう南米ダンスはもう描写できないくらいセクシーなのです。 もうどうしよう!と言う感じ。非常に恥ずかしい。強制的にクラスの男性一人ひとりと組まされて、初対面の人と体をぴったり合わせてくねくねするのは、なんとも言えぬ照れくささ。でも、クラスに参加する老若男女全員、みんな非常に心の広いやさしい人たちで、もたもたと不器用な私をおだてまくって褒めまくって、何とか乗せてくれました。私があまりに不器用な時は、私のネックレスまで兎に角褒めまくり。面白い文化体験だった。 5分毎にパートナーを変えるので色々な男性と踊ることになるのですが、結構面白い。うまい・下手、だけではなく、心配りの仕方がみんな違う風に表れるのです。みんなまず、自分がうまくなることに必死で、邪念が無い。そして、男性は女性を上手くリードすることも「うまくなること」の一部なので、一生懸命やってくれるのですが、それがそれぞれ違う風に表現されるのです。上から目線で色々教えてくれるけど実践がいまいちの男性もいれば、褒めまくりながらちょっとした手首の動きや背中の支え方などで(次どうだっけ...?)ともたつく私の体をさささっとうまく正しい方向へ導いてくれる人も居る。ただ単に経験値や腕前だけではなく、これは自信と意思の強さ、そしてやはり性格?人間性? そして、それぞれの先生の教え方からも色々学んだ。 私は人を教えることの方が、教わることよりも多い立場です。しかも、自分が初心者だった時の事をあまり覚えていないのに(3歳でレッスンを始めたので)、初心者を教えることも多い。そして残念な事に、初心者にどう接するか、と言う勉強をする機会はあまりない。しかし今回のクラスで色々分かった。 1.必死になっている人に、理論や概念を説いても、あまり意味がない。 ...当たり前、でしたね。でもよ~く肝に銘じた。 2.褒めるのは重要。 初心者は自分ができてないことで内心すごくしょげていたりする。褒めまくり作戦は結構重要。 3.笑わせるのは重要だが、あまりジョークばかりかますと、向上心を削いでしまう。 初心者だけど、先生にまじめに接してもらいたいと言うプライドがあるんです。 4.初心者はとにかくやってみたい。 何を説明されても実感が伴わないので、兎に角実践とデモンストレーションが重要。 最後に。 教えている先生たちはかなりハイレヴェルで、コンクールとかでも賞を沢山取っているような人たち。そのこだわりと質向上の執念から来る気負いは、同じパフォーマーとして、良く理解できるものでした。でもこのダンサーたち、無料で踊ることになんの反発もない感じ。とにかく楽しくてたまらない感じ。そして、発表会のような形で色々な分野のダンサーたちと一曲ずつ踊りを披露して、本当に5分とかの短い時間だけでも一生懸命、本当にきらきらと楽しそうに踊って、「見てくれてありがとう!」と言う感じ。収入はたぶん教えることで得ているのでは?クラシックとはかなり違う経済構造。 色々考えさせられました。 それから、楽しいことをしていると、他の事にも積極的に成れる。ものすごく忙しい一日を終えて、普段ならもうダレ~っとして使い物にならないときでも(ダンスのクラスに行かなきゃ!)と思うと、疲れていることも忘れて動き回り、汗をかいてすっきりして、帰ってきてメールを大量に書いたりできる。不思議。趣味は本当に必要なんですね。 ダンス、続けようかな~。非常に迷っています。楽しいけれど、自分のコンプレックスとどう向き合うか...  

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新しい気候、時差、新曲練習、新プロジェクト、親交...

帰ってきて3日目。 肌寒い。朝夕は長袖のカーディガンが欲しい。涼しくて過ごしやすいが、日本と随分違うぞ!朝起きたら喉が痛かった。要注意。 時差のあっても夜はぐっすり眠れているのだが、朝型の私には珍しく朝いつまでもとろとろと寝ていたい。目の周りにはパンダの様な隈。疲れも隈も早く取れてくれ~。午後は異様な眠さ。生産性は一時放棄して、ずっと見ようと思っていた映画「ガス燈」(1944)を見る。 イングリッド・バーグマン主演で、多くの人が傑作とする古典映画だが、この映画は心理学的にも大事らしい。「本当は自分は加害者ではなく、こんなに良い人なのに、お前の被害妄想や狂気のために糾弾を受けて自分が被害を被っている」と言うのは、虐待の加害者が良く使う手らしい。被害者の意識を操作して加害者が保身を図るためのこう言う論理を「ガスライティング」と呼ぶのは、この映画が基になっている。しかし眠気と戦いながらの映画鑑賞は映画には申し訳なかったが、授業中でもなんでも(寝てはいけない)と思いながらとろとろと一瞬寝てしまう時、何であんなにも気持ちが良いのだろう。 そんな中、友達がありがたいことに色々誘ってくれる。今日は最近踊りにはまっていると言う同じくピアニストの友達にダンスのクラスに誘われた。片道一時間半の遠出だが、超有名なインストラクターのクラスが格安で受けられると言う。ブラジルのZoukと言うスタイルのダンス。 楽しそうだが、出発が午後半ば、帰りが真夜中近くと言われる。ここで体動かして気分転換して、すっきり時差が取れるかも!?と言う希望的観測で興奮する自分がいる一方、(いやいや、この隈は寝てしか直せないでしょ)と戒める自分が最終的に勝つ。すごく行きたかったけど。こういう風に誘ってくれる友達がいるのは嬉しい。 残った理由の一つにはずっと同じ演目を弾いてきて、そろそろ新曲を練習したくてうずうずしていた、と言うのもある。今回の「恋するピアノ」はシューベルトを中心とした歌心を大事にする音楽的な曲が多かった。そのバランスをとるかの様に、今の私は激しく、肉体的・打楽器的な、リズミックな曲が弾きたいのだ!今、私の頭の中でずっとなっているのはこの曲! 新曲を練習始めるのは、楽しい!ワクワク。 そしてずっと保留になっていた本の執筆も今日、再会。かなり良い調子でぐんぐん進む。 時差のせいで、朝型の私が夜になると目がギンギンに冴えてくる。しかしもう11時半!寝なければ隈がいつまでも消えず、朝がいつまでもつらい...寝るぞ!

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日本を後にして。

本拠地の空港に降り立った瞬間「また生き長らえた...」と思った自分を発見してびっくり。 飛行機事故を懸念して、ではないのだと思う。やはり私は一つのツアーを一つの単位として人生を生きてきているのだ。ツアーとか一つの滞在に文字通り一所懸命になる。前や次の場所・時間はとても抽象的・概念的なものになり、とりあえず今居る場所、一緒に居る人、目前の目標だけに集中する。だから、ツアーが終わるころには人生の終焉に近づいたような気持ちになってしまうのだと思う。そして、飛行機が次の場所に降り立つと「え⁉ 人生終わりじゃなかったの?これからまだあるの??」とちょっと慌ててしまう。まあ、大げさに言えば、ですけど。 5月16日から6月16日まできっかり一か月間。今回の日本滞在は例年よりやや長めだった。音楽会も学校コンサートも含めて細かく数えると全部で14とすごく多かったし、US-Japan リーダーシップ関係の集まりや交友も多くなり、今回はまったくフリーな日と言うのは全部で3日しかなかった。とても充実した滞在だった。ブログを更新している余裕がなかった。Facebookには割とこまめに写真や動画を上げていたのだが...本の執筆も進まなかった。それよりも日本でしか会えない家族・親戚・友人との協調性を意識的に優先させた。 音楽活動を通じて色々な方々の色々な人生の場面に触れ、共鳴する。涙、笑顔、逸話、回想...その一つ一つに感謝。もう日本での演奏活動も18年目になるので、初回から私の応援に毎年駆けつけてくださって来ている方々が段々年齢を重ねられて来ている。中には健康が不安定に成られてきていらっしゃる方も、亡くなられてしまった方々もある。引退を迎え、これから第二・第三の人生を楽しみに計画していらっしゃる方々もおられる。私と同世代、あるいは後輩の中には、今が働き盛り!でバリバリ・イキイキ頑張っていらっしゃる方々もある。お子様が在られる方々はお子様がどんどん大きくなっていく。時間の流れを感じ、それを自分と自分の音楽人生の発展に重ね合わせ、愛おしい。そしてみんな、みんな、私の音楽の一部となっていく。 今回の聴衆は下は一歳児から、上は95歳まで、実に幅広かった!               US-Japan Leadership Program 関係の交流と、そこから広がったネットワークとの交流も充実していた。アートギャラリーのオープニングに行ったり、社会に関連性を持った芸術活動や芸術とビジネスを結びつけることに関して色々な起業家・芸術家と協議したり、米国大使公邸でのレセプションに行ったりもしました。医療の発展や社会構造の多様化に伴い、これから家族や親子関係はどのように進展していくのか研究している友達と、こんな映画を見に行ったりもしました。 音楽もナレーションも無い映画は、ドキュメンタリ―でも初めてでした。こんなに泣いたドキュメンタリーも初めてだったかも。 社会に関連性がある音楽造りを目指す一巻として社会や人間についてもっと知りたい!そんな私の想いを汲んで、色々な人が色々な専門知識や個人的体験や気持ちをシェアしてサポートしてくれます。そういう人たちの希望が、私をもっともっと触発し、活性化していきます。前を向いて、ずんずん、前進します。  

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