US-Japan Leadership Program

美笑日記10.4:インディアナ州ゲーリーに行きます

ゲーリーという街について 北米最大の製鉄所があるゲーリーという街に行ってきます。マイケル・ジャクソンやジャネット・ジャクソンの出身地。ミシガン湖の最南端に位置し、シカゴの中心街から50キロほどのところにあるインディアナ州の街です。 1906年、USスチールがここに「Gary Works」と命名された製鉄所を設立したことで始まったゲーリー市。製鉄業の繁栄と共に著しい成長を遂げ、1950年には20万人以上の人口を誇りました。しかし、第二次世界大戦中に空襲を受けた世界の都市の再建が進むにつれ、最新技術を取り入れた外国の製鉄所にアメリカの製鉄業が押され始めます。1970年代には3万人の雇用を誇った「Gary Works」は1990年代にはわずか6千人、そして現在では約4000人の雇用人がいるのみ。製鉄業の衰退と共に経済低迷状態となったゲーリー市から移住する人が続出し、2022年の国勢調査時の人口は6万8千人をやや下回ります。三軒に一軒が空き家。貧困率は米国平均の3倍です。 なぜゲーリーに行くのか 直接のきっかけはこの夏に遡ります。US-ジャパン・リーダーシップ・プログラムで2017年に同期だった起業家のEze Redwoodが、Economic Recovery Corps(経済復興部隊)のフェローの一人として経済疲弊している街を30か月で復興させよとEconomic Development Adniministration(アメリカ合衆国商務省経済開発局)から仰せつかったと話してくれたのです。彼が担当することになったのがGary INとMichigan City INです。今年の夏に在ったUS-ジャパン・リーダーシップ・プログラムの同窓会で私が「音楽で達成する共感・共存・協力の未来」というプレゼンを行ったあと、周りが「マキコがゲーリーに行ってEzeを助ければよい!」という感じになったのです。 最初は戸惑いました。ゲーリーの人口は約8割が黒人、残りの一割はヒスパニック系です。一方、私が専門とするのはクラシック音楽ー歴史的に白人富裕層の音楽です。ぬくぬくと経済大国に生まれ落ちた恩恵に任せて思う存分音楽人生を満喫してきた私のような苦労知らずが、アメリカの不平等の抑圧の苦労を背負わされてきた人々に何が言えるというのか…? 考えを変えたのには日本製鉄の買収への非論理的な抵抗の背景に東洋人に対する無知と差別がある、とEzeに説明されたからです。この地域に住む人には東洋人の知り合いがいないのです。住民の多くにとって日本と中国は同じで、その上「中国政府は信用できない」という常識はある。そして日米同盟の歴史や情勢については知らない。 それではマキコが行きましょう! 世間知らずのままでいては申し訳もないし、進展性もないし、面白くもない。こういう好機でもないといけないゲーリーの様な街に出かけて行って、少しでも私が受けてきた恩恵の結果である音楽や専門知識や経験で貢献できることがあれば…そして、握手をして、笑顔や言葉を交わして、一緒にお食事をして、どんなに背景や肌の色が違っても同じ人間だと実感し合えれば… そういう訳で10月10日から15日までゲーリーに行ってきます。 Kawai USA(河合楽器のアメリカ本社)が電子ピアノを貸してくださいます。行くからにはできる限りのことをしたいと思って張り切っています。

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美笑日記8.4:US-Japan Leadership Program

先週、毎年恒例のUSJLP会に3日間参加して来ました。新入生もOB・OGも、皆それぞれ人類や地球の将来のために一生懸命な熱血人たちです。色々な事に興味を持って、真剣にチャレンジを重ね、そしてシェアする事に喜びを感じる太っ腹な人達です。

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演奏道中記7.31:濃密な7月でした

しばらくブログが間遠になっていた理由は、一か月ばかり旅行が続いたからです。旅先では次々と素晴らしい出会い、会話、感動に恵まれる事が出来ました。 6月30日~7月5日@バンフ:ルネッサンス・ウィークエンド 私にとって去年の9月が最初、今回が2回目の出席となるルネッサンス・ウィークエンド。(前回の記述はこちら)今回はカナディアン・ロッキー山脈観光の中心地、バンフの街での開催でした。 政界・学界・報道・NPO/NGO・起業・テック・エンタメ・宗教・芸術...各界のリーダー達400人が集まった最初の晩の開会式でまず演奏させて頂きました。そこからは「Hi! I am Makiko!!」と自己紹介しても皆ニコニコして「勿論知ってるわ!」と、音楽や演奏家人生についての質問で会話が始まります。物凄く嬉しかったのですが、同時に中々相手のお名前を伺えなくて、困ったりもしました。宇宙飛行士に「宇宙ステーションにいらしたなんて凄い!」と言ったら「イヤイヤ、犬やサルでも宇宙に行けますが、犬やサルーそして私も、到底ピアノは弾けません。」と言われて大笑いしたりもしました。 7時半に始まる朝食は慌ただしく30分で終わり、パネル協議が始まるのが毎朝8時からです。様々な会場で同時進行で「瞑想の効用」「ビッグデータとプライヴァシー」「食の未来」「不動産市場」「AI」などのトピックが協議され、質疑応答が続きます。それぞれ一時間ずつ。一時間のランチと一位間のディナーの間も、参加者との会話は濃厚です。そして夕食のあとも協議会は続き、全てが終わるのが10時半か11時。その後の有志で集っての、飲み会もまた熱血です。 私も「環境問題」、「グローバリゼーション」、「アーティストがパンデミックを乗り切る方法」などの主題で発表させて頂いた他、最後にトークショー形式でルネッサンスウィークエンドの創始者のフィルに参加者全員の前でインタビューを受けたりしました。 たま~の自由時間には、皆でハイキングやラフティングの初体験もしました! 7月7日~7月25日@日本 コロナ感染者数が世界的に上昇する中、陰性証明が入国に必要な日本に本当に帰れるのか前日まで不安でした。でも3年ぶりの日本はやはり素敵だった!パンデミック前の演奏会中心の帰国ではなく、今回は家族や友人との絆を大切にし、更に日本文化に触れ自分のルーツを再確認する帰国になりました。中でも、母の誕生日に最近両親お気に入りの「きみ松」で家族で純和風のご馳走をゆっくりと楽しんだのは良い思い出となりました。 パンデミックの間は演奏もできず、水際対策で日本にも帰れず、自分が拠り所としていたものの多くが無期延期になりました。でも、だからこそ生まれたものもあったのです。パンデミックをきっかけに始まったある神主さんとの3年に渡る文通で、私は今まで全く無知だった神道の歴史や美的感覚や姿勢などについて考察するきっかけを沢山いただきました。そして今回3年ぶりに帰国が叶い、この神主さんのご案内やご紹介で新しい世界観の開拓をする事が出来ました。(Mさん、感謝です!) 群馬で温泉にも浸かりました。森美術館にも行きました。博報堂のUniversity of Creativity のキャンパスも訪問しました。USJLPのイベントも二回あり旧友と友情交歓しました。美味しいホルモン焼きを大勢の友達と食べて大変盛り上がったりもしました。浜松でカワイの工場を見学し、在米日本人として、そしてシゲル・カワイ・アーティストとしての誇りが倍増しました。在米日本人は帰国時に欠かせない人間ドックもやりました。 25弦琴奏者の佐藤康子さんと人形遣いの黒谷都さんが人間の営みを自然に戻す月舞台で共演するイベントにも参加させて頂きました。 そしてもう四半世紀以上応援し下さっているピアノ愛好家のKさんとYさんのサロンのこけら落としも弾かせて頂きました。 7月26日〜7月30日@シアトル:US-ジャパンリーダーシッププログラム 日本からロスに降り立って16時間後にはまた空港へ。でも洗濯が出来た。お家のベッドで一晩眠れた。やっぱり自宅は良い物です。 各界のリーダーの友情と絆によってより日米関係を人間的かつ揺るぎないものにする、というのがUS-ジャパンリーダーシッププログラムの主旨です。このプログラムのフェローとして、パンデミック以来初めての会合に参加するためのシアトルでの四泊五日でした。多様な専門分野のリーダーたちが毎年日本とアメリカからデリゲートとして選抜され、2年のプログラムを経てフェローとなります。 2000年に始まったこのプログラムのコミュニティーは現在約450人ほど。オリンピック選手、宇宙飛行士、起業家、メディアのパーソナリティー、政治家...フェローの中にはかなりの有名人も少なからずいます。が、そういう有名人も含めフェローの多くがこのコミュニティーに少なからず愛着を感じていて、米日財団が正式に開催する毎年の会合に欠かさず出席するフェローも少なくありません。更にフェローの有志の間で自主的に世界各地でイベントが企画・運営・開催されたり、ズームでほぼ毎月様々は主題で勉強会が開かれたりします。今回もコロナの感染者数が高まる中、100人ほどがシアトルに集まりました。 環境問題・経済格差・テクノロジー・食安全・文化...様々な主題でパネル協議が行われ、それに対しての質疑応答があります。が、その合間に水辺でビュッフェのご馳走を頂いたり、皆でシアトルの日系人の歴史の形跡を拝見しに行ったり、ロック博物館でライブのバンドに合わせてカラオケしたり...そして夜は皆でカラオケで大騒ぎしたり、お酒を飲んで話し込んだり、大学生の様にゲームをして大はしゃぎをしたりします。USJLPの会合のノイズレヴェルは一般的にかなり高い。参加者一人一人の熱血度合いを反映しているかのようです。その大音量に負けずと声を張り上げて世界情勢などについて議論などを戦わせたりするので、会の終焉にはどの参加者も大抵声がガラガラになっています。 私は、好機にもコミュニティーにも出会い・友情にも、本当に恵まれています。感謝の念に堪えません。 この一か月のハイライトの一部を動画にまとめてみました。

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US-Japan Leadershipでの一週間を終えて。

7月28日(土)から8月4日(土)まで一週間、US-ジャパン・リーダーシップ・プログラム2年目のデリゲートとしてシアトルでの集会に参加して来ました。http://usjlp.org/ US-ジャパン・リーダーシップ・プログラムは米日財団のフラッグシップ・プログラムです。国交間の親善は個人同志の友情を育むことで一番意味のある関係性を発展させることが出来ると言う信念の基、2001年から開始されて今年が19年目。10~15倍の審査を通った各分野のリーダー達は二年間、夏の一週間をこのプログラムのため、奇数の年は日本、偶数の都市はシアトルで、同じ屋根の下で同じ釜の飯を食しながら一週間を過ごします。アメリカ側から20人、日本側から20人、男女比もまったく同じの計40人ですが、専門分野は本当に多様。活動は大きく分けて三つ:協議、体験、そしてアフターアワー。協議は真面目にやりますが、体験とアフターアワーはみんな大はしゃぎに羽目を外して、友情を深めます。 1.協議:政治、軍、メディア、テクノロジー、医療、企業、起業、慈善事業・社会活動、宗教、研究、教育、そして芸術。全く違った背景・視点から、社会問題や将来への展望について協議します。 今回協議した主題をリストするとこんな感じです。 Erosion of Truth and Trust and the Implications for Democracy(真実と信頼の浸食と民主主義への意味合い)情報の大量化と多様化につれ、視聴者側一人一人の責任と言うことが重要性を増してくる、と言う結論。 Partnering for a Safer World(より安全な世界を目指しての協力)テクノロジーの進化に連れ、個人の尊厳・人権が今までになかったスケールややり方で脅かされている。中国の脅威、アフリカの情勢不安、さらにそんな中、グローバルな伝染病の流行を防ぐために今、何ができるのか。 Upheaval in the Indo-Pacific: Strategic Prospects for the U.S. and Japan in Unprecedented Times(激動のインド-太平洋:米日の協力体制と計画)今のアジア国際情勢の中での日本とアメリカ軍と安全保障。 Boom or Bust?Predictions for a Changing Economic Landscape(繁栄?崩壊?これからの経済はどう変わるのか?) Gender, Diversity, and Inclusion in the Wake of the #MeToo Movement(#MeToo の時代に論じるジェンダー、人材多様化、など) The State

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US-ジャパン・リーダーシッププログラム2018、開会!

今年も始まりました。私は去年の京都―広島ー東京での会に続き、2年目。http://usjlp.org/ 偶数の年はシアトルが会場です。 米日財団の会長のGeorge Packard氏の開会の挨拶で、国交間を個人と個人の友情でより強くする、と言う会の趣旨に関するお話しがありました。シアトル市長からのヴィデオメッセージの後、お夕食のご馳走をシアトルと西海岸を見下ろす素晴らしい会場で頂きながら、一人ひとり自己紹介します。政府関係者、軍関係者、NPO, 国連、医療関係、教育関係、そしてAirB&B, Facebook, Uberのトップも来ています。 私は自分の培ってきた音楽観、人生観、ピアノの技術、知識、世界中を旅した経験などをどのように効果的に世界の役に立てられるか、ヒントを得たい、と言う気持ちでここに居ます。 眠い!この会では毎晩、夜を語りあかしてしまいます。 もうカボチャです。でもこのような会に参加させていただける光栄への感謝と心意気を記したかった。

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