平田真希子

音楽革命の必要性。

5月16日ごろから6月11日ごろまで、今年18年目を迎える日本での演奏活動のために、また帰国します。 昨年の帰国からこっち、本の執筆、起業の計画など、新しいプロジェクトを沢山手掛けています。 なぜ、クラシックピアニストの私が起業をしようと思うのか。 もっと社会に関連性のある音楽創りがしたいからです。 音楽家として培ってきて経験や教訓や技術を活かしてもっと社会貢献がしたいと思うからです。 そして、すでに固定化されているクラシックの主流のシステムの中からでは改革を提唱することが難しいからです。 一度、起業と言う形をとって、クラシックのシステムの外に出て、外部者として外から音楽の新しい在り方を提唱する。 これが、私の音楽革命計画です。 私は音楽と言うのはコミュニケーションの手段だと思っています。 実際、音楽と言うのは言葉よりも先に出現した、と唱える考古学者もいます。 発生した音を同時に同空間で共に体感する。音楽を一緒に体験する。 これは、時間と空間を共有していると言う実感です。 そして、美しさを共に愛でると言う行為は結束を強め、社会平和を促してくれる、と信じています。 さらに私は音楽には治癒能力があると確信しています。 古代からヒーラーや祈祷師と言うのは、音楽を使ってきました。 最近の脳神経科学では、音楽の脳の活性効果、そして健康促進作用が盛んに研究をされています。 アメリカの牢屋では音楽療法や音楽教育、芸術鑑賞などで、犯罪者が出獄後、再犯で牢屋に戻る確率を下げています。 National Institute of Health(NIH:国立衛生研究所)は音楽の健康作用効果を研究する「Sound Health」を立ち上げました。 しかし、同時に私は、19世紀以降の演奏様式には問題意識を感じています。 クラシックの演奏様式は儀式的です。 舞台の上での演奏は一方通行で客席からは遠く、「楽しい交流」とは違う、厳格な雰囲気があります。 そして演奏会場に行く労力、チケット代の投資などを考えるとどうしても特別イベントになってしまいます。  さらに、音楽の効果が一番大きく表れる人々に演奏会場は縁が薄い社会構造があります。 脳が発達中の幼児、知的・精神的・肉体的ハンディがある人たち、自閉症の方たち、高齢者たち、などです。 「録音があるじゃないか」と思われるかもしれません。 しかし、録音は「死んだ音楽」「缶詰の音楽」です。 デジタル化された音楽を日常的に聞き、非人間的な完璧さ演奏を求める聴者と弾き手の間にはさらにギャップが生じます。 演奏者は完璧さを求められ、そのプレッシャーの下で聴衆を忘れ技術的完璧さの追求に追われてしまいます。 それを受けて聴衆は、誰が演奏しても同じ、同じ曲ならただで聞ける歴史的巨匠の録音の方が...と言うことになってしまいます。 一番効果が高い音楽は自然で交流型、聴衆参加型の音楽体験です。私がハンガリー狂詩曲の演奏の時、お客様と「交流型演奏」に成功した例をご覧ください。これには勿論、聴衆の協力が必要です。この時は曲を演奏する前にお客様との「リハーサル」を行いました。   音楽と音楽家を日常的に活用して、健康促進・幸福感倍増。共感と思いやりの充実する社会にしよう! じゃあ、一音楽家として私ができることは何か。 もっと一般社会人の日常に密接した音楽家と音楽の社会に於ける在り方を、体系的に提唱する。 非音楽家の能動的な音楽の楽しみ方と言うのを、実体験を通じてご紹介することで世の中に広めていく。 アイディア⓵ 音楽宅配サービス「音楽博士御用達!」 これについては以前ブログで書きました。音楽博士、御用達! アイディア② 「音楽博士引率!」アマチュア奏者の指導と応援 「音楽=特別な時に受け身で押し頂く完璧な演奏」と言う概念を払拭し、「音楽=日常的に行う楽しみ」と言う能動的な姿勢をアマチュア奏者を始め、鑑賞愛好家の間に広めるために、アマチュア・コミュニティーを始め、ママ友コミュニティー、学校などの教育機関・障碍者コミュニティー・高齢者コミュニティーに、プロの音楽家をどんどん送り込む。                 アイディア③「音楽博士コンサル」 音楽家と言うのは大抵世界中を旅し、色々な経験と修行を経て、一般の人とは少し違った視点・人生観を培っています。その視点を生かして、沢山の方々の色々なご相談に乗ってお役に立てたら。 勿論、「こういうテーマのイベントではどのような音楽がふさわしいか」と言うようなご相談から、「舞台恐怖症の克服法」「発達障害の子供のための日常的な音楽の使い方」など、色々一緒に考えさせていただきます。また、「今度、このような演目の音楽会に行くが、どうやったら一番楽しい体験をできるか、準備法を」なども大歓迎!演奏会にご一緒する「演奏会ツアーガイド」のサービスもご提供できます。 こういうサービスは、私は突発的に頼まれて行ったことは何度もありますが、ビジネスとして展開するためには市場調査、広報、値段設定と、課題はいろいろあります。音楽バカで今まで来た私にとっては未知の世界、新しいチャレンジです。いづれは音楽療法士、他の楽器奏者、さらにはいろいろなジャンルの音楽家も沢山起用して、大きな国際ビジネス展開したい、と言うのが私の野望です。 様々な専門的なご意見・ご提案を始め、色々な形でのご参加・ご支援を必要としています。 […]

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100日練習ヴィデオ!に挑戦!

師走の忙しい時期となって参りました。 でも、ピアニストは練習に関しては♪月月火水木金金♪ と、言うことで、100日練習ヴィデオに挑戦を始めて今日で三日目です。 アメリカでは結構流行っていて、ヴァイオリニストのヒラリーハンもやってましたし、私のFacebook友達もやったりしています。毎日自分の練習を短いヴィデオにして流す、と言うものです。 100日休まずは大変!無理なく続けるために、お化粧も、盛装も、編集もすべて割愛。 スマフォで簡単にやります。 単純に自分の練習を映すだけでは無く、私は「最小の努力と時間で最大の効率を上げる練習法」をシェアします。英語でやっていますが、音楽は世界の共通語!よろしかったらご覧ください。3日目の今日は和音の中のそれぞれの音の音量をコントロールする練習、そしてペダルに関する考え方について、お話しをしています。 ショパンのAeolian Harp(練習曲作品25-1)を最後に弾いていますが、やはり音質が…私のアルバム、「Chopin to Japan」にも収録した作品です。よろしければこちらからご購入ください。

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壇上で涙してしまいました…自分でもびっくり!

昨日は千葉美浜文化ホールでの「『天上の音楽』vs.地上の音楽」でした。音響もピアノも素晴らしいホールで前々から今年も楽しみでしたが、本番前の練習の時、あまりにも音がきれいで練習し過ぎ無い様に、本番のために体力温存するため自分を制するのが難しい感じでした。こういう時、本番前は結構苦しいです。素晴らしいごちそうを目前に、お預けを食らっている感じです。 今、昨日の録音を聴きながらブログを書いていますが、素晴らしいピアノや音響と言うのは奏者を勇気百倍にし、また実際の助っ人にもなってくれます。私も昨日は本当に気持ちよく弾けました。まだまだ課題は多いのですが、でもきゅりあんよりも自分本位の演奏が出来た、と自負しています。 でも、ゴールドベルグを演奏する前にちょっとしたハプニングが… このブログを読む方の中には「寝耳に水」の方も多いかと存じますが、私実は毎年恒例で17年間行ってきた日本での演奏活動に一つのピリオドを打とうと思って今年は来日しています。今の形ではあまりにも家族や応援の会・応援団の皆さまへの負担が大きいと言う事、そして私ももう音楽博士の学位を頂き、長かった学生生活に終止符を打ち、ボランティアの方々に頼らなければ出来ない活動は辞めようと思ったのです。品川きゅりあんの際には、嬉しい演奏会の場で、その事をお客様にご披露するのも水を差すようで気が引けしなかったのですが、千葉の方では主催者をずっとしてくれていた叔母から「話しをしてくれ」と言われていましたので、ゴールドベルグの紹介の最後にちょっと言い始めたのです。 「私が今年特にこのゴールドベルグ変奏曲を弾きたかった理由は長~いこの曲の最初と最後にそっくり同じ形で提示される美しいアリアに、時間の不思議さと感慨深さを感じたからです。17年間、私も多大なご支援を得て演奏をしてまいりました。長いようでも短いようでもありました。色々な事がありました。私自身も色々経験・成長しましたが、お客様も皆さま色々おありでした。長い介護の末親御さんを亡くされた方も居ます。生涯の伴侶を亡くされた方も居ます。ご自身がずっと闘病生活を送りながら『来年も真希子ちゃんの演奏が聴けるように一年また頑張ります』と毎年おっしゃってくださった方も亡くなってしまいました…」ここで、ウっとなってしまったのです。自分でも全く予想していなかったことでした。でも本当に沢山の方のお顔が思い出されて感無量になってしまったのです。感謝と、『愛』としか言いようのない気持ちに襲われてしまったのです。 私は本当に幸せ者だと思います。これからは、音楽を通じた社会貢献・国際親善を積極的に模索・実行して行きます!また、ご招待いただければ日本でもどこでも、聴衆が居ればどこでも飛んでいきますので、是非ご相談ください:)

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アルバムリリース!「百年:初期ベートーヴェンと晩年のブラームス」

音楽家と言うのは、色々な人の教授と支援と期待に育てられて、社会に貢献できるまでに成長する、と思います。私も今日ここに至るまで本当に沢山の方に支えられ、教えられ、刺激されて来ました。その中でもこの7年、東北復興支援演奏会を協力して企画・演奏して一万ドル以上寄付金を集めたのをきっかけに様々な音楽活動を共にしてた私の心の友、クラリネット奏者の佐々木麻衣子さんは共演者・同志・強力な助っ人・大親友・そしてライヴァルとして私の音楽魂にかけがえの無い重要なインパクトを与え続けてくれています。その佐々木さんと、今年アンサンブル・MATIMAを創立いたしました。世の中がどんどん利己的に、排他的になっていると危機感を覚える中、私たちは東洋人の西洋音楽専門家として「音楽は、時空を隔てて共感を呼び起こす世界の共通語」をモットーに、世界平和を願った音楽活動を展開して行きます。詳しくはmatima.orgでご覧ください。   MATIMAはこれから色々な活動を展開して行きますが、その皮切りにアルバムをリリース致しました。今回のプログラム『天上の音楽・地上の英雄』でもお聴き頂く、1794年に作曲された25歳のベートーヴェンのピアノソナタ一番と、1895年に作曲された晩年のブラームスのクラリネットソナタ作品120の1と2。これらの曲の間の100年と言うのは人々がそれまでの宗教観・価値観に反発し、自己中心的な世界観へと移行して行った時代でした。物欲がはびこり、私生児が急増し、犯罪者が偶像化されたそうです。MATIMAがこの時代の音楽を最初のアルバムに選曲したのは、テクノロジーやマスメディア、ソーシャルメディアと言った現代の産物が私たちを19世紀と同じような自己中心的な世界観へと突き動かしているからでは、と思ったからです。そしてそんな時代に在っても時空を隔てて私たちを感動させる傑作を書いたベートーヴェンとブラームスは、二人共苦労と孤独に苦しみながら、人間を人間たらしめる共感と共存への賛歌、人類愛を謳いあげた英雄だった、彼らの傑作が今こそ必要なのでは無いか、と思ったからです。

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「天上の音楽 v.s. 地上の英雄」演目解説!

家族の来訪、リサイタル、卒業式、母の日…イベント続きの日時を満喫した。家族がそれぞれの家へ帰って行ったあと、思いがけずヒューストンのお友達から博士課程取得を祝ってもらったりもした。 週末には野の君とLake Livingston州立公園と言う湖沿いの広大な自然公園を散策したり、サイクリングをしたり、日本語のテレビを見たり、兎に角ひたすら楽しんで、夢の様なときを過ごした。 しかし...「はっ‼‼!」と気がつけば、もう一つ演奏会が一週間半後、日本への出発は2週間後、6月17日の品川きゅりあんは3週間半後、そして千葉美浜文化ホールはきっかり一か月後!が~~~ん。 演奏にはいつも、常に、反省点が付きまとう。5月11日と15日に弾かせて頂いた際も例外ではありません。これからの課題を忘れないうちに、練習再開!にわかに焦って来て、昨日の夜は演目解説を一気に書き上げた。お気づきの点がおありでしたら、お手数ですが、ご一報いただければありがたいです。 第一部「天上の音楽」=『ゴールドベルグ』変奏曲 古代ギリシャにて数学者のピタゴラスは鍛冶屋の金を打つ音がハモる時、ハモっている金づちの重さが整数比になっている事に気が付きました。「天上の根源は数である」=>「音楽は数を体現している」=>「音楽は天上を体現している」…『天上の音楽』と言う概念の誕生です。「動きあるもの全てに音がある」と考えた古代ギリシャ人は、惑星の動きも音を奏でている、と考えました。この事も「天上の音楽」、そして「音楽=天上-すなわち数字-の体現」と言う考え方を強めたのです。この考え方は、後にガリレオやコペルニクスが実際には天上の音楽は在り得ないと証明した後でも、西洋音楽を大きく影響し続けました。バッハもその影響を受けた一人。彼が数字学や、黄金律などと言った数学的概念を自分の作曲に応用したことは良く知られていますが、ゴールドベルグ変奏曲はその最たる例と言えるのではないでしょうか。 30の変奏曲のリストをご覧ください。ルター教の熱心な信者だったバッハは三位一体(父と子と精霊の三者、全てが一人の神だと言う考え方)から、特に3と言う数字に重点を置いてこの曲を構築しています。3つの変奏曲を一つの単位として進行するのですが、この3つの変奏曲は常に「作曲技法(音楽様式)」「鍵盤技術(手の交差)」「カノン(輪唱)」と繰り返しています。この3つはいわば、知性(父)、肉体(子)、感性(精霊)を象徴していると言っても良いでしょう。さらに主にト長調のこの曲で3つの変奏曲だけがト短調…紙面の都合上、これ以上例を挙げるのは辞めますが、掘り下げれば掘り下げるほど、バッハの数字へのこだわりがこの曲に実に緻密に、そして至る所に織り込まれているのが明らかになります。人間の創造とは思えないこの完璧な音の世界を、よろしければ宇宙を想像しながら、お楽しみください。 J.S. Bach (1685-1750) 『ゴールドベルグ』変奏曲(1741)  (正式名:2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」 (ドイツ語: Clavier Ubung bestehend in einer ARIA mit verschiedenen Veraenderungen vors Clavicimbal mit 2 Manualen)、BWV988   主題アリア3/4拍子 第1変奏3/4拍子、1鍵盤。 第2変奏2/4拍子、1鍵盤。 第3変奏12/8拍子、同度のカノン、1鍵盤。 第4変奏3/8拍子、1鍵盤。 第5変奏3/4拍子、1あるいは2鍵盤。(手の交差) 第6変奏3/8拍子、2度のカノン、1鍵盤。 第7変奏 6/8拍子、1あるいは2鍵盤。(ジーグのテンポで) 第8変奏3/4拍子、2鍵盤。(手の交差) 第9変奏4/4拍子 3度のカノン、1鍵盤。 第10変奏2/2拍子、1鍵盤。(フゲッタ) 第11変奏12/16拍子、2鍵盤。(手の交差) 第12変奏3/4拍子、4度の反行カノン(鍵盤指示なし)。 第13変奏3/4拍子、2鍵盤。 第14変奏3/4拍子、2鍵盤。(手の交差) 第15変奏2/4拍子、ト短調、5度の反行カノン、1鍵盤。 第16変奏2/2拍子 – 3/8拍子、1鍵盤。(フランス風序曲) 第17変奏3/4拍子、2鍵盤。(手の交差) 第18変奏2/2拍子、6度のカノン、1鍵盤。 第19変奏3/8拍子、1鍵盤。 第20変奏3/4拍子、2鍵盤。(手の交差) 第21変奏4/4拍子、ト短調、7度のカノン(鍵盤指示なし)。 第22変奏2/2拍子、1鍵盤。

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