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今日、日課となった海水浴から帰ってきたら、前庭に見慣れぬ茶色い物がうずくまっている。 (ウサギかな)と思って音を立てぬよう、抜き足で近寄って見ると 「グワッ」と頭を上げたそれは、鷹だった。 英語でRed-tailed hawk, 日本語でアカオノスリ、と言う。 くちばしが鉤状になっていて、怖い顔と、強そうな太もも、そして赤茶の尻尾を持っている。 一心不乱に、多分その鷹本人に殺された、すでに死んでいるリスを食べている。 高速のまん前に在るお家の前庭だ。 鷹の後ろを轟音を立てて、乗用車やトラックが通り抜けるのに、鷹はびくともしない。 私たちが段々近寄っていってついに2メートル付近まで接近しても、 こちらを時たまぐっとにらみつけることはあっても、飛び立つそぶりも見せず、リスを食べている。 はじめはひそひそ声だった私たちも段々大胆になり、大声で仲間を呼び寄せて見物。 一人が大きなくしゃみをしても、鷹はびくともしない。 約20分、鷹がリスを食べる様子を見ていた。 骨を「バキ!」「グシャ!」と音を立てて折り、それまでも飲み込もうとする。 一度、大きな骨のかたまりにのどを詰まらせ、何度か屈伸してそれは吐き出したが、 それまでその後のみ下してしまった。 肉はちゃんと租借している。 腸はずるずると引きずり出して、ちゃんとポイッと捨ててしまう。 周りの木には、食べ残しを狙っているのか、はたまたスキを狙って獲物を盗もうというのか、 他の鷹や、色々なトリがギャーギャー鳴いている。 尻尾の毛まで抜き出し始めた。 尻尾の何を食べようというのか―軟骨か? あらかた食べつくしたところで、鷹は残りを全部口にくわえて、 尻尾をひらひら口から垂らしながら、飛んでいってしまった。 それを追って悔しげなほかの鷹などが後をついて飛んでいく。 飛び立った後に残ったのは捨てられた腸と、尻尾の毛だけ。 圧巻だった。すごい物を見た。
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私は朝方人間…のはずだった。 でも、ピアノフェストに来てからは、朝いくらでも眠れてしまう。 相部屋のオルガ(ベルルース出身、私と同じくイーストマン音楽院で博士課程一年目を終了したところ)の目覚ましが7時45分になってから、彼女がシャワーを浴び終えて私の順番になるまでしっかり2度寝をしてしまう。 私がシャワーを浴びている間しっかり30分、オルガは髪を整え、お化粧をする。 私はシャワーを浴び終えたら、服をパッパ、と着て、目をサッサ、と書いて、準備終了である。 ピアノフェストの参加者の一人は朝の化粧のためにルームメートよりも2時間早起きをするそうである。 人生優先順位の違いである。 そのことについてたまに考えるが、私はやはり朝ゆっくり眠れる方が、 眠くない時は、練習する方が良い。 準備完了の段階で同じ家に同じく下宿している中国人の男性ピアニスト二人と、計4人で便乗して オルガの車でピアノフェストの本部へとドライブする。 運転行程15分、歩いて1時間15分。 私は歩くのが好きなので、一人の時間が欲しいときや、天気が特別気持ちいいとき、運動したい時は、 この行程を歩く。 ピアノフェストについたら台所に直行。 たいてい前夜の飲み会の残骸で、台所は悲惨な状況である。 その中から清潔そうな調理器具や食器を掘り出し、 台所に山とある食材からそれぞれ思い思いに好きな朝食を用意する。 オムレツを作る子、パンを焼きもせずにくわえ、練習室に向かう子、コーヒーだけの子。。。 私の最近の定番はオートミールに卵をかき混ぜて作るしょうゆ味の卵粥のようなものである。 台所にもピアノがあって、そこでも誰かがいつも練習している。 人の練習を聞いているのは面白い。 色々な工夫、練習法、そして解釈がある。 台所で練習していると、色々な人が色々な時間におやつや食事や、つまみ食いに来る。 無意識のうちにいつも誰かが練習している曲を一緒にハミングする子、 「え!そこの指使い、教えて!」などと無邪気に話しかけてくる子。 無視している様に見えながら気配で明らかに聞いているのが分かる子。 まったく我関せずの子。 みんなさまざまである。 あまり練習に乗り気でない時は、台所に陣取って、 来る子とおしゃべりしながらその合間にチョコチョコ練習すると 思いがけずはかどったりする。 でも、私は「ピアノフェストは人生の休暇!」と決めているので、 朝一番で練習にがっつくことはせずに準備した朝食を持って、庭を見渡すポーチに行く。 たいていオルガと一緒に色々しゃべりながらゆっくり朝食をとった後、 その日の練習が始まる。 朝方の子や、コンクールに向けて準備中の子は、もうバリバリ練習しているが、 逆に毎晩飲み会の子はまだお見えにならない、そういう時間である。 その後はたいてい夕飯まで思い思いに練習しながら時間を過ごす。 午後はレッスンがあったり、演奏会前の通し稽古があったりする。 昼食を外で食べたり、多くの日はみんなで連れ立って砂浜に向かい、海で波遊びをしたりする。 昨日の海は荒かった。 寄せる波を足を踏ん張ってやり過ごしたと思ったら、返す波に足をすくわれ、 転がされて髪から水着の中まで砂だらけになってしまった。 水着を忘れてズボンで入水した男の子は両ポケットに信じられない量の砂が入り込み それをかきだし、かきだし、苦心していた。 寄せる波と返す波の間の一瞬の海水は信じられないほど透明である。 海底だけでなく、他の色々なものを反映してくれるような、吸い込まれる様な透明だ。 私はふと、東北でみた津波の爪あとを思い出して、非常に複雑な気分になってしまう。 のどと鼻の奥に、海水が苦い。 今日の波は大きかったが勢いが少なく、ゆったりとしていた。 浮いてやり過ごせる波ではないが、 波が来た時、下をくぐる様にもぐって進んでいけば、楽にかなり沖までいける。 足が届かないところまで、波がまだ水しぶきを上げない、うねりの状態の所まで泳ぎ出せば もう波は関係ない。…
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ロサンジェルスの日本語放送チャンネル、NTB(Newfield Television Broadcasting)で私が講師を担当している隔週放送のミニ・シリーズ「ピアノの時間」第12回が放映されました。 今回のテーマは「ゆっくり弾くことの難しさ」。 曲はシューマンの作品15「子供の情景」より「トロイメライ」です。 下のリンクをコピぺして頂いくと、 9分30秒目のところから14分30秒目のところまで私の番組をご覧いただけます。 http://www.soto-ntb.com/piano-time/2011-7-3/ お楽しみ下さい。
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いまだに変わっていなければ、公立学校の夏休みは毎年7月21日に始まるはずだと記憶しています。 こんなにはっきり記憶しているのは、子供ながらに待ち遠しかったからでしょう。 しかしまだまだその日まで2週間もあるというのに、日本は30度を越しているそうですね。 昨夜日本に電話したら、暑さの悲鳴が聞こえてきました。 私が今居るイースト・ハンプトンは避暑地と言うこともあり、現地入りした先月は肌寒い日もある程でしたが、 7月に入ってようやく入道雲が見られ、夏らしい気候になってきました。 それでも30度には到底手が届かず、湿度も低く、日陰の風が気持ちいいです。 それなのになぜか、冷房がガンガンかかっている建物があるのです! 先週月曜日にゴールドベルグの抜粋を演奏したAvram Hallが寒かった! 私はゴールドベルグなのに、トリの前に持ってこられ、待ち時間が長く、 出来るだけ温まっていようと待ち時間はなるたけ日向で過ごしていたにも関わらず、 ステージに出るまでには手がギンギンに凍えていました。 (これだけ弾きこんだ曲でよかった~。ちょっと不安な曲だったらこんなに冷たい手で弾けないよ) と思ったのもつかの間、ゆっくりで技巧的には簡単なアリアでさえも音を引っ掛けてしまったくらい 指が言うことを利かない!かじかんでしまっているのです。 抜粋だったため、壇上で急遽、弾くはずだった速い変奏曲を遅い物に変えたりして何とかしのぎましたが、 それでも不本意なミスを沢山してしまい、ちょっと残念で、悲しく、そして申し訳なかった。 曲にも、聴衆にも、ピアノフェストの主催者や、募金者、ボランティアー達にも、謝りたい気持ちでした。 こんなに入れ込んだ曲なのに。。。 ところが、お客さんたちの反応が私には信じがたいほど良かったのです。 「涙が出てしまいました」 「私は今までゴールドベルグは正直、退屈な曲だと思っていましたが、今日一気に考えが覆されました」 「今まで聞いた色々な人のゴールドベルグの中で一番良かった」 「本当に美しい演奏でした」 演奏者本人の評価と、聴衆の反応にギャップが出ることは良くあることです。 でも、私自身こんなに正反対だった体験はまったく初めてで、正直面食らってしまいました。 録音は一応あるのですが、怖くてそれを聞く気にもなれないほど、私にとっては不本意な演奏だったのです。 ピアノフェストの総監督でもあり、私たちの先生でもあるポール・シェンリーに謝りにいきました。 「手が凍えて、まったくコントロールが聞かなかったのです。不本意な演奏をしてしまいました。申し訳ない」 そしたら、ティベット風に私の頭を引き寄せて、自分のおでこと合わせて 「最高に美しい演奏だったよ。謝る必要なんてまったく無いんだ」 と言ってくださいました。 普段、誰とでも少し距離を置く様な人なので、余計に感動しました。 いまだに信じられないけれど、でもとりあえず、喜んで頂けた様で良かったです。
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ピアノフェストの卒業生で30代ロシア人男性のコンスタンティンは、クラシック音楽に一般人の興味をもっと向かせる為の作戦アイディアが色々在る。その一つがリアリティー番組。ピアノフェストと言う、14人の若いピアニストを密集させた空間にカメラとカメラマンを持ち込んで、これからピアノフェストが終わるまで張り込んで、ドキュメンタリー映画を作るのだそうだ。彼は良くしゃべる。いかにクラシック業界がこのままでは滅びてしまうか、クラシック音楽家としてこの業界を活性化するために私たちが今するべきことは何か、その独白を逃げられずに聞いていたら1時間半もしゃべり続けていた。制作後はこのドキュメンタリーはとりあえずYoutubeに載せられるそうだ。そして色々なテレビ局に持ち込まれ、上手く行けば来年からピアノフェストの日常を撮ったリアリティー番組が放映されることになるそう。 このコンスタンティンを含むピアノフェストの大半のピアニストと海岸に行った。今日は波が荒くなく、簡単にかなり沖まですいすい気持ちよく泳いでいける。天気も最高。泳ぎ疲れたらみんなで砂浜でゲームだ。この頃ほぼ毎日海岸に行っている。波が荒いときは波に転がされて水着の中が砂だらけになってしまったが、夜の海岸は星空が信じられないほど深くまで見えるし、今日の様に波が穏やかな時は本当に楽に泳げるので楽しい。そして子供の様にキャーキャーはしゃいでゲームをしていると、他の事を全て忘れてしまう。
