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開店準備中の酒屋が在った。店の前に段ボールが山積みになっている。 その段ボールに商品名が。。。「ねえ、酎して」。。。黒々と筆書き。可笑しい。 歩道で真剣な顔で自転車を走らせているお母さんと遭遇。 急いでいるのだろう、ハンドルに取り付けた子供用シートに赤ちゃんを乗っけているにも関わらず、 かなりのスピードで向かって来る。 少々の障害(道の凸凹や、坂)をモノともせず、スピード一定、一直線に走ってくる。 その前座席の赤ちゃんのあごが凸凹に合わせてガクガクがくがく。。。 ほっぺがそのたびにプルプルプルプル。。。 にもかかわらず、赤ちゃんもお母さんに協力しているかのように真剣な表情。 可笑しい。。。 道に迷った。 目指すところは渋谷のジョンソン・ビルの二回に在るスペイン料理屋さん。 地図によるとそこは在る大手のホテルの近くで在る。 私はそのホテルまでの道順を尋ねることにした。 女性二人連れを呼びとめる。 とても親切に教えて下さった。 私はとても嬉しく、多いに御礼を言って、言われた方向に(遅れていたので)走って行った。 ホテル発見! 「ジョンソン・ビル」はこの近くのはず。 ホテルの入り口前で、360度ぐるぐる回りながら辺りを見回していると、 先ほどの親切な女性二人が駆け寄って来てくれた。 「ここがホテルですよ。ここが入り口です。ここを入って行けば、大丈夫」 何だか説明するのもややこしく、私はもう一度多いに感謝を表明して、ホテルに入場。 その女性二人が立ち去るのを見届けてから、ジョンソン・ビルを見つけるべくサーチを再開。 ハハハ。
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帰国してしばらくは、美容院、歯医者、眼医者、などなど、雑用が多い。 日本の方が丁寧でサービスが良いし、医療費はけた違いに安い。 大抵は検診で無事終わるが、治療が必要な時の為に、限られた帰国の一番最初に全て周ってしまう。 昨日、歯医者で古くなった詰め物を入れ替えてもらって、麻酔でばかになった唇をだましだまし、ゆっくり菓子パンを食べながら次の美容院の予約までの時間を潰していた正午、突然不思議な感覚にとらわれた。(この曲、何だろう。)パン屋の空気にかすかに漂っている音楽。絶対に良く知っている曲なのに、何の曲だったか思い出せない。旋律を一生懸命追いながら、頭の中を必死でぐるぐる探し回る。 あ! 分かった! フォーレのレクイエムと良く一緒にペアで演奏される、合唱とオーケストラの為の小曲、作品50の『パヴァーヌ』と言う曲で在る。しかし編成が全く違う。合唱の部分が楽器演奏になっているし、そもそもテンポも、雰囲気も違う。何しろ、機械的な編成、演奏、そして録音なのである。「お母さんと一緒」とかそういった番組のBGMみたいで在る。その後、ショパンの嬰ハ短調のノクターン(遺作)とか、歌曲などが次々と流れてくるが、全て似たようなオーケストラへの編成が施され、どんな曲想でも、大体メトロノーム72位(大体心臓の拍の速さと同じ)でたんたんと流れ続ける。 それだけならまだ良かったのだ。パン屋だけなら。今朝行った歯医者で私は全く同じフォーレを聞かされる羽目になったのだ。これはどうしたのだ! 誰の仕業だ!どういう陰謀だ! 日本はミュージャックにハイジャックされてしまったのか!? こんな非音楽的な音楽を意識せずに色々な待合室や店で一日中聴かせられる日本人はどうなってしまうんだろう? 思わず歯医者の受付で聴いてしまった。「このおかけになっている音楽はCDですか?」。。。有線放送だそうだ。でも私は予約の前に行って、清算を済ませて帰るまでの一時間強でこのフォーレを二回聴いたのだ。どう言う有線放送なんだ。何を考えているんだ? 誰がこんな編成をし、誰が雇われてこんな味気ない演奏をしたんだ? 本当に一人ひとりの奏者がブースに入ってヘッドフォンでメトロノームのクリック・クリックを聞きながら何も考えずに弾いているような演奏なのです。 日本の町=要耳栓。脳みそが侵略される。。。
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日本の皆さま、こんにちは。先日日本に戻ってまいりました。涼しくてびっくりいたしましたが、同時に普段の私の5月の帰国では見られない春の花々を楽しんでいます。皆さん、いかがお過ごしでしょうか? 今年は私の日本の演奏活動10年目を記念し、大小7つの演奏会にも特別の思い入れが在ります。ショパンとシューマンと言う今年生誕200年記念の二人と、生誕300年記念のバッハの2番目の息子W. F. Bach、そして生誕100年のSamuerl Barberの曲を組んだ楽しいプログラムです。 詳しくは http://makikony.cool.ne.jp/index.htmにて、お確かめくださいませ。 しかし、今日のメールは私のご挨拶と演奏会のご紹介では無く、私の敬愛する友人で、ハワイ大学の教授である吉原真里さんの講義のご案内です。吉原さんは日本では「アメリカの大学院で成功する方法」、「ドット・コム・ラヴァーズ」などの本を大好評発売中の素晴らしい学者・パーソナリティーで、今年はクライバーン国際コンクールに関する本の出版予定です。その本に先駆けて、その本を執筆するにあたって為さった研究に関する講義をされます。ご興味のお在りの方は、沢山のお友達を連れて、是非いらしてみてください。 詳しくは下記の真里さん自身のご案内をご覧くださいませ。 2009年6月、ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールでの優勝によって、辻井伸行さんが世界にはばたきました。審査員そして世界の聴衆に大きな感動を与えた辻井さんの演奏の他にも、クライバーン・コンクールにはたくさんの物語があります。歴史的視点および3週間にわたるコンクールを現地で見学した経験から、このコンクールのさまざまな顔を紹介し、現代文化におけるクラシック音楽の位置づけ、クラシック音楽におけるアジア人の位置づけ、芸術活動におけるコンクールの役割、芸術活動と地元社会の関わり、芸術と経済、芸術とメディアなどについて考えます。 日時 6月5日(土) 10:30~12:00受講料 会員 2,940円 一般 3,570円(入会不要) 場所 新宿住友ビル7階 朝日カルチャーセンター(申し込みは4階受付) お申し込みは、朝日カルチャーセンター新宿校 Tel: 03-3344-1945(教養科直通) http://www.asahiculture-shinjuku.com ネットで申し込みの場合はこちら。 http://www.asahiculture-shinjuku.com/LES/detail.asp?CNO=66146&userflg=0
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大変好運なことに、何とビジネス・クラスにアップグレードされて帰国した。 何だか卒業祝いや、引っ越し頑張ったご褒美をもらった様な嬉しさである。祝福されている感じ。 席もゆったりとして、マッサージ機能まで付いているし(あんまり効かなかったけど)、足当てや、リクライニングが電動でほとんど180度になって眠ることが出来る。映画を見る為のヘッドフォンも耳をすっぽりカバーする上等のもので、それを着用しただけで飛行機のエンジン音が半減し、音質も素晴らしい!嬉しくてニコニコしてしまった。 こう言うゆとり、と言うのはやっぱりたまには必要だなあ、と思う。 私はいつも必要最小限の支出で一所懸命頑張ることだけを良しとして今までがむしゃらにやって来た。でも最近になって一所懸命の弱点と言うのが分かって来た気がする。一所懸命になりすぎると、視点が一所懸命の対象に近視になりすぎて、距離感が無く成るのだ。これは練習や演奏においても全く適応できる事実で、これからはもっとゆとりを持って、もう少し優雅にやってみたい、と思う。 これから約一カ月日本です。7回大小のコンサートを関東地方各地でやります。
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本当に色々な方にお世話になって、お陰さまで昨日無事卒業式を終え、コルバーンでの4年間が終了した。 こう言う人生の節目というのは振り返って思い出として感慨深いものだと思うが、リアルタイムではちょっと間が抜けている。感動を狙うスピーチを、スピーカーが熱演しているのを聞きながら、頭の中では引っ越しの手順を忙しく考えたりしている私は、ちょっとへそ曲がりかも知れない。 今回の引っ越しは結構入り組んでいる。 AからBに直接引っ越すのではなく、今回の私の場合、ロスの現住所を引き払った後、日本に約3週間半滞在して演奏活動を行い、その後NYで一息入れてから、タングルウッド音楽祭で2カ月の研修生としての勉強、演奏活動を行った後、初めて私の新居で在るテキサス州のヒューストンに向かう。現時点では、テキサスで落ち着く住所もまだ未定。と、言うわけでちょっとややこしい。とりあえず、向こう3カ月で必要無い物は全て箱に詰め、ロスの友達に引き取ってもらい、住所が分かり次第郵送してもらうことにする。「持つべきものは友」、である。私は物欲を良しとしないし、出来れば禅僧の様に所持品をほとんど持たずに人生歩んでいきたいと言う憧れがあるが、実際は結構貧乏性なので、荷物をまとめる段階で(もったいない)とすぐ思ってしまう。始めは「引き取ってもらうのは多分一箱くらい」と友達に言っていたのが、結局引き取ってもらったのは3箱だった。その他、NJの私の高校時代のホームステイ先で私の「アメリカの実家」に3箱送り、後は日本に重量制限ギリギリまで持って行く。 エレヴェーターに乗り合わせた、同じく今年コルバーン卒業でシカゴに引っ越して行くバスーン奏者の男の子は、「引っ越し、どうしてる?」と聞いたところ「全部捨てる!」と答えて、私を大笑いさせた。彼曰く、引っ越しの手間と労力と送料、などを全部考慮した場合、「荷物を送るのは割に合わない、向こうで買った方が安い」、のだそうだ。何だかとてもすっきりしたすがすがしい考え方だ。ただ、彼と私の違いはバスーン奏者は楽譜が少ない!私の一番の荷物は楽譜と本なのです。それから、男性の場合タキシードとスーツを一着ずつ持っていれば仕事はそれで全て足りるが、女性の場合、何着もドレスが必要なのだ。夜の演奏会は長いドレスのイブニング・ガウン、昼の演奏会はもう少しカジュアル、この演奏会場では肩を出してはいけない、とか色々。そしてドレスに合わせた靴、アクセサリー、化粧…全く引っ越しの際にはげんなりしてしまう。 そうしている間にも、ロスでお世話になった方々や友達とのお別れ、そして日本での演奏の準備も着々と進んでいる。昨日は特に親しい友達を数人呼んで、学校のホールで日本のプログラムの通し稽古を聞いてもらった。 大丈夫、一つ一つきちんとこなしていれば、全部終わります。 明日、ロスを発ち、日本に向かいます。
