明鏡㉚:視野があっても声が無い悪夢
「ピアニストになるという事は、社会的に『声なき人』になるという事なんだよ。」
作曲家エルンスト・トッホのお孫さんに近所をドライブしてシェーンベルグやトッホやその他沢山の物書きや映画監督などのお家を見せて頂きました。
明鏡日記㉕: 明日の本番に向けて歴史探索 Read More »
バッハは弾き手の都合をこれっぽちも考えていない。どちらかと言うと合唱とかそう言う感じで考えている気がします。声部ごとに考えている。鍵盤奏法的には不都合や、不可能が生じる。でも、奏者の都合に捕らわれていたら書けなかった音楽が出来ている。
洒脱日記163:バッハのフーガに憑かれています。 Read More »
今年の夏は日本に帰る前にマドリッドとイタリアに行く。 それも在って、今年の夏の日本でのリサイタルは『南欧の愛と幻想』と題し、 スペインとイタリアに関する曲を幾つか弾く。 イタリアは面白い国だ。 豊かな文化に恵まれ、実に音楽的な言語を持つ国なのだけれど、 イタリア出身の作曲家の大物はオペラに集中している。 (ヴェルディ、プッチーニ、ロッシーニ、ベリーニ…) 現代曲にはダラピッコラとかべリオとかも居るけれど、 そして19世紀にはブゾーニも居るけれど 現代曲は私の日本でのリサイタルにはいささかそぐわないし、 ブゾーニはイタリア人と言うより国際人。 取りあえずスカルラッティのソナタを3曲ほど組んで、 あとはバッハ作曲『イタリア協奏曲』?リストの『巡礼の年』? ああ、そういえば! レスピーギが居ました!! スペインは19世紀からピアノ曲の作曲家が結構いる。 アルベニス、グラナドス、ファリャ… 面白いのは、一般的に『情熱的』とされるこれらの国のピアノ曲は 超絶技巧を要するものが多いのだけれど、私が思う『情熱的』とは少し違う、と言うこと。 私が思う『情熱』はドイツ的な、概念や哲学の観念に基づいた、 熟考された、一見わからないレヴェルの複雑さを含んだものだ。 まあ、要するに、ベートーヴェン、です。 そしてロシア的な『情熱』と言うのもピアニストには良く知られている。 ラフマニノフ、スクリャービン、メトネル… でも、南欧の『情熱』と言うのは、 クラシックで良く知られているドイツ的・ロシア的情熱とはかなり違う。 遊びがいつまでもある。 どこか、余裕がある。 「失恋して悲しい~!!!!」と叫んでいても、 自分がかっこよく見えるアングルをすごく意識しているような愛嬌がある。 この余裕は気候が温暖だから? 分からないけど、おもしろい。 とってもチャーミング。 楽しんで練習している。
曲順、と言うのは、私はかなりこだわる方である。 例えばメニューだってこの味の後にこの味が来るから引き立つ、と言うのがあると思う。 絵だって並ばせる順番や、壁の色調、部屋の色調によって印象が随分変わるだろう。 今回の「ショパンToジャパン」は私の6枚目になる。 5月4日にライス大學のダンカン・リサイタルホールで短めのリサイタルとして発表するが、 基本的にCDとして楽しんでもらうために配慮した曲順だ。 従って、曲から曲へと、虹のようにつなぎ目が分からないように、 しかし確実にその発展・変調が意識できるように、工夫をしてみた。 調整は勿論、一つの曲の最後の音・和音・モチーフが、 次の曲の最初の音・和音・モチーフに関係があったり、 我ながら中々こだわりが細かく、「してやったり!」である。 そして勿論、ショパンに触発されたスクリャービンとドビュッシーが その後今度は山田耕筰と武満徹を触発する、 その移り変わりもはっきりと提示しているつもりだ。 ただ、これはあくまでCDとして聞いてもらうための工夫。 5月4日のリサイタルではこのプログラムの微妙な陰影、起伏を どう立体的に描き出すかが、挑戦となる。 トークを交えるので、少しは救いだ。 さて、その懇親の曲目・曲順(括弧内は調整) 調整を書いただけでは伝わりにくいと思う。 ここは是非、ご来場をお願いして、味わっていただきたい。 同名の日本のリサイタルでは この曲順の最初の2曲を省き、最後の二曲を後半に持っていって ショパンのソナタの3番を弾きます! ショパン エチュード、作品25-1「エオリアン・ハープ」(変イ長調) ドビュッシー 「月の光」(変ニ長調) ― トーク ― スクリャービン マズルカ、作品3-7 (イ短調) ショパン 3つのマズルカ、作品59 1番 (イ短調) 2番 (変イ長調) 3番 (嬰ヘ短調) ドビュッシー マズルカ (ロ短調) ― トーク ― ショパン 2つのノクターン、作品27 1番 (嬰ハ短調) 2番 (変ニ長調) スクリャービン 左手のためのノクターン、作品9-2 (変ニ長調) ドビュッシー ノクターン (変ニ長調) ― トーク ― 山田耕筰 スクリャービンに捧げる曲 1番 「夜の詩曲」(変二長調) 2番 「忘れ難きモスコーの夜」(変ロ短調) 山田耕筰 「青い焔」(ロ長調?) スクリャービン 「焔に向かって」作品72 ― トーク ― ドビュッシー 「La plus que Lente(レントより遅く)(変ト長調) 武満 リタニーNo. 2 「Lento misterioso(ミステリアスなレント)
曲順に関するこだわり「ショパンToジャパン」 Read More »