音楽

"patience, patience"

Emanuel Ax氏とのコーチングが今日もあった。 一昨日のコーチング、そしてそれからのリハーサルの成果で 一昨日よりは完成度が高いメンデルスゾーンで、指針を請うことができたと思う。 Ax氏はソロ活動も精力的にこなしているが、同時にヨー・ヨー・マやパールマン等との共演でも有名だ。 そして、ピアノと弦と言う、全く異質の楽器をうまく統合させるために、 ピアノの音をかなり厳しく制限し、弦を生かそうとする。 その概念はこの前のコーチングで理解したので、今回はそこのところはマスターして行ったが それでも、昨日のブログでも触れた、ピアノよりも間のある弦のテンポ感と言うものを 私の独奏の部分でまだうまく掴めず、そこのところを何度もやり直させられた。 その時、何度も”Patience, Patience"、と言われた。 2001年に亡くなった、私を凄く可愛がって、引き立ててくれたNYの指揮者も、 そういえば繰り返し私に言った、”Patience, Pateince". どう訳せば良いのだろう。 忍耐とか、我慢とか、辞書に載っている言葉だとちょっとニュアンスが違う。 あえて言えば、「待つ心」、 あるいはこの場合だと「信念を持って、ゆったりかまえて待つ心」だろうか。 そして、この二人の私が尊敬する音楽家たちは、なぜ二人揃って私にそう言うのだろう。 音楽的に、もっとフレーズに余裕を持たせて、そんなに結論に急がないで、と言う意味にも、 自分の音楽家としての成長、学習の過程をせかさないで、と言う意味にも取れる。 そして、曲が熟す過程を信じて、せかさないで、と言う意味もあるのだろう。 OK, pateince, patience.

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エマニュエル・アックス(ピアニスト)にコーチングを受ける。

「音と音の間にはっきりとした意図が無い時走る傾向が、君にはあるようだね」 今日、リハーサル中に言われた。 当たっているが、悔しい。 悔しいが、当たっている。 メンデルスゾーンの三重奏の二番(作品66、ハ長調)を 7月5日のコンサートに向けて、準備中。 昨日初めての顔合わせで、 今日すでに、かの有名なピアニスト、エマニュエル・アックス氏とのレッスンがあった。 ヴァイオリンの子もチェロの子も楽譜をもらったのが3日前だとか。 考えてみたら私もそうだが、でもこの曲を弾く、と言うことは5月下旬に知らされていたので、 ちゃんと自分で楽譜を購入して譜読みを済ませてあった。 しかし、彼らはそういう気は回らなかったようで、 とにかく一緒に通してみて、まっつぁお。 二人とも才能はあるのだろうが、私より多分大分若いし、 老婆心も働いて、かなりリハーサルを仕切ってしまった。 何しろ、この曲は音が多く、そして作曲家の指示するテンポが非常に速い。 指示通りに弾くと、クライマックスまでまっしぐらに走り切るような方向性が必要で、 それをこなすにはかなり技術的に自信を持ってないと、 焦燥感ばかり強調されて、余裕のない演奏になってしまう。 昨日の午後で彼らの準備不足が判明して 夜、二人で弦だけのリハーサルをするように強く要請し (私は歌の伴奏があったので)、 今朝、8時からリハーサルして午後のコーチングに挑んだ。 そうしたら、アックス氏に作曲家の指示するテンポをとりあえず忘れて、 とにかくそれぞれのセクションの個性を強調するように、と指示された。 確かに、「正しく」弾いても、「音楽性」を無視していたらば、本末転倒だ。 そんなに言葉や数字で曲を形づけようとしないで、もっと自由に感じてご覧 との、お言葉でした。 ちょっと面目は潰れたが、でも確かにこの頃私は音楽を楽しんで弾くことを忘れていたかも。 ハンマークラヴィアなんか弾いて、いい気になって、 頭でっかちになっていたかも知れない。 アックス氏は本当に優しい人で、 一緒の部屋にいるだけで、部屋の空気がなごむような人だ。 土曜日と、日曜日にも立て続けにコーチングがある。 今日も午後のコーチングのあと、9時半から11時までリハーサルした。

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何でもできるピアニストを目指して。

大体世の中一般にそういう傾向があると思うが、 音楽界でも、分業が進んでいる。 ピアニストはピアノを弾くだけ。作曲家は書くだけ。 オーケストラの音楽家はソロを弾かなくなり、 全く練習することを止める先生もいる。 つい最近あるピアノのクラスで、先生がブラームスの交響曲を弾いたところ、 ピアノ科の学生のほとんどが何の曲か知らなかった、 と言う場面に居合わせたことがある。 それではいけない、と言う動きも同時に在って ここ、タングルウッドではピアニストは実に様々なこと、 普通にピアノ科の学生として学校にいる分には絶対しないようなことをさせられる。 まず、ここに来るために選ばれた11人と言うのがすでに変わっていて、 1人は元声楽家志望、もう一人は元作曲家志望、 それから元ハープシコード専科のピアニストも居る。 11人全員がソロ以外の演奏(アンサンブル、伴奏、コレぺティ)などの経験が多少はある。 そして、さらにこれから7週間、とにかくピアノと言う楽器のあらゆる使われ方を経験する。 その下準備と言うことなのか、今日は 合計6時間に渡る講義と実演のクラスがピアニストに必修として課せられた。 最初のクラスはボストン・シンフォニーでスタッフ・ピアニストとして20年目の Mr. Corlissが総譜の読み方、総譜から弾かなければいけない時の準備の仕方、 リハーサル・ピアニスト(声楽家がオケやフル・アンサンブルとリハーサルする前に ピアノ伴奏と指揮者と下稽古をつける時のピアニスト)の役割と、役の効率的な果たし方、 チェレスタ、オルガン、ハープシコードなど、オケの中の鍵盤奏者として弾けなければいけない 多様な鍵盤楽器のデモンストレーション、など。 そして次はアリア伴奏のクラス。 それぞれ課せられたアリアを準備してきて、 メトロポリタン・オペラのスタッフ・ピアニスト二人の前で次々弾かせられるのだが、 まず弾く前にそのアリアがどういうオペラのどういうシーンで、どういう役柄に歌われるのか 歌詞の内容まで説明させられる。 そして、伴奏パートを弾いていると、矢継ぎ早に この旋律はオケ版ではどの楽器が弾く旋律か、 どこで歌手の呼吸を予期しなければいけないか 次々と聞かれ、即答できないとお説教される。 私は有名なモーツァルトのドン・ジョバンニの中でも有名なアリア、”bati, bati" だったので、なんとかクリアできた(?)が、 皆ストラヴィンスキーとか、すごく歌手が揺らすのでつけるのが大変なプッチーニとか すごく上手でびっくりした。 一人の子はピアノに編曲したものでなく、総譜から弾いたし、 もう一人の子はチャイコフスキーの”エフゲニー・オネーギン”の手紙のアリアを ロシア語で歌いながらオケ・パートを弾ききった! 皆、あっぱれ。 ピアニストだけがいろいろなことをさせられるのでは無く、 ここでは作曲家が自分の曲を指揮したり、 弦楽器奏者たちもオペラ、オケ、室内楽、ソロ、協奏曲と色々弾かせられるし、 とにかく盛りだくさん。

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タングルウッド一日目~デジャブー?? 

まだ着いてから一日しか経っていないなんて、信じられない。 もうずっとここに住んでいる気がする。 約100人の研究生たち(オーケストラの楽器+ピアノ+声楽+指揮+作曲)は、 Miss Hall’s School と言う、夏以外は寮付き女子高に住んでいる。 もう何十年も、夏はタングルウッドの研究生たちの住まいとなっていたこの学校は テニスコート、小さな池、体育館、大きな庭、食堂、などすべて完備した、美しい学校だ。 ここはタングルウッド自体からは車で20分ほどのところにあって、 一時間に一本スクールバスの無料送迎がある。 車で来ている研究生も多いので、便乗も可能だ。 タングルウッド自体がこれまた、広々と美しい公園のようなところだ。 遠くに山々が連なり、そのふもとには湖が見える。 タングルウッドの創始者で、指揮者だったクーセヴィツキ―にちなんで 「クーセヴィツキ―・シェッド」と呼ばれるオーケストラコンサート用のテント、 主に室内楽用の「セイジ・オザワ・ホール」、オペラが行われる「シアター」 そして練習室のある「マナー・ハウス」、 楽譜の貸し出しや視聴ができる「コープランド図書館」などが 広々と平がる芝生の中に点在している。 端から端までゆっくり歩くと15分はかかる。 私が高校生の時、母に連れられて妹と3人でバス・ツアーでタングルウッドに聞きに来たことがある。 小沢征司さんの指揮で、ピーター・セルキンがモーツァルトの協奏曲を弾いた。 そのあとで、小沢さんにサインをしてもらったプログラムは、まだ私の財布にとってある。 こうやって今日十何年ぶりかでタングルウッドに、 今度は聴衆の一員ではなく研究生としてキャンパスを歩いていると、 すべてになんだか見覚えがある気がする。 あの日、コンサートの前、少し自由時間があったはずで、 私たちはキャフェで夕飯を食べたのだろうか? ここの芝生を散歩したのだろうか? すべてがなんだか見覚えがあってなつかしい。 私はそのあと家族が日本に戻った後も滞米したが あの頃の母はまだアメリカも2年目くらいで、 ああやって私たち姉妹を連れて遠出をするのは 結構、勇気がいったと思う。 母も頑張ってくれたんだなあ、と思う。 お母さん、ありがとう。

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