「音と音の間にはっきりとした意図が無い時走る傾向が、君にはあるようだね」
今日、リハーサル中に言われた。
当たっているが、悔しい。
悔しいが、当たっている。
メンデルスゾーンの三重奏の二番(作品66、ハ長調)を
7月5日のコンサートに向けて、準備中。
昨日初めての顔合わせで、
今日すでに、かの有名なピアニスト、エマニュエル・アックス氏とのレッスンがあった。
ヴァイオリンの子もチェロの子も楽譜をもらったのが3日前だとか。
考えてみたら私もそうだが、でもこの曲を弾く、と言うことは5月下旬に知らされていたので、
ちゃんと自分で楽譜を購入して譜読みを済ませてあった。
しかし、彼らはそういう気は回らなかったようで、
とにかく一緒に通してみて、まっつぁお。
二人とも才能はあるのだろうが、私より多分大分若いし、
老婆心も働いて、かなりリハーサルを仕切ってしまった。
何しろ、この曲は音が多く、そして作曲家の指示するテンポが非常に速い。
指示通りに弾くと、クライマックスまでまっしぐらに走り切るような方向性が必要で、
それをこなすにはかなり技術的に自信を持ってないと、
焦燥感ばかり強調されて、余裕のない演奏になってしまう。
昨日の午後で彼らの準備不足が判明して
夜、二人で弦だけのリハーサルをするように強く要請し
(私は歌の伴奏があったので)、
今朝、8時からリハーサルして午後のコーチングに挑んだ。
そうしたら、アックス氏に作曲家の指示するテンポをとりあえず忘れて、
とにかくそれぞれのセクションの個性を強調するように、と指示された。
確かに、「正しく」弾いても、「音楽性」を無視していたらば、本末転倒だ。
そんなに言葉や数字で曲を形づけようとしないで、もっと自由に感じてご覧
との、お言葉でした。
ちょっと面目は潰れたが、でも確かにこの頃私は音楽を楽しんで弾くことを忘れていたかも。
ハンマークラヴィアなんか弾いて、いい気になって、
頭でっかちになっていたかも知れない。
アックス氏は本当に優しい人で、
一緒の部屋にいるだけで、部屋の空気がなごむような人だ。
土曜日と、日曜日にも立て続けにコーチングがある。
今日も午後のコーチングのあと、9時半から11時までリハーサルした。